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サイドストーリー
カレンの嫉妬
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王宮主催の舞踏会の招待状を見て、私は思わはず笑ってしまった。姉のカリーナは出来る限り、パーティーを欠席しようとするが流石に王宮主催のものは出席せざるを得ないはずだ。目立つのを嫌がるカリーナのことだ。またいつもみたいに古臭い格好をしてくるに違いない。
カリーナが周りから馬鹿にされるのを見ることができると思うと私は今から楽しみで仕方なかった。
その舞踏会で、私は薄桃色の柔らかな色合いのドレスを着ることにした。カリーナには絶対似合わない色。それが分かっているからこそ堂々と着れる。
柔らかなパステル調のそのドレスは共布でサッシュベルトを巻くタイプのものだ。裾には薄紅色の薔薇の造花が縫い付けられており、とても華やかだ。それに合わせてピンクダイヤを使ったネックレスとイヤリングを合わせる。
緩く結った髪には本物の薔薇の花を数輪さす。
支度が整い鏡を見ると、そこに写った自分はとても美しかった。たとえカリーナがまともな格好をしていたとしても、私の方が上ではないかと思えるほど。
私はカリーナの自信を喪失させるべく、彼女の部屋に訪れた。
カリーナは私の格好を手放しで褒めた。優越感を感じるはずが、かえってコンプレックスを刺激させられていらいらしてしまう。私ならこんなふうにカリーナを褒められない。自分の方が美しいと分かってるから堂々とほめられるの?私は彼女に嫉妬して欲しかったんだと気づいた。
自分から部屋を出ていくのは負けた気がして延々と自慢を続けてしまう。シュナイダー様のことを言われて、ようやく部屋を出るきっかけがつかめた。
カリーナに見れる格好をして来いと、絶対出来ないであろう捨て台詞を吐いて、私は部屋から出た。
シュナイダー様は私の姿を見て絶賛した。舞踏会場に着いた時も私ほど美しい女性はいなかった。周りからも途切れることなく賛辞を浴びた。
そう、カリーナが一人で堂々と現れるまでは。
最初、その女性の美しさに一瞬呆気に取られた。それはあまりに強い美しさだった。遠目にも人目を引かずにはいられない、そんな強烈な美しさだ。
負けた、そう思った直後に気づいた。カリーナが、私の言うまともな格好をしてきたのだ、と。
いつもどおりパートナーを伴わず、しかしいつもと異なり繊細で美しい紺のドレスを見事に着こなした彼女は、闇夜に舞い降りた孤高の女神のようだった。
私は自分の愚かさに笑ってしまいそうだった。ほら、やっぱり、どんだけ私が頑張ったところで彼女の美しさには敵わない。でも、ここでカリーナの美しさを素直に認めることはできない。私は睨みつけるように彼女を見続けることで、なんとか自分を保っていた。
カリーナが周りから馬鹿にされるのを見ることができると思うと私は今から楽しみで仕方なかった。
その舞踏会で、私は薄桃色の柔らかな色合いのドレスを着ることにした。カリーナには絶対似合わない色。それが分かっているからこそ堂々と着れる。
柔らかなパステル調のそのドレスは共布でサッシュベルトを巻くタイプのものだ。裾には薄紅色の薔薇の造花が縫い付けられており、とても華やかだ。それに合わせてピンクダイヤを使ったネックレスとイヤリングを合わせる。
緩く結った髪には本物の薔薇の花を数輪さす。
支度が整い鏡を見ると、そこに写った自分はとても美しかった。たとえカリーナがまともな格好をしていたとしても、私の方が上ではないかと思えるほど。
私はカリーナの自信を喪失させるべく、彼女の部屋に訪れた。
カリーナは私の格好を手放しで褒めた。優越感を感じるはずが、かえってコンプレックスを刺激させられていらいらしてしまう。私ならこんなふうにカリーナを褒められない。自分の方が美しいと分かってるから堂々とほめられるの?私は彼女に嫉妬して欲しかったんだと気づいた。
自分から部屋を出ていくのは負けた気がして延々と自慢を続けてしまう。シュナイダー様のことを言われて、ようやく部屋を出るきっかけがつかめた。
カリーナに見れる格好をして来いと、絶対出来ないであろう捨て台詞を吐いて、私は部屋から出た。
シュナイダー様は私の姿を見て絶賛した。舞踏会場に着いた時も私ほど美しい女性はいなかった。周りからも途切れることなく賛辞を浴びた。
そう、カリーナが一人で堂々と現れるまでは。
最初、その女性の美しさに一瞬呆気に取られた。それはあまりに強い美しさだった。遠目にも人目を引かずにはいられない、そんな強烈な美しさだ。
負けた、そう思った直後に気づいた。カリーナが、私の言うまともな格好をしてきたのだ、と。
いつもどおりパートナーを伴わず、しかしいつもと異なり繊細で美しい紺のドレスを見事に着こなした彼女は、闇夜に舞い降りた孤高の女神のようだった。
私は自分の愚かさに笑ってしまいそうだった。ほら、やっぱり、どんだけ私が頑張ったところで彼女の美しさには敵わない。でも、ここでカリーナの美しさを素直に認めることはできない。私は睨みつけるように彼女を見続けることで、なんとか自分を保っていた。
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