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2章

17話

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「さっぱりした」
昨夜の残り湯にもう一度浸かって汗を流した俺は、ガウンみたいな服と下着だけでうろうろする。
下着は腰を紐で結ぶごわごわしたものだが、無いよりいい。
カミーユは履かない主義らしいのだが。
そんな情報はどうでもいいのだけれど。
「ミオリ様、お湯上がりの白湯ですので少しずつお飲みください」
セラフィナがグラスを置いてくれる。
それを受け取って俺は窓辺で飲み始めた。
「セラフィナ、あのお湯を畑に使う許可はカミーユに貰わなきゃ駄目かな」
「はい、今までそのようなことはされたことが無いので」
困った表情のセラフィナに、俺はそれ以上何も言えなくなる。
無理をさせたい訳じゃない。
ただ、勿体ないと思うのだ。
流石に飲んだりするのは衛生面があるからどうかと思うけれど。
それに、熱すぎないお湯なら根が痛まなくていいのだから。
「俺が交渉してもいいかな」
「……ミオリ様のお心のままに」
あっ、これは駄目だなと思う。
でも野菜や果物を育てたいのだから俺はカミーユが来るのを待ち、来たら必ず教えてくれとセラフィナにお願いをした。

夕方が過ぎて夜になり、夕飯を終えてもカミーユは来なかった。
まるで俺のお願いを避けているのかと思ってしまう。
「まったく、用事があるときに限って来ないんだ。セラフィナもありがとう下がって大丈夫。俺ももう少ししたら寝るから」
ぼんやりとした淡い光が灯る部屋の中で俺は植物図鑑を広げていた。
フィナシェの国内で作られた図鑑で、様々な植物が載っている。
流石に写真やカラーではないため、だいたいの大きさなどは想像するしかないがそれでも見るものは楽しい。
花から木、木から果物など、説明を読みながら見たことがあるもの、ないものなど想像をする。
イチゴや林檎に似た花を見つける。
「果物いいよな、けど暑いから香辛料がとれるか」
輸出先は隣国アルーディア。
読み慣れない文字をなんとなく目で追う。
すらすらとは読めないが、何故か全く読めなくないのは理由はわかっている。
この国の文字はギャル文字なのだ。
「読みづらいんだよなぁ」
呟いたのをセラフィナが聞いて寄ってきた。
「ごめん、大丈夫だから……勉強しながら見てるだけ」
「なら、ミオリ様、少し摘まめるように焼き菓子とお茶を置いて下がらせていただきます」
ことりとテーブルにティーセットを置いてセラフィナは今度は本当に下がってくれた。
ティーセットの側には呼び出しのベルもちゃんと置いてくれてある。ありがとう。
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