香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫(299)

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一族の謎

香一族と玄武《シュエンユー》

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 香 麗然コウ レイラン曹朱ツァオジュは二人で無理やりカマクラの中に入る。
 金明ジンミン玄偽シエンイは侍女という立場なため、カマクラの外で待機していた。

「ねえ。【やきとり】たちの話だと、この山の狼を退治すると、結界が剥がれて大変なことになるって……どうするの?」

「……諦めるしかないだろうな」

 よほど悔しいのだろう。曹朱ツァオジュの眉はいつになくつり上がり、唇はきつくしめられていた。

 香 麗然コウ レイランからすれば、彼の願いはどうでもいいことだった。けれど、そう考えてしまう 自分に腹が立つという不思議な感覚が生まれる。
 もとより妃になった時点で、曹朱ツァオジュに深入りするつもりはなかった。けれど隣にいること そばにいることが当たり前になっていて、それがとても嬉しいとすら思えてしまう。
 
 (……私、曹朱ツァオジュを、どう思ってるんだろう? ううん。本当は分かってる。私は、この人のことが……)

 好きなんだ。友だちではなく、異性として。修行が終わっても、妃の座を降りても、ずっと一緒にいたい。
 心の奥がほわほわと暖かくなり、ホッとする。
 オモニやシマエナガたちよりも短い時間しかいないはずなのに、そばにいることが当たり前になっていた。 
 彼女の中で確かな想いが、はっきりと現れる。けれどそれに蓋をした。

 (だって曹朱ツァオジュは皇帝だもの。一人の妃に 縛られるわけにはいかないい。私がこの人を好きだったとしても、実ることなんてないんだ)
 
 恋を経験したことのない彼女にとって、今、目の前にいる青年を想うこと。想ってはいけないんだと、心の奥深くで、何かが警告けいこくしていた。

 (いけないわ。何、考えてるのよ私は。今は、そんな状況じゃない)

 気持ちを切り替えるために、自らの両頬をパチンとたたく。気を取りなおし、軽く深呼吸した。

「……曹朱ツァオジュ、今回のこと、整理しましょう?」
 

「ん? ああ、そうだな」

 カマクラの外にいる侍女たちを呼ぶ。そして自らも外に出て、四人で話し合いを始めた。

「私たちの前にある謎は三つ。一つは、私の一族のこと。これに関してはまあ……何とかなると思う。二つ目はあなた、玄偽シエンイよ。玄偽シエンイとの関係がまだ、あやふやな状態。そのことは追々、話してくれるのよね?」

 玄偽シエンイはこくりと頷く。

「そして三つ目。これが一番重要よ。ここの結果はいったい、何を守っているのか……ううん。何を封印しているのか」

 三本指を立て、神妙な面持ちで語った。
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