香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫

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雪原の狼

國の祭り

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 元宵祭げんしょうさいとは、年に一度行われる祭りのことだ。皇帝と皇后、そして四夫人の上級妃が一堂に会する日でもある。
 楽士と呼ばれる楽器を操る者たちを中心に、一年の締めくくりとして行われていた。



 香 麗然コウ レイランたちは外に出る。元宵祭げんしょうさいの準備を視察という名を借りて、会場へと訪れていた。

元宵祭げんしょうさいは、初代皇帝が作った祭りとも言われている。町で楽士たちが音を慣らし、人々と祭りを楽しむ。後宮では、貴族たちの品を問う場になっている」

 貴族だから楽器が操れて当たり前。上級妃ならば、楽器の一つや二つは弾けるはず。そういった固定概念がいねんがあり、後宮の中では毎回、何かしらの珍事件も起きていた。

「まあ、事件と言っても、貴族たちの争い程度ではあるがな」

「えー? みにくいわねぇ」

「……いや、まあ。ただ、上級妃たちの争いの方が怖いと、俺は思うがな」 

「え?」

 彼は疲れた表情を見せる。そして、ある一点を指差した。

 香 麗然コウ レイランは振り向く。その先にいるのは見知った妃と、もう一人の女性がいた。彼女たちはともに多くの侍女たちを従え、対面している。
 見知った方は楊周ヤンヂョウ妃で、後ろに娘の楊鈴ヤンリンを従えていた。

 そしてもう一人の女性の方は、楊周ヤンヂョウ妃に並ぶ美しさを持っている。艶やかな黒髪をまとめるかんざしは青い藤の花だ。他にも装飾品をたくさん頭につけて、美しく着飾っている。
 今だけなのか。それとも元からなのか……少しだけつり上がった目のせいで、きつい印象を与えてしまっていた。それでも白い肌に生えたあかべにが、この女性の色艶いろつやさらしめている。
 そんな女性の着ている服は、青を強調としていた。衣は水色で、全体的に爽やかさがある。

「──あら。楊周ヤンヂョウ妃様、お久しゅうございます」

 青が目立つ女性は、楊周ヤンヂョウ妃よりも少しだけ背が高い。よわいで言えば二十五歳前後、楊周ヤンヂョウ妃よりも若いだろう。
 けれどその見た目に反して、声が少しだけ低かった。


「ふふ。ええ、海羅ハイルゥォ妃様も、お元気のようで何よりですわ」

 楊周ヤンヂョウ妃も負けていないよう。さしばで口を隠し、ホホホと愛想笑あいそわらいをしていた。
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