転生少女は金貨9999枚で魔法1回使えます!?

はなまる

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第1章 転生少女の憂鬱

ピクニックはお城の敷地内で

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 王侯貴族の子供達が集まっているから、 完全な野外活動は許可してもらえなかった。 ピクニックは 、お城の敷地内の庭園で 行われる。
 まるで植物園のように 色とりどりの花々が咲き乱れている。マルシュ王国以外の 樹木や鮮やかな花まで植えてある。
 こんなの初めて!
 私の目を楽しませてくれるよ。
 この世界に生まれてから、離宮に 連れてこられた後は、 私は一度も自分の部屋を出ていなかった。 何もかもが新鮮に映って、 なんと表現すればいいのか分からないけれど、 私は この 風景を目にして感動したのだと思う。私の頬を雫が流れ落ちた。
 風が気持ちがいい。 窓から流れてくる空気とはまた違ったものがある。

「エリカ、 泣いているのですか?」

 ママは 私のことを心配して顔を覗き込んでくる。
 大丈夫だよ。心配しないで。
 私はにっこりと笑ってみせた。

「 これは嬉し涙だよ」
「エリカに 喜んでもらえて、私も 明るい気持ちになれます」
「ママが この日を一番に楽しみにしてたもんね」
「 そんなことはありませんよ。・・・・・・少ししか」

 ママは 恥ずかしそうに赤面して、 私から目をそらした。ママは 真面目な性格だけど、 子供のように無邪気な一面もあって、 ギャップ萌えなんだよ。


 男の子達は元気よく 鬼ごっこをして楽しんでいる。 こちらの中心はフレドリックのようだ。 身分に関係なく全力で走り回っている。 
女の子達は自由にしていいお花畑で花冠を作っていた。 こちらの中心はリアラで、 みんなに花冠の作り方を教えている。
  私はそんな子供たちの様子を 優しい目線で見守っていた。

「 子供はやっぱり、 外で元気よく遊ばないとね」
「エリカちゃんも 子供でしょ」

 プリシラが私にツッコミを入れてきた。 彼女の言うように確かに私も子供だよ。 でも、前世の分だけ精神年齢が違う。

「 プリシラちゃん、 ちょっと私のことお姉ちゃんって呼んでみて」
「エリカちゃんはエリカちゃんでしょ?」
「 そんなこと言わずに、一回でいいからお願い」

 困惑しているプリシラに、 私は両手を 合わせて お願いした。 その様子を見ていたママは 苦笑いを浮かべている。

「 本物のお姉さんなら、 無理やり呼ばせないと思いますよ」

 言われてみれば、それもそうだね。 強要することではなかった。

「 プリシラちゃんが自然に、私のことをお姉ちゃんって呼んでくれるまで気長に待つことにするよ」
「 これからも呼ぶつもりは全然ないよ!?」
「 プリシラちゃんの意地悪」
「ええっ!?」

 いけない。 プリシラがまた涙目になってきたよ。 泣かせたいわけではない。
 私は慌てて話題を変えることにした。

「 プリシラちゃん、何して遊ぶ?」
「私はエリカちゃんと おしゃべりしたい」
「 いつもしてるよね? 外でしかできないことをしてきてもいいんだよ。 プリシラちゃんは 花冠は作らなくていいの?」
「エリカちゃんと 一緒がいいもん」

 可愛いことを言ってくれるね。 プリシラは私の心の妹に決定だよ。・・・・・・ 強要すると大問題になるから、 あくまでも心の中だけだけどね。

 日向ぼっこしながら、まったりと ガールズトークを楽しむのも悪くないね。 プリシラとは不思議と 話が合うんだよ。 私の精神年齢が低いのではなくて、 彼女の方が実年齢よりも少しだけ精神年齢が高いと思う。
 インドア派の 子供は何人かいるから、 その子達も誘ってみようかな。 馴染めずにぼっちになっている子にも声をかけてみよう。
 ・・・・・・ エトワールがポツンと一人で立っている。 彼女から 誰かに話しかけようとしないし、 他の子供達は無視するつもりはないけれど、 積極的に声をかけようとはしない。リアラや 何人かの女の子達はエトワールの方にチラチラと 時々目線を向ける。 前のように揉める可能性があるから、 どちらからも 接触する機会を失っているようだ。
 3歳でこれはどうなんだろうね。このまま 大人になったら 、もっと厄介なことになりかねないよ。
 ごめんね、の一言で元通りというわけにはいかないのかな。
 仲の良い友達でも衝突して喧嘩してしまうことはある。 どうしても相性の悪い人物というのはいる。 それでも、何かしらの折り合いはつけられるはずだ。
 本当はお互いに仲良くしたいという目をしているのに、 きっかけをつかめないでいる。
 私が一肌脱ぐしかないかな。
 余計なお節介でこれ以上拗らせる可能性もあるから、 ノリと勢いだけでは行動できない。
 さて、 どうしたものかな。
 私が考え込んでいると、 一匹のチョウチョが私に話しかけてきた。

「 人間ちゃん、 何かお困りかい?」

 それはよく見るとチョウチョではなくて、 一人の妖精だった。






 
 
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