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誘拐事件勃発
まるで姉妹のように
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山茶花、睡蓮といった、色とりどりの花びらが舞う。皇帝の住む宮殿がある城下町は、いつもの賑わいを見せていた。
串焼きが美味しい屋台、昼間から男衆がいびりたつ酒屋、陽が落ちたら始まる楼閣など。大きな道を挟んで、数多の店が並んでいた。
「……懐かしいなぁ。あ、お姉様! あのお店は昼から開いていて、いつも男性で店内が埋まっているんですよ」
まだ幼さが残る顔立ちの少女は、妃というしがらみを忘れるかのように町を楽しむ。いつもは窮屈な後宮で暮らしていて、自由などありはしなかった。侍女たちは冷たく、少女を苛めては楽しんでいる。兵や宦官。彼らも侍女たちと同罪で、曹朱が止めに入らなければ、ひたすらこの少女を苛めていた。
そんな後宮の闇を一心に受けとめている少女──金明妃──は、香 麗然に連れられて町に出かけている。
連れ出した香 麗然は少女の笑顔を見て、ホッと胸を撫で下ろした。
(よかった。町へとお忍びで出かけた甲斐があったわね。ずっとあんな酷い場所にいたら、この子の心は荒んでしまうし)
ただ、帰ったら曹朱による説教が待っているだろう。それを思うと、手放しに喜べはしなかった。けれど金明妃の後宮では見せない無邪気な笑顔に、香 麗然は叱られることもやぶさかではないなと意を固める。
「さて。金明妃、目的の金物屋まで参りましょうか」
「はい!」
端から見れば二人は仲のよい姉妹だ。どちらもかわいらしい顔立ちのおかげか陰口ではなく、美人姉妹として、行く先々で噂される。
けれど二人はそんな噂などお構い無し。一緒にいることが楽しくて仕方ないようだ。
「あ、見てください。これ、きれいな絹でできてます!」
金明妃は服や櫛などの衣類を。
「あ。金明妃、あれ、すっごく美味しそうじゃない?」
香 麗然は饅頭や焼きとうもろこしなどの食べ物を。
どちらもが、わかりやすいまでの欲求を興味として語った。両極端な二人だけれど、それでも喧嘩はしない。どちらかの行きたい場所へ赴き、終わったらもう一人の好きなところへ。
喧嘩などすることなく、お互いの求める欲を好きなだけ堪能した。
串焼きが美味しい屋台、昼間から男衆がいびりたつ酒屋、陽が落ちたら始まる楼閣など。大きな道を挟んで、数多の店が並んでいた。
「……懐かしいなぁ。あ、お姉様! あのお店は昼から開いていて、いつも男性で店内が埋まっているんですよ」
まだ幼さが残る顔立ちの少女は、妃というしがらみを忘れるかのように町を楽しむ。いつもは窮屈な後宮で暮らしていて、自由などありはしなかった。侍女たちは冷たく、少女を苛めては楽しんでいる。兵や宦官。彼らも侍女たちと同罪で、曹朱が止めに入らなければ、ひたすらこの少女を苛めていた。
そんな後宮の闇を一心に受けとめている少女──金明妃──は、香 麗然に連れられて町に出かけている。
連れ出した香 麗然は少女の笑顔を見て、ホッと胸を撫で下ろした。
(よかった。町へとお忍びで出かけた甲斐があったわね。ずっとあんな酷い場所にいたら、この子の心は荒んでしまうし)
ただ、帰ったら曹朱による説教が待っているだろう。それを思うと、手放しに喜べはしなかった。けれど金明妃の後宮では見せない無邪気な笑顔に、香 麗然は叱られることもやぶさかではないなと意を固める。
「さて。金明妃、目的の金物屋まで参りましょうか」
「はい!」
端から見れば二人は仲のよい姉妹だ。どちらもかわいらしい顔立ちのおかげか陰口ではなく、美人姉妹として、行く先々で噂される。
けれど二人はそんな噂などお構い無し。一緒にいることが楽しくて仕方ないようだ。
「あ、見てください。これ、きれいな絹でできてます!」
金明妃は服や櫛などの衣類を。
「あ。金明妃、あれ、すっごく美味しそうじゃない?」
香 麗然は饅頭や焼きとうもろこしなどの食べ物を。
どちらもが、わかりやすいまでの欲求を興味として語った。両極端な二人だけれど、それでも喧嘩はしない。どちらかの行きたい場所へ赴き、終わったらもう一人の好きなところへ。
喧嘩などすることなく、お互いの求める欲を好きなだけ堪能した。
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