裏切り令嬢はパーティーにいられない

はなまる

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 仲間に向ける醜い刃

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 私はお父様の命令で、 お城の武器庫に侵入して、魔剣を 盗み出した。
 見張りの者に見つかり、 戦って殺した。
 何の感情もわかない。 目的を遂行するために私は動いていた。




「 いよいよ私の目的を果たすことができる!」

 お父様は歓喜していた。

 魔将軍が世界中を回り 、魔法陣を設置していた。
 お父様は魔剣を使って魔法陣を 起動させる。
 激しい地震の後に、空中に魔王城が出現した。
 お父様の周りには魔族のオーラが纏っている。 どうやら 、魔王に体を乗っ取られているようだ。
 
 お父様を助けたい!

 しかし、 お父様にーー 魔王に操られている私にはどうすることもできなかった。
 確実に魔王の計画が実行されている。

「 スタリオン・・・・・・」

 私は、無意識のうちに スタリオンの名前を呼んでいた。
 誰かにすがるなど私らしくない。 それに、今更どうしようもない状況ではないか。
 私は今や国家に反逆した裏切り者だ。 仲間として受け入れられるはずがない。
 
 悲しくて泣きたくなる。
 それでも操り人形の私は、涙を流すことができなかった。
 
「 お前の仲間たちなら、こちらに向かっているようだぞ。 私たちを捕らえるためにな」

 お父様が私に伝えてきた。

 やはり、そうか。
 私は スタリオンたちの敵になってしまったんだ。

「 エミリア、お前はお仲間を足止めしておけ」
「 わかりました」

 私はお父様の命令を忠実に実行する。



「 エミリア、お前が魔剣を盗んだというのは本当なのか?」

 マグナス家の秘密の要塞の中。 スタリオンたちが侵入してきて、 私に問いかけてきた。

「 何かの間違いだよな。そうなんだろ?」
「 邪魔者は排除する」

 私は剣を構えた。 スタリオンは狼狽している。

「 なんでだよ! どうしてだよ、エミリア!!」
「 戦うしかないの?」

 スタリオンとカティアは、戦うことをためらっている。
 私は構わず剣を閃かせた。

「 本気なんだな!」

 ガードしたスタリオンは、瞳に怒りの色を燃やす。
 斬撃と魔法の応酬。
 多人数との戦闘に慣れている私に死角はない。 全ての範囲を警戒して、 回避しては攻撃を繰り返す。

「 動きが悪いな。ひょっとしてエミリアの偽物か?」
「 エミリア様は魔族に操られているのかもしれません」

 スタリオンのつぶやきに、ライルは私の 状態を言い当てた。

「 それなら、私の魔法で正気に戻します!」

 カティアが そう宣言した。

 呪いを解く魔法は時間がかかる。 それまで3人は、 回復なしで私と戦わなければならない。
 たった3人で私を止められると思うとは 甘く見られたものだ。

「【 シャドウリープスラッシュ】!」

 私はチェルシーの影に瞬間移動して、 彼女を後ろから切り裂いた。 致命傷を与えたから動けないだろう。
 間を置かずに駆け出して、ライルに 剣を向ける。 彼は何とか避けてみせるが、 私の攻撃はそれで終わらない。

「【 ダークナイフレイン】!」

 無数の闇のナイフがライルに 降り注いだ。 それと同時に、 スタリオンにも攻撃魔法を食らわせる。

「【 ストーンブラスト】!」
「【 ファイアボルト】!」

 スタリオンは、咄嗟に攻撃魔法を放って相殺した。 その瞬間には既に、私は間合いを詰めている。
 鋭い斬撃!

「 そんなもんじゃないだろ!」
「ぐっ!?」

 スタリオンに押し返されてしまった。 私の攻撃のパターンが読まれてしまっている。

「 単調になりすぎるな、と言ったのはお前のはずだぜ?」
「【 エアーシュート】!」

 倒れていたはずの チェルシーが 魔法の矢を放ってくる。ライルも 呪文の 詠唱を始めた。

「【 パラライズ】!」

 私の動きが封じられて、 魔法の矢が 私の肩をかすめた。
 私は瞬間移動で距離を取り、 回復魔法でダメージを 回復させる。 痺れが取れるまでは攻撃魔法で しのぐことにした。
 本来の私ならば攻撃を避けるなど雑作もない。 しかし、今の状況では 瞬間移動を使うしかなかった。
 魔力の 消費が激しすぎる。 このままではいずれ戦えなくなってしまう。

 その時。

「【 ディスペル】!」

 カティアの 魔法が完成して、 私の呪いが解けた。

「 私は・・・・・・?」

 すぐには状況がつかめなかった。
 しばらくして私がしでかしたことを理解すると、 ガタガタと体が震えだした。

 こんな私では、もう二度と スタリオンたちの仲間には戻れない。






 
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