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4、 雇用決定?
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「あら、 怪我をしているのね。うちの メロディちゃんが引っ掻いたのかしら?」
「 私はそんなことしてないわ。彼はもともと 傷を負っていたもの」
おっとりとしたおばあさんの質問に、 猫は心外といったふうに 答えた。
両手の怪我はスマホを探す時にできた傷なんだよね。
猫はチンピラさんには容赦なかったけど、 なぜか僕には懐いていた。
猫は女の子だったんだね。
『 猫が喋ってるんだよ。もっと驚いたらどうなの?』
リンが 呆れるように指摘した。
だけど今更だよね。
「 スマホという機械がしゃべってるぐらいなんだから、 もう驚かないよ」
『 私の映像はただの記録よ。 この時代ではとっくにいないけど、 ちゃんとした人間だからね』
「 じゃあ、妖怪なんだね?」
『せめて 幽霊って言ってよ!』
僕とリンの やり取りを見て、 おばあさんが楽しそうに微笑んだ。
「 あなた達、仲良しなのね」
リンのことで 驚いた様子はない。
まあ、 お互いさまのようなところはあるからね。
『はい、 とっても!』
「 今日会ったばっかりなんだけど?」
『 運命に導かれた出会いなのにそんな風に言うの?しくしく、 泣いちゃう』
リンは 両手で目を覆って泣きマネをした。
おばあさんと猫の目線が冷たい。
「 女の子を泣かせてはダメよ?」
「 人が良いと思ってたのに、最低な男だったのね」
おばあさん、リンは嘘泣きですよ。
猫...... メロディって言ったっけ。
メロディ は僕のことを都合のいい人間だと思ってたんだね!
誤解を解くのに、1時間かかりましたとさ。
僕、何やってるのかな......。
誤解が解けたところで、 おばあさんは改めて僕に頭を下げた。
「 メロディちゃんを見つけてくれてありがとう。 お礼の金貨を用意するわね」
「 金貨!? 僕は猫...... メロディちゃんを 届けただけですよ。 お金をいただくようなことはしていません」
「あら、 貼り紙は見ていないの?」
おばあさんは 頬に右手を当て、 首をかしげた。
貼り紙?
いったい何のことだろうか。
僕にはさっぱりわからないよ。
リンなら、 何か知ってるかな。 何しろ、未来予知のスキルがあるからね。
そういえば彼女はお金の心配はいらないと言って、 猫探しを提案してきた。
間違いなく事情を知っているだろう。
「リン、 どういうこと?」
『〈 メロディちゃんを探してください。 見つけてくれた方には金貨5枚差し上げます〉という 貼り紙が街中に貼られてたんだよ』
「 何で教えてくれなかったの?」
『ロイは お人好しだからね』
「 なんで僕のことをけなすのさ?」
『 褒めてるんだよ。本当だよ?』
「 ちっとも褒められてる気がしないよ......」
なぜかおばあさんの家に招待された。
テーブルの上に高級そうな紅茶とクッキーが並べられている。
カップはシンプルなデザインだけど、 僕が一生かかっても買えないような値段なんだろうな。
もしも割ってしまったら.......。 想像するだけで恐ろしいよ。
早く帰りたい。
......あ。
家賃滞納しすぎて追い出されたばっかりだった。
「 それでは約束の金貨を......」
『ロイは ニートです。 一時的な金貨をいただいても、 緩やかに餓え死にを待つだけです』
リンは 真面目な表情で言ってるけど、 絶対に僕のことをバカにしてるよね。
ニートという言葉は分からないけど、 話の流れからすると無職という意味かな。
空腹で死にそうなのは本当だけど、なんで見ず知らずの人に言うの!?
恥ずかしいよ!
本当にやめて。
僕がリンに何をしたって言うんだよ!
「 あなたは仕事をしていないの?」
おばさんの視線が痛いよ。
はい、 その通りです。 無能力者の僕はなかなか仕事にありつけない。
努力なんて介入する余地がないんだよ。
夢はきっと叶う。 少しでも才能がある人の言葉だよね。
僕は小さくうなずいた。
すると、 おばあさんはなぜか嬉しそうに笑った。
「 あなた......名前は何て言うの?」
「ロイです。ロイ= トレード」
「ロイくんね。ロイくん、 よかったらうちで働かないかしら?」
にっこり。
「はい?」
僕はなぜか、気がついたらおばあさんの家で雇われることになっていた。
「 私はそんなことしてないわ。彼はもともと 傷を負っていたもの」
おっとりとしたおばあさんの質問に、 猫は心外といったふうに 答えた。
両手の怪我はスマホを探す時にできた傷なんだよね。
猫はチンピラさんには容赦なかったけど、 なぜか僕には懐いていた。
猫は女の子だったんだね。
『 猫が喋ってるんだよ。もっと驚いたらどうなの?』
リンが 呆れるように指摘した。
だけど今更だよね。
「 スマホという機械がしゃべってるぐらいなんだから、 もう驚かないよ」
『 私の映像はただの記録よ。 この時代ではとっくにいないけど、 ちゃんとした人間だからね』
「 じゃあ、妖怪なんだね?」
『せめて 幽霊って言ってよ!』
僕とリンの やり取りを見て、 おばあさんが楽しそうに微笑んだ。
「 あなた達、仲良しなのね」
リンのことで 驚いた様子はない。
まあ、 お互いさまのようなところはあるからね。
『はい、 とっても!』
「 今日会ったばっかりなんだけど?」
『 運命に導かれた出会いなのにそんな風に言うの?しくしく、 泣いちゃう』
リンは 両手で目を覆って泣きマネをした。
おばあさんと猫の目線が冷たい。
「 女の子を泣かせてはダメよ?」
「 人が良いと思ってたのに、最低な男だったのね」
おばあさん、リンは嘘泣きですよ。
猫...... メロディって言ったっけ。
メロディ は僕のことを都合のいい人間だと思ってたんだね!
誤解を解くのに、1時間かかりましたとさ。
僕、何やってるのかな......。
誤解が解けたところで、 おばあさんは改めて僕に頭を下げた。
「 メロディちゃんを見つけてくれてありがとう。 お礼の金貨を用意するわね」
「 金貨!? 僕は猫...... メロディちゃんを 届けただけですよ。 お金をいただくようなことはしていません」
「あら、 貼り紙は見ていないの?」
おばあさんは 頬に右手を当て、 首をかしげた。
貼り紙?
いったい何のことだろうか。
僕にはさっぱりわからないよ。
リンなら、 何か知ってるかな。 何しろ、未来予知のスキルがあるからね。
そういえば彼女はお金の心配はいらないと言って、 猫探しを提案してきた。
間違いなく事情を知っているだろう。
「リン、 どういうこと?」
『〈 メロディちゃんを探してください。 見つけてくれた方には金貨5枚差し上げます〉という 貼り紙が街中に貼られてたんだよ』
「 何で教えてくれなかったの?」
『ロイは お人好しだからね』
「 なんで僕のことをけなすのさ?」
『 褒めてるんだよ。本当だよ?』
「 ちっとも褒められてる気がしないよ......」
なぜかおばあさんの家に招待された。
テーブルの上に高級そうな紅茶とクッキーが並べられている。
カップはシンプルなデザインだけど、 僕が一生かかっても買えないような値段なんだろうな。
もしも割ってしまったら.......。 想像するだけで恐ろしいよ。
早く帰りたい。
......あ。
家賃滞納しすぎて追い出されたばっかりだった。
「 それでは約束の金貨を......」
『ロイは ニートです。 一時的な金貨をいただいても、 緩やかに餓え死にを待つだけです』
リンは 真面目な表情で言ってるけど、 絶対に僕のことをバカにしてるよね。
ニートという言葉は分からないけど、 話の流れからすると無職という意味かな。
空腹で死にそうなのは本当だけど、なんで見ず知らずの人に言うの!?
恥ずかしいよ!
本当にやめて。
僕がリンに何をしたって言うんだよ!
「 あなたは仕事をしていないの?」
おばさんの視線が痛いよ。
はい、 その通りです。 無能力者の僕はなかなか仕事にありつけない。
努力なんて介入する余地がないんだよ。
夢はきっと叶う。 少しでも才能がある人の言葉だよね。
僕は小さくうなずいた。
すると、 おばあさんはなぜか嬉しそうに笑った。
「 あなた......名前は何て言うの?」
「ロイです。ロイ= トレード」
「ロイくんね。ロイくん、 よかったらうちで働かないかしら?」
にっこり。
「はい?」
僕はなぜか、気がついたらおばあさんの家で雇われることになっていた。
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