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誘拐事件勃発
兆し
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翌朝、仕事を早々と終わらせた香 麗然は、金明妃の部屋へと向かった。
少女は相変わらず一人でポツンと、ボーとしながら椅子に座っている。似合わない厚化粧、そして金色の派手な漢服。侍女たちからの苛めをこれでもかと受けているようだ。金明妃は抵抗をしても無駄だと知っているのか……侍女たちに文句すら言わず、黙ってそれを受け入れているよう。
香 麗然からすれば、それは楽しいものではなかった。けれど少女自身がそれを受け入れている以上、これ以上の口出しはできない。
それでも持ち前の正義感が高ぶり、金明妃の化粧を落として服を着替えさせた。
「──よし。町娘みたいになっちゃったけど……まあ、いいわよね」
金明妃は桃色の服の上に白い衣を着て、腕には帔帛と呼ばれる、水色の長い布をかけている。化粧を落とした素の顔は幼さを見せ、子供らしい無邪気な表情になっていた。
「男に見せるでもないんだから、あんなに、化粧で塗りたくらなくたっていいのにね」
「あ、ありがとうございます。お姉様! あ、でも……」
なぜこのような格好になったのか。少女はそれを知りたがっているようだった。
香 麗然は軽く頷く。そして金明妃の小さな手を握った。
「曹朱から聞いたわ。伝え忘れてたことがあったんでしょ?」
「……はい。えっと……言いそびれていただけなんですけど。偶然、耳にしたんですけど……なんでも、私がお兄様からもらった品が、街で売られているらしいんです」
椅子にちょこんと座る。少しだけ椅子が高いようで、少女の足は地面へとつかずにブラブラしていた。
「私、お兄様からたくさん頂いてはいるんですけど。使わないものばかりで。それを私の侍女たちが欲しがったりするので、あげたりするんです」
「……ああ。何か、そんな感じのやつ見たわ。で、その話から察するに、その侍女たちにあげた物が、街で売られてるってことになるけど?」
「はい。確かめたことはないので、本当かどうかわからないんですが……でも一つだけ、不思議なことがあるんです」
「……?」
金明妃は立ち上がり、部屋の奥にある箱に手を伸ばす。箱の蓋を開けて、中身を見せた。そこには小さな石ころだったり、花びらなどが入っている。
「これは、私の宝物です。この中のものはさすがにあげることはできませんが、それ以外の物を彼女たちが欲しいと言えば、私はあげてきました」
だけどと、瞳を震わせた。
少女は相変わらず一人でポツンと、ボーとしながら椅子に座っている。似合わない厚化粧、そして金色の派手な漢服。侍女たちからの苛めをこれでもかと受けているようだ。金明妃は抵抗をしても無駄だと知っているのか……侍女たちに文句すら言わず、黙ってそれを受け入れているよう。
香 麗然からすれば、それは楽しいものではなかった。けれど少女自身がそれを受け入れている以上、これ以上の口出しはできない。
それでも持ち前の正義感が高ぶり、金明妃の化粧を落として服を着替えさせた。
「──よし。町娘みたいになっちゃったけど……まあ、いいわよね」
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「あ、ありがとうございます。お姉様! あ、でも……」
なぜこのような格好になったのか。少女はそれを知りたがっているようだった。
香 麗然は軽く頷く。そして金明妃の小さな手を握った。
「曹朱から聞いたわ。伝え忘れてたことがあったんでしょ?」
「……はい。えっと……言いそびれていただけなんですけど。偶然、耳にしたんですけど……なんでも、私がお兄様からもらった品が、街で売られているらしいんです」
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「私、お兄様からたくさん頂いてはいるんですけど。使わないものばかりで。それを私の侍女たちが欲しがったりするので、あげたりするんです」
「……ああ。何か、そんな感じのやつ見たわ。で、その話から察するに、その侍女たちにあげた物が、街で売られてるってことになるけど?」
「はい。確かめたことはないので、本当かどうかわからないんですが……でも一つだけ、不思議なことがあるんです」
「……?」
金明妃は立ち上がり、部屋の奥にある箱に手を伸ばす。箱の蓋を開けて、中身を見せた。そこには小さな石ころだったり、花びらなどが入っている。
「これは、私の宝物です。この中のものはさすがにあげることはできませんが、それ以外の物を彼女たちが欲しいと言えば、私はあげてきました」
だけどと、瞳を震わせた。
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