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本編【第一章】
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「あの、なにか」
視線に耐えきれなくなって、尋ねると爽やかに微笑みながらフォーゼム様は答えた。
「いや、今日のあなたは本当に美しい。贈ったドレスを着て頂けて良かったよ。さあ、そろそろ戻ろう。あまり、あなたを独占しているとパートナーの男性に叱られそうだ。」
「…一人で参りましたのでパートナーはおりません」
言いづらいが、下手に隠してバレたときの方が恥ずかしいと思い、思い切って告げるとフォーゼム様は絶句していた。
「あの、いつも一人ですし…それに今日はこのドレスのおかげで勇気が持てましたわ。いつもは、地味にしていても反感を買うことが多いので…この美しいドレスが目立ってしまうのではないかと、怖かったのですが、そんなことありませんでしたわ」
その言葉を聞いた途端、フォーゼム様は破顔した。
「それはよかった。しかし、いつも目立つのは仕方ないだろう」
驚いて小首を傾げた私を、面白がるように見ながら言った。
「本当にお気づきではないのか。あの地味な格好に美しい顔立ち。悪目立ちするなと言う方が難しいだろう。」
「どう言う意味でしょうか」
「あなたには不本意かもしれないが、あなたの容姿は華やかな美しさだ。妹君のような穏やかな美しさであれば地味な格好をしてもそれなりに調和が取れるが…ドレスや髪型だけ地味では…かえってわざとらしく清楚に振舞っているように見えるのだろう」
「そんな」
「あなたがどれほど地味な服を着ようがあなたに言い寄ってくる男はいただろう、それが証だ。だが、今日は遠巻きに賛辞を浴びる程度だったはずだ。派手なドレスと思ったかもしれないが、容姿に合わせてこれくらいの物を着ないと、かえって馬鹿な男につけ入る隙があると思わせてしまうよ。」
「思いもよりませんでした」
「だろうな」
からりと笑ってフォーゼム様は私に答えた。
「あの、本当にドレスありがとうございました。宝物にします」
「こちらこそありがとう。気に入っていただけて光栄だ」
そのままフォーゼム様と広間に戻ると、会場が何やら騒然としていた。嫌な予感がして騒ぎの中心を見ると、案の定カレンだった。
周りに取り巻きの男達が数人いるのにシュナイダーだけは見えない。
私は溜め息をつきながら、フォーゼム様に断ってカレンの元に近寄った。
「カレン、どうしたの?」
恐る恐る尋ねるとカレンは私に言った。
「姉様。シュナイダー様を誘惑したのね。」
「いえ、先ほどフォーゼム様も仰った通り声をかけて来られたのはシュナイダー様の方…」
「そんなわけないでしょう!私が婚約者なのに他の女性に目移りするわけないじゃない!シュナイダー様もそう仰られたわ。でも姉様に誘惑され続けるのは嫌だから婚約破棄して欲しいって仰ったのよ!」
「そんな…」
再び絶句した私にカレンは追い討ちをかけるように言い募った。
「責任とりなさいよ、姉様。バレール伯爵家との縁談は父様も母様も悲願だったのよ。どうなさるのかしら」
私を悪者にして勝ち誇るようにカレンは言った。
「それなら私が姉君に結婚を申し込むことにしよう」
視線に耐えきれなくなって、尋ねると爽やかに微笑みながらフォーゼム様は答えた。
「いや、今日のあなたは本当に美しい。贈ったドレスを着て頂けて良かったよ。さあ、そろそろ戻ろう。あまり、あなたを独占しているとパートナーの男性に叱られそうだ。」
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言いづらいが、下手に隠してバレたときの方が恥ずかしいと思い、思い切って告げるとフォーゼム様は絶句していた。
「あの、いつも一人ですし…それに今日はこのドレスのおかげで勇気が持てましたわ。いつもは、地味にしていても反感を買うことが多いので…この美しいドレスが目立ってしまうのではないかと、怖かったのですが、そんなことありませんでしたわ」
その言葉を聞いた途端、フォーゼム様は破顔した。
「それはよかった。しかし、いつも目立つのは仕方ないだろう」
驚いて小首を傾げた私を、面白がるように見ながら言った。
「本当にお気づきではないのか。あの地味な格好に美しい顔立ち。悪目立ちするなと言う方が難しいだろう。」
「どう言う意味でしょうか」
「あなたには不本意かもしれないが、あなたの容姿は華やかな美しさだ。妹君のような穏やかな美しさであれば地味な格好をしてもそれなりに調和が取れるが…ドレスや髪型だけ地味では…かえってわざとらしく清楚に振舞っているように見えるのだろう」
「そんな」
「あなたがどれほど地味な服を着ようがあなたに言い寄ってくる男はいただろう、それが証だ。だが、今日は遠巻きに賛辞を浴びる程度だったはずだ。派手なドレスと思ったかもしれないが、容姿に合わせてこれくらいの物を着ないと、かえって馬鹿な男につけ入る隙があると思わせてしまうよ。」
「思いもよりませんでした」
「だろうな」
からりと笑ってフォーゼム様は私に答えた。
「あの、本当にドレスありがとうございました。宝物にします」
「こちらこそありがとう。気に入っていただけて光栄だ」
そのままフォーゼム様と広間に戻ると、会場が何やら騒然としていた。嫌な予感がして騒ぎの中心を見ると、案の定カレンだった。
周りに取り巻きの男達が数人いるのにシュナイダーだけは見えない。
私は溜め息をつきながら、フォーゼム様に断ってカレンの元に近寄った。
「カレン、どうしたの?」
恐る恐る尋ねるとカレンは私に言った。
「姉様。シュナイダー様を誘惑したのね。」
「いえ、先ほどフォーゼム様も仰った通り声をかけて来られたのはシュナイダー様の方…」
「そんなわけないでしょう!私が婚約者なのに他の女性に目移りするわけないじゃない!シュナイダー様もそう仰られたわ。でも姉様に誘惑され続けるのは嫌だから婚約破棄して欲しいって仰ったのよ!」
「そんな…」
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「責任とりなさいよ、姉様。バレール伯爵家との縁談は父様も母様も悲願だったのよ。どうなさるのかしら」
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「それなら私が姉君に結婚を申し込むことにしよう」
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