25 / 26
第3章 私の魔法は奇跡だって起こせるんだよ
人形作りはいろいろ大変だよ
しおりを挟む
次の日。ラクスは私の部屋に来なくなった。
きっと、あれからプリシラとリアラにさんざん質問されていたからだね。
いや、それもないとは言えないかもだけど、ラクスは普通にお金を稼ぐために奮闘しているだけだと思う。
「ラクス君、来てないね」
「リアラ達のせいかな」
プリシラとリアラは涙目で、昨日のことを反省しているようだ。調子に乗ってしまうこともあるけど、いい子だから、悪いと思ったら反省できるんだよ。素晴らしいよね。
私は自分の非を素直に認められるかわからないよ。頭を下げても平謝りになってしまうことって、多くなってくるからね。なんと言うか謝罪は義務で、心から悪いと思う暇も与えてくれないのが大人の社会のような気がするんだよ。
前世でも、まだ大人と言える歳ではなかったけどね。
私は、プリシラとリアラを抱き締めてあげた。
「ラクス君はきっと、事情があって来られないんだよ。でも、今度ラクス君に会ったら、謝ろうね」
「エリカちゃんの言う通り、ラクス君に謝った方がいいよね」
「リアラも頑張る! そうだ、ラクス君にお人形さんを作ってあげる」
泣いたカラスがもう笑った。けど、子供の世界が簡単なわけではないよ。子供なりの葛藤はある。単に大人のような複雑な駆け引きを知らないだけだよ。
私もまだまだ子供だけど、 単純明快な大切なことを思い出せた気がするよ。 私は嬉しくなって、プリシラとリアラの 頭を撫でた。
「二人とも、いい子いい子」
「エリカちゃん、くすぐったいよ」
「でも、なんだか安心するの」
そうでしょう、そうでしょう。何しろ私は、 精神年齢は12歳のお姉さんだからね。
・・・・・・あれ? こっちの世界で5年経ってるのに、 精神年齢が変わらないということは全く成長していないということなのかな。 本来ならば 女子高生になっているはずだけど・・・・・・ 深くは考えないことにしよう。
プリシラ達と同じ目線でいられるのは素晴らしいことだよね。みんなの苦しみに気付いて、少しだけ大人の考えもできる。実は私は、最強の 心理カウンセラーになれるんじゃない?
言ってみただけ。
素人が心の問題に深く踏み込むのはよくない。私も前世ではそのせいで・・・・・・。
まあ、過去は振り返らないよ。後悔先に立たずだね。多分、意味は合ってると思う。
「今日は何して遊ぶ?」
私が聞くと、 エトワールがトコトコとこちらに歩いてきた。私達の話が終わるのを待っていたようだ。
「私はかくれんぼがしたいわ」
「うん、そうしよう」
エトワールが提案して、 プリシラが賛同した。
ところが、いつもなら一番はしゃぐはずのリアラがおとなしい。さっきまでの話を引きずっているわけではなさそうだけど・・・・・・どうかしたのかな。
「リアラは、かくれんぼしたくないの?」
「リアラも一緒に遊びたいよ。だけど、ラクス君のためにお人形さんを作りたいの」
そう言えば、リアラはそう言ってたね。ラクスは男の子だから、人形を喜ぶかは微妙なところだけど、あからさまに嫌な顔はしないはず。人形を作りたいなら、邪魔するわけにはいかない。むしろ、手伝ってあげたくなるね。
「リアラ、私も人形作りを手伝っていいかな」
「うん、いいよ」
「私も一緒にしたいな」
「わ、私も興味あるわ」
プリシラと エトワールも、一緒に人形作りをすることになった。
まずは材料集め。これはメイドに頼んで用意してもらった。割りと高級な生地が普通にあるけど、みんなは気にしていないようだ。貴族令嬢のプリシラと エトワールはともかく、平民の私とリアラは目にする機会もない高級品のはずだけど、よく考えたら周りの子供達の服の素材の方がもっとお金を掛けられているはずだよね。今更萎縮するものでもなかったよ。
針を使うのか。5歳の子供がいいのかな。裁縫は前世でもまだやったことがなかったから、要領が今一わからないよ。
リアラは器用だね。ネクヒロの設定では確かに人形作りが得意だけど、この頃から普通に作れたんだね。尊敬するよ。
私にはできない。指を怪我しないように気を付けるので精一杯だったよ。
プリシラは初めてにしてはうまく仕上げていた。
エトワールは私とお仲間だね。親近感が湧いて、私は彼女に笑いかけた。すると、なぜかそっぽを向かれた。 2年かけて少しずつ仲良くなったと思ったのは私だけってこと!? 悲しいよ。しくしく。
せっかくだから、作った人形でおままごとをすることにしたよ。人形は役割通りに動いてくれた。
え? 人形は普通、動かないって? そこらほら、 ファンタジー世界だからね。リアラのスキルで人形が動き出すんだよ。
未練のある者の魂が人形に入り込むこともあるから、軽いホラーとも言えるけどね。人形はリアラに逆らわないから、一応安全なんだよ。夜には動かないでほしいけどね。一人でお手洗いに行けなくなっちゃうよ!
ゲーム通りならクルセイラの魂が入ったクララ人形が作られる時期だけど、クルセイラは生きているからね。彼女の人形はなかったよ。
代わりに、 サンタクロースのように全身赤色の人形がある。 赤色の服に赤色のとんがり帽子はアスモデリアの 特徴のはずだけど、まさかね。 偶然の一致というだけだよね。アスモデリアは私の魔法で 消滅した。
「久し振りだね」
赤色の人形が 私に声をかけてきた。その声は 3歳の頃に蜂の大群を退けてくれた 女性の声で、そのつもりで聞けばアスモデリアの声だったよ。
今の私には 金貨9999枚という制限があるから、魔王を倒すどころか 戦うことすらできないんだけど!?
無理ゲーすぎるよ!
きっと、あれからプリシラとリアラにさんざん質問されていたからだね。
いや、それもないとは言えないかもだけど、ラクスは普通にお金を稼ぐために奮闘しているだけだと思う。
「ラクス君、来てないね」
「リアラ達のせいかな」
プリシラとリアラは涙目で、昨日のことを反省しているようだ。調子に乗ってしまうこともあるけど、いい子だから、悪いと思ったら反省できるんだよ。素晴らしいよね。
私は自分の非を素直に認められるかわからないよ。頭を下げても平謝りになってしまうことって、多くなってくるからね。なんと言うか謝罪は義務で、心から悪いと思う暇も与えてくれないのが大人の社会のような気がするんだよ。
前世でも、まだ大人と言える歳ではなかったけどね。
私は、プリシラとリアラを抱き締めてあげた。
「ラクス君はきっと、事情があって来られないんだよ。でも、今度ラクス君に会ったら、謝ろうね」
「エリカちゃんの言う通り、ラクス君に謝った方がいいよね」
「リアラも頑張る! そうだ、ラクス君にお人形さんを作ってあげる」
泣いたカラスがもう笑った。けど、子供の世界が簡単なわけではないよ。子供なりの葛藤はある。単に大人のような複雑な駆け引きを知らないだけだよ。
私もまだまだ子供だけど、 単純明快な大切なことを思い出せた気がするよ。 私は嬉しくなって、プリシラとリアラの 頭を撫でた。
「二人とも、いい子いい子」
「エリカちゃん、くすぐったいよ」
「でも、なんだか安心するの」
そうでしょう、そうでしょう。何しろ私は、 精神年齢は12歳のお姉さんだからね。
・・・・・・あれ? こっちの世界で5年経ってるのに、 精神年齢が変わらないということは全く成長していないということなのかな。 本来ならば 女子高生になっているはずだけど・・・・・・ 深くは考えないことにしよう。
プリシラ達と同じ目線でいられるのは素晴らしいことだよね。みんなの苦しみに気付いて、少しだけ大人の考えもできる。実は私は、最強の 心理カウンセラーになれるんじゃない?
言ってみただけ。
素人が心の問題に深く踏み込むのはよくない。私も前世ではそのせいで・・・・・・。
まあ、過去は振り返らないよ。後悔先に立たずだね。多分、意味は合ってると思う。
「今日は何して遊ぶ?」
私が聞くと、 エトワールがトコトコとこちらに歩いてきた。私達の話が終わるのを待っていたようだ。
「私はかくれんぼがしたいわ」
「うん、そうしよう」
エトワールが提案して、 プリシラが賛同した。
ところが、いつもなら一番はしゃぐはずのリアラがおとなしい。さっきまでの話を引きずっているわけではなさそうだけど・・・・・・どうかしたのかな。
「リアラは、かくれんぼしたくないの?」
「リアラも一緒に遊びたいよ。だけど、ラクス君のためにお人形さんを作りたいの」
そう言えば、リアラはそう言ってたね。ラクスは男の子だから、人形を喜ぶかは微妙なところだけど、あからさまに嫌な顔はしないはず。人形を作りたいなら、邪魔するわけにはいかない。むしろ、手伝ってあげたくなるね。
「リアラ、私も人形作りを手伝っていいかな」
「うん、いいよ」
「私も一緒にしたいな」
「わ、私も興味あるわ」
プリシラと エトワールも、一緒に人形作りをすることになった。
まずは材料集め。これはメイドに頼んで用意してもらった。割りと高級な生地が普通にあるけど、みんなは気にしていないようだ。貴族令嬢のプリシラと エトワールはともかく、平民の私とリアラは目にする機会もない高級品のはずだけど、よく考えたら周りの子供達の服の素材の方がもっとお金を掛けられているはずだよね。今更萎縮するものでもなかったよ。
針を使うのか。5歳の子供がいいのかな。裁縫は前世でもまだやったことがなかったから、要領が今一わからないよ。
リアラは器用だね。ネクヒロの設定では確かに人形作りが得意だけど、この頃から普通に作れたんだね。尊敬するよ。
私にはできない。指を怪我しないように気を付けるので精一杯だったよ。
プリシラは初めてにしてはうまく仕上げていた。
エトワールは私とお仲間だね。親近感が湧いて、私は彼女に笑いかけた。すると、なぜかそっぽを向かれた。 2年かけて少しずつ仲良くなったと思ったのは私だけってこと!? 悲しいよ。しくしく。
せっかくだから、作った人形でおままごとをすることにしたよ。人形は役割通りに動いてくれた。
え? 人形は普通、動かないって? そこらほら、 ファンタジー世界だからね。リアラのスキルで人形が動き出すんだよ。
未練のある者の魂が人形に入り込むこともあるから、軽いホラーとも言えるけどね。人形はリアラに逆らわないから、一応安全なんだよ。夜には動かないでほしいけどね。一人でお手洗いに行けなくなっちゃうよ!
ゲーム通りならクルセイラの魂が入ったクララ人形が作られる時期だけど、クルセイラは生きているからね。彼女の人形はなかったよ。
代わりに、 サンタクロースのように全身赤色の人形がある。 赤色の服に赤色のとんがり帽子はアスモデリアの 特徴のはずだけど、まさかね。 偶然の一致というだけだよね。アスモデリアは私の魔法で 消滅した。
「久し振りだね」
赤色の人形が 私に声をかけてきた。その声は 3歳の頃に蜂の大群を退けてくれた 女性の声で、そのつもりで聞けばアスモデリアの声だったよ。
今の私には 金貨9999枚という制限があるから、魔王を倒すどころか 戦うことすらできないんだけど!?
無理ゲーすぎるよ!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる