至高の騎士、動きます〜転生者がこの世界をゲームと勘違いして荒らしてるので、最強騎士が分からせる〜

nagamiyuuichi

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エルフ族救作戦

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「私の村に、異変が起こったのは、私達が竜神様に大岩を捧げに行った後よ」
 
 その後局長も戻り少女も元気を取り戻したということで、私たちは引き続き少女から村に何が起こったのかを聞くことにした。

 衰弱から立ち直ったとはいえ、エリクサーであっても心の傷まではいやせない。

 本来であれば時間をおいて聞くのが正しい選択であり、少女に対し酷なことを迫っていることを理解しながら
 も……真っすぐに私たちを見据えてくれる少女の勇気に私たちは甘えることにする。

「あの巨体の餌運びを君だけで?」

 ミアちゃんの言葉に、疑るようにつぶやく局長。 

 確かに、あの巨体が満足するだけの大岩を彼女の力だけで運び出すというのはにわかには信じがたい。

 しかし。
「私だけじゃなくて、お友達のアリサと一緒にお仕事をしていたわ……大岩は、私が魔法で軽くすることができた
から」

 そういうと、一つ少女はぼそりと呟くと、手に持っていたカップから手を放す。

 しかしカップは落ちることなくふわりふわりと宙に浮かぶ。

「なるほど、その魔法はゼログラビティか。重力魔法とはまた随分と渋い」

「当たり前のように使ってるけど、それもライトニングボルトと同じ第四番魔法だね……エルフの村は全員当たり
前のようにその魔法を使うのかい?」

 局長はあきれたように、呟くがミアちゃんは首を左右に振り。

「いいえ、私だけ。村長さんは、私が勇者様に愛されてるからだって言ってたけど……でも」
 
 ぎゅっと自分を責めるように手を握りしめるミアちゃん。

「自分を責めるんじゃないよ……何があったんだい?」

 ルインさんは優しく肩に手をのせてそう呟き。ミアちゃんは話を続ける。

「毎日のお仕事を終えて二人で村に戻ると村はいつも通りだったわ。煙突からは煙が出てて、おばさんが作るクルミのパンの匂いが村中にあふれてた。私は、友達のアリサにおなかすいたねって言って手を引いたらアリサがその
場に崩れ落ちたの」

「し、死んでしまったんですか?」

 私の言葉にミアちゃんは首を振る。

「ううん、寝てただけ。でも変でしょ? さっきまで一緒にお花を摘んだり、走っていたのにいきなり寝てしまって。私怖くなって、慌ててセネルおばさまを呼びに行ったの。セネルおばさまは村で一番お薬に詳しい人だったから……でも、セネルおばさまの家に入ったら」

 カタカタと体を震わせるミアちゃん。

「そのセネルという人も眠ってしまっていたんだね? 不自然に」

 局長は話の続きを促すようにつぶやくと、ミアちゃんの震えは収まり話の続きを始める。

「ええ、薬箱を手に持ったまま床で眠っていたの。ほかの大人たちに助けを求めたけど、みんな、みんな眠ってしまっていた。おかしいって思ったわ。そして同時にみんなが誰かに何かをされたんだって思ったの。でも、村の戦士たちはみんな狩りに出かけていて、戻ってくるのは夕方を過ぎてから。だから私怖くておうちのベッドの下に隠れたの。お母さまから、怖い人が来たらベッドの下に隠れなさいって言われてたから」

「懸命だねぇ。そのあとは覚えているのかい?」

「大きな音がしたわ。怒鳴り声や笑い声。聞いたことのある声もあればない声も、地響きも何かが燃えるような音も。でも、その音もしばらくしたら止んで、怖かったけど外に出てみたら、もうそこには誰もいなかった。全員あの人たちに連れていかれたの」

「あの人たち?」

「剣を持ったぼろぼろの服を着た人たち……馬車にみんなを積み込んで、森の奥へ行くのが見えてそれを追いかけたわ」

「一人でかい?」

「ええ、森をでてはいけないっていわれてたけど、皆のために追いかけてった。助けられるかもって思ったわ……でも、だめだった」

「なぜ?」

 カタカタと震えるミアちゃん。

「とっても、とっても怖い人が二人いた。遠くから見ただけなのにとっても怖くて……体が動かなくなって、逃げ出したの」

 カタカタと肩を震わせ、ミアちゃんは言葉を閉ざす。

 見た目は私と同じ背丈の少女であるがまだ子供。その恐怖は計り知れない。

「おそらく、村の者達を眠らせたのは【クレイドル】という魔法だろう。第四番魔法で……第四番魔法以上の魔法を使えるもの以外を眠らせる魔法だ」

「なるほど、だからミアちゃんだけは平気だったんだね? でも、第四番魔法を使える人間なんてそれこそ稀だ……つまりは」

「論理的に考えて、エルフ族の誘拐は転生者の犯行と考えるべきだろう。アーリーやマスターが言う通り、この世界で第四番魔法が大魔法と呼ばれるものであるならば……【クレイドル】の魔法は不可避の眠りの呪文ということになるからな。魔力の節約にもなる……捕縛に使用するならうってつけだ」

 転生者がかかわっているという言葉に、私は意外にも驚かなかった。

 それは私が転生者という存在に慣れてしまったのか。

 それとも、なんとなくそんな気がしていたのかどちらなのかはわからなかったが、私は比較的に冷静にその事実を受けれ入れた。

「転生者……まさかこんな短時間でこれだけ奴らがかかわる事件に巻き込まれるとはね。サクヤ君、君は呪われでもしているのかい?」

「知りませんよ……」

 局長の呑気な発言にもはや怒りすらわくことなく私はあきれてそう呟く。

「お願い……誰か、皆を助けて……お願い……」

 泣きながら、うわごとのように震えるミアちゃん。

 しかしルインさんは苦虫をかみつぶしたような表情を見せる。

「転生者に対抗できる戦力なんざ残っちゃいない……助けたいのはやまやまだが、村一つを数時間で滅ぼす奴らだ。ギルドでも対処ができるような化け物じゃない」

「ふむ……ならばこういう時こそ俺の出番だろう」

 頭を悩ませるルインさんの表情をよそにナイトさんはミアちゃんの前にしゃがむ。

「おにい……さん?」
 
 泣きじゃくるミアちゃんは、ナイトさんの顔を見つめ。ナイトさんもまたミアちゃんをじっと見つめる。

「場所は覚えているか?」

「え? ええ!」

「案内は?」

「で、できるわ」

 おどけながらも力強く答えるミアちゃん。

 それにナイトさんはにやりと笑うとこちらを見る。

 もはや実力の心配など必要ないだろう? そう問うように。

 当然私の至高の騎士が、この程度のことで止まるわけはない。

 それに、私も騎士として、自分の従者が―――勝手にとはいえ―――結んだ約束を反故にするわけにはいかない。

 だからこそ。

「ええ! 命じるわ、我が騎士ナイト=サン! エルフ族を救出しなさい!」

 私はその願いを、ナイト=サンに命じる。

「イエス! マイマスター!」

 その命令に喜び震えるようにナイトさんは高らかに叫び、剣を取るが……。

「ちょっと!? ギルドマスターとしてそんなことは許さないよ!?」

 ルインさんはそう叫び、ナイトさんの腕を爪を立てて掴む。

 髪は総毛立ち、瞳の色は金色に染まっており、その姿からは焦りが垣間見えた。

 ギルドマスターとしての自分と、彼女たちを助けたい冒険者としての自分がせめぎあっているようだ

「なぜ止める? 冒険者とは本来自由である存在のはずだ。ギルドに縛られるゆえんはない……それに、こんな小さな少女までも勇気をだして戦ったのだ、それに応えなければナイトではない」

「あぁ、この少女は立派さ。アジトを突き止めたその勇気も本物だ! だが自由には必ず責任が伴うんだよ。こと
預かっているのはアンタの命だけじゃあない! エルフの村人の命を背負っているんだ」

「あぁ、だから責任をもってエルフ族を救出しよう」

「それが驕りだって言ってるんだ! 土地勘も冒険者としてのスキルもブレイブすら会得していないアンタだけじゃ、とてもじゃないがエルフ族の救出なんて不可能だ」

「あぁそうだな。 確かに敵が複数いる中での救出作戦だ……一人で全員を助けるのはなかなかに骨が折れるだろう。俺だって考えなしじゃない」

「ほら……だったら」

「だがそれは一人だったらの話だ……俺たちには仲間がいる。そのためのエリクサーだ」

 小瓶に詰められた、透き通った青い液体。

 エリクサーをルインさんの目の前で一度揺らし、ナイトさんは口元を吊り上げるのであった。
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