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36.新しい友達
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ユールとお昼を共にした後、出かける1人と1頭を見送ったリントは、それほど離れていない場所にあるヒポグリフの獣舎へと向かっていた。
練習の日が決まってからというもの、リントは必ず獣舎に顔を出していた。
乗る前に少しでも慣れてくれればという気持ちだったが、『触りたい』という欲求があったのも事実である。
この隊には、現在12頭のヒポグリフが飼育されている。
獣舎はペガサスと一緒の造りだが、体格に合わせて一回り大きく間取りが取ってあるので、かなり広い。
リントはそっと中へ入ると、1頭のヒポグリフに声をかけた。
「こんにちは。遊びに来たよ」
ヒポグリフはこちらを振り向くと、耳をぱたぱたと動かして『きゅいっ』と鳴いた。
見た目のわりに高くかわいらしい声をしているので、初めて聴いたときは、それとは思わず、近くで鳥でも鳴いているのかと、周りを見回してしまった。
「撫でてもいい?」
そう聞くと、柵ぎりぎりまで近づいてきて、顔をこちらへ出してくれる。
手を伸ばすと、やわらかい感触とともに、ほどよいぬくもりに包まれた。
この子は、討伐の時ユールと一緒に乗った子だ。
個体によっては気難しい子もいるそうで、一度でも乗ったことのある子の方がいいだろうと、練習の相手に決まった。
慣れたら、他の子でも練習する予定だ。
生き物である以上、体調のすぐれない時や負傷もある。
隊にいる子はどれでも乗れるようにしておかないと、肝心な時に役に立てない。
リントが毛の流れに合わせて撫でるを繰り返していると、ヒポグリフは気持ちよさそうに目を細めた。
柵に頭を持たせかけたので、少し手を伸ばして耳の後ろあたりを撫でる。
手の届くところは大体撫でてみたが、犬と似通ったところが好きらしかった。
「ずいぶん懐いたね」
「トートさん」
ついさっき、ユールから同じようなセリフを聞いたな、と思いながら振り返った先には鞍を抱えた女性がいた。
午後の演習の準備に来たらしい。
彼女はリントが初めてここへ来た日に隊長と一緒に挨拶を受けた隊員だ。
ヒポグリフの乗り方を教えてもらう先生でもある。
「『さん』?」
「あ、えと、『トート』」
敬称を外して呼び直すと、トートは満足気に笑った。
トートとは初対面の時はお互い遠慮していて全く話せなかったが、獣舎へ顔を出すようになってから少しづつ言葉を交わすようになった。
年頃らしく流行が気になるようで、都市で人気のものとか、最新の洋服の話とかよく質問される。
最初は『シエルさん』と呼んでいたのだが、年下だから『トートでいい』と言われた。
が、リントはなかなか『さん』付けが抜けなくて今みたいに注意されている。
「最初から従順だったけど、最近はすっかり甘えるようになっちゃって。隊長よりも懐いているんじゃない?」
「それはさすがにないよ」
冗談とわかっていていても、他の隊員に聞かれたらちょっとまずい。
リントはトートに気づかれないよう、さりげなく周りを確認した。
幸い他に人影は見えず、ほっと息をつく。
若い故なのか、性格なのか、トートはあまり考えずにきわどい発言をすることが多くて、聞いているこちらがはらはらしてしまう時がある。
リントは他の隊員たちの内輪話を聞いた事が無いので、これが隊員の間では普通なのかがわからず、指摘していいものか判断しかねていた。
トートは、話しながらもヒポグリフに鞍を乗せ、準備を着々と進めている。
リントはこれ以上余計な話になる前に話題を変えた。
「今日はなんの演習?」
「演習は魔鳥の追い込み。あとは弓の練習」
「弓?」
あの巨大な魔鳥たちに矢を放っても、目や急所を的確に射貫かない限り、意味はなさそうな気がする。
「ヒポグリフに乗ったまま、的を射るの。実戦向きじゃないけど、技術力を上げるための練習かな」
以前ユールから聞いた隊長の演舞と同じ意味合いだろう。
式典やお祭りで披露して、軍の技術力や威光を見せつけるためのものか。
国の有事など滅多にない今は、そういった場で人気取りをしておかないと予算に響くのだ。
「怪我しないでね」
「大丈夫よ。いざというときは回復薬もあるし。夜警は退屈だから、私は怪我しても練習してる方が好きだな」
きっぱり言い切った後、トートはこちらを向いて悪戯っぽく笑う。
「それに、運動した後のお酒は最高!」
『あはは』と大きく口を開けてわらう彼女につられて、リントも笑った。
リントはあまり飲めないので本当のところはわからないが、冷たい炭酸水を飲んだ時の喉がきゅっと締まる爽快感と似ているのではないかと勝手に思っている。
「そういえば、まだ一緒にご飯食べた事ないよね?」
「そうね。ほとんどここで話してるから」
「急だけど、今夜どう?」
突然の誘いに、リントは戸惑った。
以前ユールに言われたことが頭を過ったからだ。
「実は、私まだ町には行ったことが無くて。よそ者は目立つから、最初は一緒に行こうってユールさんからも言われてて」
リントは素直に話した。
ちなみに、はじめの頃は隊の人たち向けには『ナファルさん』と言っていたのだが、みんな『ユール』呼びで却ってややこしかったので、今は名前呼びにしている。
「えぇ?大丈夫だよ。魔羊や魔牛が特産品になってから、観光客もだいぶ増えたし。1人ならともかく、地元の私も一緒だし。ユールさんだって、よくみんなと飲み歩いてるよ?」
「先輩が…」
リントの口から小さなつぶやきが漏れた。
そういえば、ノエルも同じようなことを言っていたなと思い出す。
「ユールさん、気さくでいい人だよね。仕事できるし、かっこいいし」
『憧れるなー』と言うトートの目に熱や焦がれは見えない。
本当にただの『憧れ』なのだろう。
確かに仕事もできるし、格好はいいが、彼の恋愛事情を聞いてしまった身としては、あまりおすすめはできない。
憧れのままなら実害はないので、夢は壊さないでおく。
迷うリントに、トートがさらにひと押ししてきた。
「お土産屋さんも色々あるよ。何か欲しいものとかない?」
欲しいもの。
リリーの顔が思い浮かぶ。
「シードル、買えるお店あるかな?美味しかったから、友達にあげたくて」
「あるある。贈答用の高いのもいいけど、お手軽で美味しいのもたくさんあるよ!」
トートは醸造所の名前と銘柄を次々に挙げていく。
先ほどの言動をみても、かなりいける口なのだろう。
「じゃぁ、終業後に門の前で。馬車が出るまでに来てね!」
ユールが帰ってきたら、説明して今日は先に帰ってもらおう。
大きく手を振るトートに、リントは小さく振り返して獣舎を後にした。
練習の日が決まってからというもの、リントは必ず獣舎に顔を出していた。
乗る前に少しでも慣れてくれればという気持ちだったが、『触りたい』という欲求があったのも事実である。
この隊には、現在12頭のヒポグリフが飼育されている。
獣舎はペガサスと一緒の造りだが、体格に合わせて一回り大きく間取りが取ってあるので、かなり広い。
リントはそっと中へ入ると、1頭のヒポグリフに声をかけた。
「こんにちは。遊びに来たよ」
ヒポグリフはこちらを振り向くと、耳をぱたぱたと動かして『きゅいっ』と鳴いた。
見た目のわりに高くかわいらしい声をしているので、初めて聴いたときは、それとは思わず、近くで鳥でも鳴いているのかと、周りを見回してしまった。
「撫でてもいい?」
そう聞くと、柵ぎりぎりまで近づいてきて、顔をこちらへ出してくれる。
手を伸ばすと、やわらかい感触とともに、ほどよいぬくもりに包まれた。
この子は、討伐の時ユールと一緒に乗った子だ。
個体によっては気難しい子もいるそうで、一度でも乗ったことのある子の方がいいだろうと、練習の相手に決まった。
慣れたら、他の子でも練習する予定だ。
生き物である以上、体調のすぐれない時や負傷もある。
隊にいる子はどれでも乗れるようにしておかないと、肝心な時に役に立てない。
リントが毛の流れに合わせて撫でるを繰り返していると、ヒポグリフは気持ちよさそうに目を細めた。
柵に頭を持たせかけたので、少し手を伸ばして耳の後ろあたりを撫でる。
手の届くところは大体撫でてみたが、犬と似通ったところが好きらしかった。
「ずいぶん懐いたね」
「トートさん」
ついさっき、ユールから同じようなセリフを聞いたな、と思いながら振り返った先には鞍を抱えた女性がいた。
午後の演習の準備に来たらしい。
彼女はリントが初めてここへ来た日に隊長と一緒に挨拶を受けた隊員だ。
ヒポグリフの乗り方を教えてもらう先生でもある。
「『さん』?」
「あ、えと、『トート』」
敬称を外して呼び直すと、トートは満足気に笑った。
トートとは初対面の時はお互い遠慮していて全く話せなかったが、獣舎へ顔を出すようになってから少しづつ言葉を交わすようになった。
年頃らしく流行が気になるようで、都市で人気のものとか、最新の洋服の話とかよく質問される。
最初は『シエルさん』と呼んでいたのだが、年下だから『トートでいい』と言われた。
が、リントはなかなか『さん』付けが抜けなくて今みたいに注意されている。
「最初から従順だったけど、最近はすっかり甘えるようになっちゃって。隊長よりも懐いているんじゃない?」
「それはさすがにないよ」
冗談とわかっていていても、他の隊員に聞かれたらちょっとまずい。
リントはトートに気づかれないよう、さりげなく周りを確認した。
幸い他に人影は見えず、ほっと息をつく。
若い故なのか、性格なのか、トートはあまり考えずにきわどい発言をすることが多くて、聞いているこちらがはらはらしてしまう時がある。
リントは他の隊員たちの内輪話を聞いた事が無いので、これが隊員の間では普通なのかがわからず、指摘していいものか判断しかねていた。
トートは、話しながらもヒポグリフに鞍を乗せ、準備を着々と進めている。
リントはこれ以上余計な話になる前に話題を変えた。
「今日はなんの演習?」
「演習は魔鳥の追い込み。あとは弓の練習」
「弓?」
あの巨大な魔鳥たちに矢を放っても、目や急所を的確に射貫かない限り、意味はなさそうな気がする。
「ヒポグリフに乗ったまま、的を射るの。実戦向きじゃないけど、技術力を上げるための練習かな」
以前ユールから聞いた隊長の演舞と同じ意味合いだろう。
式典やお祭りで披露して、軍の技術力や威光を見せつけるためのものか。
国の有事など滅多にない今は、そういった場で人気取りをしておかないと予算に響くのだ。
「怪我しないでね」
「大丈夫よ。いざというときは回復薬もあるし。夜警は退屈だから、私は怪我しても練習してる方が好きだな」
きっぱり言い切った後、トートはこちらを向いて悪戯っぽく笑う。
「それに、運動した後のお酒は最高!」
『あはは』と大きく口を開けてわらう彼女につられて、リントも笑った。
リントはあまり飲めないので本当のところはわからないが、冷たい炭酸水を飲んだ時の喉がきゅっと締まる爽快感と似ているのではないかと勝手に思っている。
「そういえば、まだ一緒にご飯食べた事ないよね?」
「そうね。ほとんどここで話してるから」
「急だけど、今夜どう?」
突然の誘いに、リントは戸惑った。
以前ユールに言われたことが頭を過ったからだ。
「実は、私まだ町には行ったことが無くて。よそ者は目立つから、最初は一緒に行こうってユールさんからも言われてて」
リントは素直に話した。
ちなみに、はじめの頃は隊の人たち向けには『ナファルさん』と言っていたのだが、みんな『ユール』呼びで却ってややこしかったので、今は名前呼びにしている。
「えぇ?大丈夫だよ。魔羊や魔牛が特産品になってから、観光客もだいぶ増えたし。1人ならともかく、地元の私も一緒だし。ユールさんだって、よくみんなと飲み歩いてるよ?」
「先輩が…」
リントの口から小さなつぶやきが漏れた。
そういえば、ノエルも同じようなことを言っていたなと思い出す。
「ユールさん、気さくでいい人だよね。仕事できるし、かっこいいし」
『憧れるなー』と言うトートの目に熱や焦がれは見えない。
本当にただの『憧れ』なのだろう。
確かに仕事もできるし、格好はいいが、彼の恋愛事情を聞いてしまった身としては、あまりおすすめはできない。
憧れのままなら実害はないので、夢は壊さないでおく。
迷うリントに、トートがさらにひと押ししてきた。
「お土産屋さんも色々あるよ。何か欲しいものとかない?」
欲しいもの。
リリーの顔が思い浮かぶ。
「シードル、買えるお店あるかな?美味しかったから、友達にあげたくて」
「あるある。贈答用の高いのもいいけど、お手軽で美味しいのもたくさんあるよ!」
トートは醸造所の名前と銘柄を次々に挙げていく。
先ほどの言動をみても、かなりいける口なのだろう。
「じゃぁ、終業後に門の前で。馬車が出るまでに来てね!」
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