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冒険の思い出
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私はすぐに、 赤毛の少年ーー スタリオンのことを 国王陛下に報告した。
純朴そうな少年だ 。利用するのは忍びない。
ノブレスオブリージュ。
魔族と戦うのは、勇者の血を引く貴族の使命なのではないだろうか。
だが、そうも言っていられない。
スタリオンは勇者として選ばれてしまったのだから。
「 むしろ、魔族の件が片付いた後の方が大変だろうな」
「ええ、 彼は貴族の陰謀に巻き込まれるでしょうね」
私とカティアは、 スタリオンがなるべく平和に暮らせるように話し合うことにした。
平民の勇者はいらないと秘密裏に消さそうに なるのか。 それとも、逆に貴族の世界に取り込もうとするのか。
なんにしても、厄介極まりない案件だ。
「 それで、彼は今どうしている?」
「 兵士と一緒に訓練しているところよ。 スタリオンさんは 素人だもの」
「 ならば、私も練習に付き合ってあげればな」
「 エミリアさん、手加減というものを覚えなさいね」
カティアは、 スタリオンの心配をして私に忠告してくる。
大事な勇者を潰すわけにはいかない。 しかし、 実力が伴っていなければ戦場で死ぬことになる。
「 後で魔族に殺されるよりかは、 今この場で私に半殺しにされる方がマシだろ。 彼の事が心配だというのならば、カティアが フォローしてあげればいい。 私は多数との戦いには慣れているから、本気を出してくれてもいいのだよ?」
「 私は聖女だから遠慮しとくよ!」
「聖剣に 導かれた勇者でもあるだろう。 思う存分実力を高め会おうではないか」
「ひえっ!?」
訓練場での 特訓は 1時間ほどで終わった。
全員で 戦わせたというのに、 立っているのは私一人だけ。 こんなことでは大した汗もかけないではないか。
貧弱な連中だ。
カティアは 筋は悪くないのだが、如何せん体力がなさすぎる。 スタリオンは逆に体力はあるのだが、 動きがてんでバラバラで基礎がなっていない。
鍛えた成果はあった。
旅立ちの頃にはスタリオンは様になっていた。カティアも だいぶ 持続力がついてきたように見える。
魔族の目撃情報があり、 私たちはその場所に向かって行った。 途中には罠が仕掛けられていて、 厄介生物も生息している。 一筋縄ではいかないようだ。
スタリオンが壁役として魔物を惹きつける。カティアは 補助魔法と回復魔法でサポートに回る。 私は剣と魔法で、 前衛後衛と臨機応変に駆け回っていた。
なかなかうまく連携が取れている。
とはいえ、スタリオンの戦い方はまだまだ未熟だ。 本人もそれは自覚しているのだろう。 無理に敵を倒そうとせずに壁役に徹している。
弱くても自分の実力を把握して、役割をきちんと果たそうとする者は使える。
カティアだけでなく、 スタリオンも私の仲間として認めてあげよう。
「 エミリア、こんな時に何笑ってるんだよ」
「 お前にはまだまだ 、私の背中を安心して任せられないと思っただけだ」
「 俺が弱いのはわかってるよ。 早く魔物を倒してくれ!」
「 言われなくてもやってやるさ」
私たちは見事に魔族を討ち果たした。
だけど、ここには 魔剣はない。
またしても陽動だったわけだ。やってくれる。
私たちは魔族に振り回されて、 気が付いたら世界中を回っていた。
その途中に、 弓使いのお姫様の チェルシーと 魔法使いのライルが聖剣に 導かれて、 私たちの仲間となる。
チェルシーの情報では彼女の国が魔族に乗っ取られて、 その国の城に 魔剣が安置されていると言う。
魔剣復活の儀式の阻止。
魔将軍ザンギラとの決戦。
私は不覚を取り足を滑らせてしまった。
「 危ない!!」
私は衝撃に備える。 しかし、一向に攻撃が 襲いかかってこない。
「 エミリア、大丈夫か!」
私の目の前に、血まみれになっているスタリオンの姿があった。
「 私をかばったのか!?」
「 俺は壁役だからな 。いいから、さっさとあいつを片付けちまおうぜ」
「ああ、 そうだな」
不覚にもスタリオンのことをかっこいいと思ってしまったではないか。
スタリオンはすでに、 カティアと 恋仲となっているというのに。
自分の気持ちを自覚したとたんに失恋するとは、 実に滑稽ではないか。
八つ当たりでも何でもいい。 私は渾身の一撃を ザンギラに与えた。
「 何も知らないようだな、愚かな操り人形のエミリアよ」
ザンギラは 私に捨て台詞を吐いて絶命した。
一体何だというのだ。 私が操り人形?
ザンギラの 言葉が心に深く残った。
純朴そうな少年だ 。利用するのは忍びない。
ノブレスオブリージュ。
魔族と戦うのは、勇者の血を引く貴族の使命なのではないだろうか。
だが、そうも言っていられない。
スタリオンは勇者として選ばれてしまったのだから。
「 むしろ、魔族の件が片付いた後の方が大変だろうな」
「ええ、 彼は貴族の陰謀に巻き込まれるでしょうね」
私とカティアは、 スタリオンがなるべく平和に暮らせるように話し合うことにした。
平民の勇者はいらないと秘密裏に消さそうに なるのか。 それとも、逆に貴族の世界に取り込もうとするのか。
なんにしても、厄介極まりない案件だ。
「 それで、彼は今どうしている?」
「 兵士と一緒に訓練しているところよ。 スタリオンさんは 素人だもの」
「 ならば、私も練習に付き合ってあげればな」
「 エミリアさん、手加減というものを覚えなさいね」
カティアは、 スタリオンの心配をして私に忠告してくる。
大事な勇者を潰すわけにはいかない。 しかし、 実力が伴っていなければ戦場で死ぬことになる。
「 後で魔族に殺されるよりかは、 今この場で私に半殺しにされる方がマシだろ。 彼の事が心配だというのならば、カティアが フォローしてあげればいい。 私は多数との戦いには慣れているから、本気を出してくれてもいいのだよ?」
「 私は聖女だから遠慮しとくよ!」
「聖剣に 導かれた勇者でもあるだろう。 思う存分実力を高め会おうではないか」
「ひえっ!?」
訓練場での 特訓は 1時間ほどで終わった。
全員で 戦わせたというのに、 立っているのは私一人だけ。 こんなことでは大した汗もかけないではないか。
貧弱な連中だ。
カティアは 筋は悪くないのだが、如何せん体力がなさすぎる。 スタリオンは逆に体力はあるのだが、 動きがてんでバラバラで基礎がなっていない。
鍛えた成果はあった。
旅立ちの頃にはスタリオンは様になっていた。カティアも だいぶ 持続力がついてきたように見える。
魔族の目撃情報があり、 私たちはその場所に向かって行った。 途中には罠が仕掛けられていて、 厄介生物も生息している。 一筋縄ではいかないようだ。
スタリオンが壁役として魔物を惹きつける。カティアは 補助魔法と回復魔法でサポートに回る。 私は剣と魔法で、 前衛後衛と臨機応変に駆け回っていた。
なかなかうまく連携が取れている。
とはいえ、スタリオンの戦い方はまだまだ未熟だ。 本人もそれは自覚しているのだろう。 無理に敵を倒そうとせずに壁役に徹している。
弱くても自分の実力を把握して、役割をきちんと果たそうとする者は使える。
カティアだけでなく、 スタリオンも私の仲間として認めてあげよう。
「 エミリア、こんな時に何笑ってるんだよ」
「 お前にはまだまだ 、私の背中を安心して任せられないと思っただけだ」
「 俺が弱いのはわかってるよ。 早く魔物を倒してくれ!」
「 言われなくてもやってやるさ」
私たちは見事に魔族を討ち果たした。
だけど、ここには 魔剣はない。
またしても陽動だったわけだ。やってくれる。
私たちは魔族に振り回されて、 気が付いたら世界中を回っていた。
その途中に、 弓使いのお姫様の チェルシーと 魔法使いのライルが聖剣に 導かれて、 私たちの仲間となる。
チェルシーの情報では彼女の国が魔族に乗っ取られて、 その国の城に 魔剣が安置されていると言う。
魔剣復活の儀式の阻止。
魔将軍ザンギラとの決戦。
私は不覚を取り足を滑らせてしまった。
「 危ない!!」
私は衝撃に備える。 しかし、一向に攻撃が 襲いかかってこない。
「 エミリア、大丈夫か!」
私の目の前に、血まみれになっているスタリオンの姿があった。
「 私をかばったのか!?」
「 俺は壁役だからな 。いいから、さっさとあいつを片付けちまおうぜ」
「ああ、 そうだな」
不覚にもスタリオンのことをかっこいいと思ってしまったではないか。
スタリオンはすでに、 カティアと 恋仲となっているというのに。
自分の気持ちを自覚したとたんに失恋するとは、 実に滑稽ではないか。
八つ当たりでも何でもいい。 私は渾身の一撃を ザンギラに与えた。
「 何も知らないようだな、愚かな操り人形のエミリアよ」
ザンギラは 私に捨て台詞を吐いて絶命した。
一体何だというのだ。 私が操り人形?
ザンギラの 言葉が心に深く残った。
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