【完結】悪女のなみだ

じじ

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サイドストーリー

クレアの達観

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カレンとバレール伯爵家の次男シュナイダー様との婚約が決まった時、私は歓喜した。伯爵家の中でも、勢いがあるバレール家と姻戚関係になれば、ダルラ家も安泰だ。

カリーナではなくカレンがシュナイダー様に選ばれたのも、私の自尊心を満たした。
いつの間にか、完全に私はカリーナをサシャに、カレンを自分に置き換えて物事を見るようになっていた。どちらもかわいい娘だったはずなのに、いつの間にか娘の一人をライバル視して、もう一人に自己投影している。

カレンは全く気づいていないようだが、カリーナはなんとも言えない複雑な表情で私を見てくることが増えた。きっと私の愚かな感情に気づいているのだろう。

王宮で舞踏会が行われたその日、カレンは華やかなドレスを纏った。とても愛らしいその姿に私は思わず、ほうっと息を吐いた。
カリーナはどうせいつものように地味な格好をしてくるに違いない。引き立て役にはちょうど良い。そこまで思ったところで自分にゾッとする。

どうしてカリーナを愛せないのかしら。いえ、違う。愛せないではなく、これではまるでカリーナを憎んでいるようなものだ。
私は実の娘を憎みながら生きてきたのだろうか。そんなはずない。確かにカレンほど深くは愛していないかもしれないが、カリーナにだってドレスも宝石も与えている。

でも、それって必要最低限よね

心の中の自分が問いかけてきた言葉に怯える。

違う、カリーナはカレンのように欲しがらないから、与えなかっただけ。
繊細なレースのドレスも、日に当たると煌めく宝石達も。
欲しがったら、私も与えていた…はず

そう思った瞬間に脳裏をよぎったのは、幼い日のカリーナだった。

カリーナがカレンを庇って、ドレスを泥だらけにした時だ。
びっくりしてカレンは泣いていた。カリーナは汚れたドレスを見つめ、恥ずかしそうに俯いていた。よく見るとポロポロ泣いていたのだ。それに気づいていたのに、私はカリーナを無視してカレンを抱き上げた。
二人に近寄った時、一瞬私に抱き上げてもらえるのではないかとカリーナが期待するのを感じたにも関わらず。

そうか、彼女が欲しがらなくなったのは私が原因か。
美しさを押し隠すのも最初は私に気に入られたい一心だったのかもしれないが、今となっては私が嫉妬するのを鬱陶しく感じるからだろう。
見限られていたのは、私の方だったわけか。

苦い思いが込み上げてくる。
やり場のない怒りや悲しみが胸に渦巻く。この感情は自分に対してだろうか。
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