転生少女は金貨9999枚で魔法1回使えます!?

はなまる

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第1章 転生少女の憂鬱

蜂の大群を何とかしてよ!

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 ブンブンブン、蜂が飛ぶ♪

 なんて、歌っている場合ではないよね。魔王を一撃で倒せた私が、昆虫によってピンチになっているなんて、笑い話にもならないよ!
 
 困ったときの、使い魔頼み。フォトン、後は任せたよ。いや、本当切実に。

「蜂は何も悪くないから、できれば殺したくないのさ」

 ですね。フォトンの言う通り、男の子たちが遊び感覚で何匹蜂を魔法で落とせるか、競争していたのだろう。そして、彼らは怒った蜂に反撃されたわけだ。
 元凶の男の子たちは 一番最初に逃げていた。 攻略対象者の フレドリックまで、 女の子達を守ろうとはしなかった。 3歳児に期待する方が 無茶というものだけどね、 なんだかガッカリだよ。

 リアラが 転んでいる。 彼女は平民の子供だから、 お金を持たせてはもらっていなかったようだ。 魔法で対抗することができない。

「いやあぁ!!!」

 リアラは 泣き叫ぶことしかできないようだ。
 どうしよう。私とママはフォトンに 守ってもらえるけど、リアラとは 少し距離があるから、援護することができなかった。
 貨幣魔法でなければならない理由がある。私の 消費量が 金貨9999枚というとんでもない 数字なのも、ママの 愛情が絡まったことによる 結果だった。 誰かを恨むようなことはない。
 でも、 今だけは魔法が使えないことがもどかしかった。

「フォトン、 何とかならないの!?」
「エセリアが・・・・・・しかし、 間に合うかどうかは微妙なところだと思うよ」

 フォトンは、 私の質問に答えてくれた。エセリアは あれでも 女神様なのだから、 きっとリアラを 救い出してくれるはずだ。
 だけど・・・・・・ 私は不安が募るのを抑えられなかった。
 エセリアは地上では制限がかかっているのか、動きが遅い。魔法も詠唱しないと使えないようだ。これでは本当に、リアラが 蜂の毒針の餌食になってしまうかもしれない。
 奇跡を起こしてよ!

 ・・・・・・ 言ってみただけ。

 この世は都合良くはできていない。 理不尽で、 自分ではどうすることもできないことの方が多いんだ。
 それでも私は、 みんな助かってほしいよ。何でもするから、誰かリアラを助けて!

「その願い、叶えてやるよ。ただし、私を自由にすると約束しな」

 私の心に、怪しげな 女性の声が響き渡った。 もしかしたら悪魔の囁きかもしれない。 それでも私は、リアラを助ける為ならば すがりつきたかった。

「 約束するよ! だからお願い。リアラを 助けて!」
「 では契約成立だね。【 ダークディメンション】!!」

 声の女性は呪文を唱えた。すると 辺りが暗闇に包まれて、 気が付いたら蜂の集団は全て消え去っていた。

「 殺したの・・・・・・?」
「いいや、 私としては消滅させても良かったんだけどね。 私よりも蜂の命の方が大切なのだろう?」
「 それってどういう意味?」
「 どうもこうもないね。 約束を果たしてくれればそれでいいんだよ」

 女性の声はそう告げて、 これ以上は声が聞こえなくなった。
 何だったのかな。 厄介事に巻き込まれた 気もするけど、 他の大切な人たちが無事ならそれでいいよね。
 今はリアラが、 蜂の毒針で 攻撃されずに済んだことを 笑顔で喜ぶ場面だよね。



 リアラの方を見てみると、 彼女の上にエトワールが覆いかぶさっていた。

「 エトワール、リアラのことを 守ろうとしてくれていたんだね」
「こ、これは・・・・・・その・・・・・・」

 エトワールは 起き上がると、 照れているように顔を赤くしていた。 可愛い態度だね。

「 私の体が動くなら、 思わずエトワールに抱きついているところだよ」
「 訳が分からないことを言わないでよね!」

 エトワールはそっぽを向いているけど、 本当は嬉しいと思っている。 その証拠に、少しだけ顔がにやけているよ。

「 エトワールちゃん、ありがとう」

 リアラが 満面の笑みでお礼を言うと、 エトワールは顔から火が出るほど 顔を真っ赤にしていた。

「有事に、 貴族が平民を守るのは当然のことですわ」
「 平民の護衛が 普段は貴族を守っているのだし、 お互いに助け合えるばいいんじゃないかな」
「 それも悪くないかもしれないわね」

 エトワールは、私の意見に珍しく賛同してくれた。 彼女はまだまだ素直になれないかもしれないけど、 今日のことをきっかけにして少しは歩み寄ることができたかな。


 謎の女性の声など、新たな 不安要素もできたけど、 当面の間は 穏やかに過ごせると思いたいよ。


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