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34.戸惑い
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心臓の音が、いつもより早い。
ノエルの言葉に動揺しているのを悟られぬよう、冷静をつとめ、確かめる。
「それは、少なくとも100はあるってこと?」
ノエルは神妙にうなずいた。
ユールは少し考えてから口をひらく。
「100を超えるのって、やっぱり君の国でも珍しい?」
「元々100なんて滅多に超えないから測定器の値がそこまでになってるんだろ?王族の血筋なら、それなりにいた気はするけど」
思っていた以上に高位の人間が出てきてしまった。
「ちなみに君の数値は聞いても構わない?」
「今更遠慮ぶられてもな。95だよ」
公爵の血筋で95か。
そのうえ、彼は兄より高かったはずだ。
「一族の中じゃ、俺が一番高かったよ」
問われるのをわかっていたようで、ノエルはユールが聞く前に先に答えた。
「先祖返りが色濃く出るとかってあると思う?」
思いつくままに聞いてみる。
「無いとは言えない。けど、リントのは後天性なんだろ?どっちかっつーとそっちに原因がありそうだけど」
「後天性?」
「あいつの魔力値があがったのは、先生のせいらしいぜ?」
ユールは口に手を当て、今まで以上に眉根を寄せた。
それは、イーデンの父か、それとも祖父か。
専科時代の先生となると数が多すぎるが、多分それはないとユールは確信していた。
ユールが初めて彼女に会ったのは、自分が9歳の時だ。
その時の彼女は今と変わらず綺麗な薄茶の髪だったが、瞳はもっと深い緑だった。
その瞳が鮮緑に変わったのを知ったのは、自分が17の時。
当時リントは14だった。
専科に入るずっと前である。
8年ぶりに会いに行ったのは、イーデンの口から彼女の名前を聞いたのがきっかけだった。
『運命』という言葉はあまりに陳腐だが、縁を感じてしまったのは否めない。
ユール自身、自分の環境に辟易していた頃でもあり、金も時間も、ある程度自分の自由に使えるようになっていたせいもあるかもしれない。
もちろん、向こうが覚えているとも思っていなかったし、むしろ幻滅したくて会いに行ったという方が正しい。
幼い頃の思い出を支えにしている弱い自分が嫌だった。
きっと、自分の記憶はいいように美化されている。
彼女に会って、『やっぱり大したことないじゃないか』と思いたかった。
馬鹿馬鹿しいこの感情に決着をつけ、自分を囲む打算まみれの世界が当たり前なのだと、すべてを割り切ってしまいたかった。
なのに、言葉を交わした彼女は、変わっていなかった。
見た目はもう女の子とは呼べないほど成長していたが、芯は変わらずあの頃のままで―。
思い出の中に深く沈みそうになっているのに気がつき、ユールは思考を止めた。
とにかく、瞳の色が変わるなど、よっぽどのことだ。
魔力値が上がった事と関係があるのではないかと、ユールは考えていた。
「それ、いつ頃か言ってた?」
「6歳ごろだったかな。高熱が出た後で数値が上がったって」
ノエルはリントから聞いた話を詳しくユールに伝えた。
聞きながら、ユールは頭の中で自分の記憶やイーデンから聞いた事、調べた情報とひとつひとつすり合わせていく。
重なるところもあれば、矛盾することもある。
点と点がつながらない。
決定的な何かが欠けている。
今すぐに結論は出せそうにもなかった。
それにしても、自分が頼んだ事なのに、リントに何でも話してもらえるノエルが恨めしい。
ノエルは彼女にとって唯一の属性持ちだ。
師事したいという以上に、自分の理解者として望んでいるのだろう。
仕方がない事だとはわかっているが、リントに頼られないのはやはり辛い。
「わかった。ありがと。また頼むよ」
「最初の頃みたいに、視てればよくないか?」
「そうしたいのは山々だけど、あれ、範囲そんなに広くないし、結界の中までは入れないから」
そう言って、ユールはいくつか魔道具を取り出す。
「結界用の魔道具?」
「よかった。知ってるんだね。教える時に必要だと思って持ってきたんだ」
『あと、これと、これも』と次々とノエルの前に魔道具が置かれていく。
何故かノエルの顔が焦りだした。
「おい、いくつ出す気だよ。こんなに要らないだろ」
「いや、でも万が一ってことがあるし」
攻撃系の魔法は防御よりも制御が難しい。
慣れていない事も含め、リントの数値を考えると備えておいた方がいい。
そう説明したものの、ノエルの顔は渋いままだ。
「それにしたって…こんだけあったら家一軒、余裕で建つだろ」
『こんな高価なもの預かれるかよ…』とノエルはぼやいている。
値段が気にかかっているらしい。
「返せなんて言わないよ。好きに使って。授業料とでも思ってよ」
軽く言ったユールに、ノエルは呆れた声で返す。
「お前馬鹿か?脅してる人間に授業料払う奴がどこにいんだよ」
「あはは、『馬鹿』って久しぶりに言われたな」
無意識に出た笑いに、ユールはいつの間にか気負わず話をしていた自分に気づいた。
元々『脅す』と言っても、本人に恨みがあるわけでもない。
それよりも秘密を共有していることに対する連帯感に比重が傾いているのかもしれないと自分自身を分析する。
―こういうところが『甘い』って言われるんだよな。
ユールは、普段は優しいが、商売となると一切の私情を挟まない父親の顔を思い浮かべていた。
そんな風に思われているとは知らないノエルは、机に出された魔道具をひとつひとつ確認している。
ユールが持ち込んだものは、広範囲用の結界を作る道具、攻撃防御や魔力感知、目くらまし、盗聴妨害と様々だ。
ノエルとしては、どうも最小限にしたいらしく、一生懸命より分けている。
文句をいいながらも、真面目に仕分ける彼の姿は見ていて面白い。
その時、ふとノエルの視線が1つの魔道具で止まった。
顔をあげ、ユールに問いかけてくる。
「これ、女物に見えるんだけど?」
ノエルの手にあるのは、細身の腕輪だった。
プラチナでできたそれは、表には文様が、裏には色の違う宝石が数種類埋め込まれている。
文様は巧妙に隠してあるが、魔法陣が組んであった。
「ああ、それはリント用」
ユールは当然とばかりに言う。
「?じゃあなんで俺に?」
「君から渡してもらおうと思って」
ノエルの眉がさらに寄った。
「やだよ。自分で渡せよ」
そういって、ユールの方へと押しやってくる。
それをユールはそのままノエルへ押し戻した。
「頼むよ」
「なんでだよ」
「…俺からじゃ、受け取ってくれないと思うから」
一拍置いて口にした言葉は、自分が思う以上に心許なく響いた。
「それでも、これは俺が渡すべきじゃない」
てっきりくだらないと一蹴されるかと思いきや、ノエルは意外にも真っ直ぐ言葉を返してきた。
けれど、ユールがその表情を確認する前に、いつもの調子に戻ってしまう。
「別にそんな深く考えなくてもさ、仕事で必要だとかなんとか言えばいいじゃないか。あんたそういうの得意だろ?」
ユールは苦笑いを浮かべた。
自分より5つも下の男に気を使われてしまった。
「そう、だね。そうしてみるよ」
ユールは腕輪を箱に戻し、大切に懐へしまい直した。
ノエルの言葉に動揺しているのを悟られぬよう、冷静をつとめ、確かめる。
「それは、少なくとも100はあるってこと?」
ノエルは神妙にうなずいた。
ユールは少し考えてから口をひらく。
「100を超えるのって、やっぱり君の国でも珍しい?」
「元々100なんて滅多に超えないから測定器の値がそこまでになってるんだろ?王族の血筋なら、それなりにいた気はするけど」
思っていた以上に高位の人間が出てきてしまった。
「ちなみに君の数値は聞いても構わない?」
「今更遠慮ぶられてもな。95だよ」
公爵の血筋で95か。
そのうえ、彼は兄より高かったはずだ。
「一族の中じゃ、俺が一番高かったよ」
問われるのをわかっていたようで、ノエルはユールが聞く前に先に答えた。
「先祖返りが色濃く出るとかってあると思う?」
思いつくままに聞いてみる。
「無いとは言えない。けど、リントのは後天性なんだろ?どっちかっつーとそっちに原因がありそうだけど」
「後天性?」
「あいつの魔力値があがったのは、先生のせいらしいぜ?」
ユールは口に手を当て、今まで以上に眉根を寄せた。
それは、イーデンの父か、それとも祖父か。
専科時代の先生となると数が多すぎるが、多分それはないとユールは確信していた。
ユールが初めて彼女に会ったのは、自分が9歳の時だ。
その時の彼女は今と変わらず綺麗な薄茶の髪だったが、瞳はもっと深い緑だった。
その瞳が鮮緑に変わったのを知ったのは、自分が17の時。
当時リントは14だった。
専科に入るずっと前である。
8年ぶりに会いに行ったのは、イーデンの口から彼女の名前を聞いたのがきっかけだった。
『運命』という言葉はあまりに陳腐だが、縁を感じてしまったのは否めない。
ユール自身、自分の環境に辟易していた頃でもあり、金も時間も、ある程度自分の自由に使えるようになっていたせいもあるかもしれない。
もちろん、向こうが覚えているとも思っていなかったし、むしろ幻滅したくて会いに行ったという方が正しい。
幼い頃の思い出を支えにしている弱い自分が嫌だった。
きっと、自分の記憶はいいように美化されている。
彼女に会って、『やっぱり大したことないじゃないか』と思いたかった。
馬鹿馬鹿しいこの感情に決着をつけ、自分を囲む打算まみれの世界が当たり前なのだと、すべてを割り切ってしまいたかった。
なのに、言葉を交わした彼女は、変わっていなかった。
見た目はもう女の子とは呼べないほど成長していたが、芯は変わらずあの頃のままで―。
思い出の中に深く沈みそうになっているのに気がつき、ユールは思考を止めた。
とにかく、瞳の色が変わるなど、よっぽどのことだ。
魔力値が上がった事と関係があるのではないかと、ユールは考えていた。
「それ、いつ頃か言ってた?」
「6歳ごろだったかな。高熱が出た後で数値が上がったって」
ノエルはリントから聞いた話を詳しくユールに伝えた。
聞きながら、ユールは頭の中で自分の記憶やイーデンから聞いた事、調べた情報とひとつひとつすり合わせていく。
重なるところもあれば、矛盾することもある。
点と点がつながらない。
決定的な何かが欠けている。
今すぐに結論は出せそうにもなかった。
それにしても、自分が頼んだ事なのに、リントに何でも話してもらえるノエルが恨めしい。
ノエルは彼女にとって唯一の属性持ちだ。
師事したいという以上に、自分の理解者として望んでいるのだろう。
仕方がない事だとはわかっているが、リントに頼られないのはやはり辛い。
「わかった。ありがと。また頼むよ」
「最初の頃みたいに、視てればよくないか?」
「そうしたいのは山々だけど、あれ、範囲そんなに広くないし、結界の中までは入れないから」
そう言って、ユールはいくつか魔道具を取り出す。
「結界用の魔道具?」
「よかった。知ってるんだね。教える時に必要だと思って持ってきたんだ」
『あと、これと、これも』と次々とノエルの前に魔道具が置かれていく。
何故かノエルの顔が焦りだした。
「おい、いくつ出す気だよ。こんなに要らないだろ」
「いや、でも万が一ってことがあるし」
攻撃系の魔法は防御よりも制御が難しい。
慣れていない事も含め、リントの数値を考えると備えておいた方がいい。
そう説明したものの、ノエルの顔は渋いままだ。
「それにしたって…こんだけあったら家一軒、余裕で建つだろ」
『こんな高価なもの預かれるかよ…』とノエルはぼやいている。
値段が気にかかっているらしい。
「返せなんて言わないよ。好きに使って。授業料とでも思ってよ」
軽く言ったユールに、ノエルは呆れた声で返す。
「お前馬鹿か?脅してる人間に授業料払う奴がどこにいんだよ」
「あはは、『馬鹿』って久しぶりに言われたな」
無意識に出た笑いに、ユールはいつの間にか気負わず話をしていた自分に気づいた。
元々『脅す』と言っても、本人に恨みがあるわけでもない。
それよりも秘密を共有していることに対する連帯感に比重が傾いているのかもしれないと自分自身を分析する。
―こういうところが『甘い』って言われるんだよな。
ユールは、普段は優しいが、商売となると一切の私情を挟まない父親の顔を思い浮かべていた。
そんな風に思われているとは知らないノエルは、机に出された魔道具をひとつひとつ確認している。
ユールが持ち込んだものは、広範囲用の結界を作る道具、攻撃防御や魔力感知、目くらまし、盗聴妨害と様々だ。
ノエルとしては、どうも最小限にしたいらしく、一生懸命より分けている。
文句をいいながらも、真面目に仕分ける彼の姿は見ていて面白い。
その時、ふとノエルの視線が1つの魔道具で止まった。
顔をあげ、ユールに問いかけてくる。
「これ、女物に見えるんだけど?」
ノエルの手にあるのは、細身の腕輪だった。
プラチナでできたそれは、表には文様が、裏には色の違う宝石が数種類埋め込まれている。
文様は巧妙に隠してあるが、魔法陣が組んであった。
「ああ、それはリント用」
ユールは当然とばかりに言う。
「?じゃあなんで俺に?」
「君から渡してもらおうと思って」
ノエルの眉がさらに寄った。
「やだよ。自分で渡せよ」
そういって、ユールの方へと押しやってくる。
それをユールはそのままノエルへ押し戻した。
「頼むよ」
「なんでだよ」
「…俺からじゃ、受け取ってくれないと思うから」
一拍置いて口にした言葉は、自分が思う以上に心許なく響いた。
「それでも、これは俺が渡すべきじゃない」
てっきりくだらないと一蹴されるかと思いきや、ノエルは意外にも真っ直ぐ言葉を返してきた。
けれど、ユールがその表情を確認する前に、いつもの調子に戻ってしまう。
「別にそんな深く考えなくてもさ、仕事で必要だとかなんとか言えばいいじゃないか。あんたそういうの得意だろ?」
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