裏切り令嬢はパーティーにいられない

はなまる

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 刹那の刻

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「 勇者の勤めご苦労であった。 そなたたちには褒美をしんぜよう」

 謁見の間で、国王陛下からの お褒めの言葉を拝聴した。

「 ありがたき幸せ」

 私とカティアは、 カーテシーで応じる。 スタリオンは慌てて片膝をつき、 頭を下げた。
 とりあえず及第点といったところか。

「 国王様、お願いがあります」

 カティアが 一番先に申し出た。

「 何だ。遠慮なく申してみよ」
「 私はここにいるスタリオンと一緒になりたいと思っています。 後ろ盾になってください」

 聖女は 本来ならば独身を貫かねばならない。 ましてや結婚など許されるはずがなかった。
 カティアの 場合は例外と言える。 彼女は勇者だ。 勇者は 後世に子孫を残さなければ ならない。

「 しかし、勇者同士の結婚というのは・・・・・・」

 国王 陛下は言い淀んでいる。 できればこの国の貴族と結婚させて、 国に縛り付けたいと思っているのだ。
 全く反吐が出る。

 私は無礼を承知で口を挟むことにした。

「 お言葉ですが、 勇者同士の自由恋愛による結婚は民衆に希望を与えます。カティアと スタリオンはこの 国の出身だから、 よほどのことがない限り故郷を捨てることはないでしょう」

 言外に二人に下手に手を出せば、国外逃亡するようなことを匂わせておく。
 果たして、国王陛下はゆっくりと頷いた。

「 わかった。 二人のことを盛大に祝福しようではないか」
「 よかったな。国中で二人のことを祝ってくれるらしいぞ」
「また、 みんなに騒がれるのかよ・・・・・・」

 私の言葉に、スタリオンは渋い顔をした。




「 仲間か」

 昔は一人で行動した方が早いと思っていた。 そんな私が今では、すっかり仲間のために考えられるようになっている。
 これもスタリオンの影響だろうか。 彼はお人好しすぎて、簡単に他人の懐に入ってくる。

「 鈍感なのが玉に瑕だかな」

 思わず顔がにやけてくる。 思い出し笑いというやつだ。
 こんな私を誰が想像しただろうか。 私自身もびっくりしている。
 スタリオンが私以外のものと一緒になるのは寂しい。 だけど私はカティアのことを 嫌いになれない。 二人が結婚することは辛いよりも 嬉しい気持ちが勝っているんだ。




 屋敷に戻ると異変に気がついた。
 いつもで迎えてくれる侍女達が来ない。 明かりもついていなかった。

 賊の 侵入か?

 警備の者たちは、私が鍛えていたからそれなりの腕前だったはず。
 いや、 争った形跡が見られない。
 上級魔術師の眠りの魔法で 眠らされて、 全員が連れ去られたのだろうか。

 何のために?

 私はおっとり刀で屋敷の中を歩き回ることにした。

「 誰だ!?」

 気配を感じて、私は咄嗟に後ろを振り向いた。

「 屋敷の中に剣を振り回すとは危ないじゃないか」

 私のお父様ーー ヒューバート=マグナスが 私の斬撃を剣で受け止めている。
 お父様の持っている剣は・・・・・・。

「 7本目の聖剣!? どうして、お父様が持っているのです?」

 行方不明だったはずだ。
 お父様は何でもないことのように笑ってみせる。

「 必要だったから手に入れたまでのこと。 それよりもエミリア、お前には存分に働いてもらうぞ」

 お父様の目が光ったと思ったら、 私の力が抜けて行き意識が途切れたーー。





 
 

 
 
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