香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫(299)

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金明《ジンミン》妃の侍女

答えは目の前に

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「そうなる前に何としても、解決する必要があるな」 

 曹朱ツァオジュは奥歯を噛み締めて立ち上がり、兵たちに早急に解決せよと命じた。
 兵たちは拱手する。食堂、そして被害者の二手に分かれて調査を始めた。

 曹朱ツァオジュの肩の荷が降りないままに、はたと、周囲を見渡す。隣に座っていたはずの香 麗然コウ レイランの姿が見当たらなかった。どこに行ったのかと、腕を組んで眉をよせる。すると……
 中央の奥から、見慣れた姿の少女がひょっこりと顔を出した。彼女の手には一つのお皿が乗っている。

「……君は、何をしているんだ?」

 香 麗然コウ レイランの神出鬼没さに脱力してしまった。がっくりと肩を落とし、香 麗然コウ レイランを呼びよせる。

 香 麗然コウ レイランは皿を持ったまま彼の隣に座った。皿の中には夕食のおかず、葉っぱが入っている。それを一摘みして、犬のようにクンクンと嗅いだ。

「うん。やっぱりだわ」

「……?」

 香 麗然コウ レイランが何を言いたいのか、さっぱりわからない。残った数名の兵とともに首を傾げていると、彼女は葉っぱの乗った皿を見せてきた。
 
「えっと、これは?」

「夕飯のおかずの一つです」

「……いや。それはわかるが……なぜ、これを?」

「え? だって今回の事件、原因はこれですから」

 あっけらかんと言う。

 曹朱ツァオジュからすれば寝耳に水だ。原因のげの字すら見つかっていなかったというのに、香 麗然コウ レイランはあっさりと答えてしまう。
 そしてそれは、その場を一瞬にして静寂に包んでいった。ガタガタと、窓を揺らす風の音だけが聞こえてくる。
 
 曹朱ツァオジュは我に返り、どうしてそう思うのかと彼女に聞いてみた。
 
「うーん。どうしてもこうも……この葉っぱが毒草だからですよ」

「何!?」

 食堂は一気にざわつく。静かな食道内を、香 麗然コウ レイランの声が走った。それは厨房にいた兵や、料理を作った人たちのもとまで届く。彼らは何だ何だと、香 麗然コウ レイランのところまでやってきた。

 香 麗然コウ レイランは大勢の人に囲まれても、なおも自由人さを崩さない。というよりは、彼らのことなど眼中にないようだ。ただ一点。毒草と言いはる葉っぱを見つめている。
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