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本編【第二章】
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来てくれると信じ込んでいた私は思わず絶句した。その様子を察知したアンが私を安心させるように微笑みかける。
「もちろん、一通りこの屋敷が落ち着けば、私も再びカリーナ様にお仕えしたいと考えておりますが…お許しいただけますでしょうか」
「な、なぜ?あなただけが残れば、私に仕えていたことを理由に嫌がらせされたり…」
いつも守ってくれていたアンをこんな屋敷に1人で放り出すなんてできない。そう考えて、しかし次の瞬間、私は自分の傲慢さに気づいた。違う。アンをこの屋敷に残していくことはとても心配だ。でも、それ以上にアンにとって、私は何よりも優先して貰える存在だと思っていたのだ。だから自分よりこの家を優先されたみたいで悲しいのだ。なんて愚かなのか。
「お嬢様。お気持ちは大変嬉しゅうございます。ですが、私はあくまで旦那様に雇われたダルラ家のメイドです。私の思い一つでそのような勝手はできないのです。
それにフォーゼム様に嫁がれてもこの屋敷はお嬢様の生家にございます。今はご家族との関係も絶ちたいとお考えかもしれませんが、月日が経てば思いもお変わりになるかもしれません。その時に少しでもお嬢様が訪れやすい場所となるようにしておきたいのです。
後処理が終わり旦那様のお許しを得られました暁には、再びお嬢様のもとでお仕えさせていただきとうございます。」
私への気遣いに溢れた言葉に、自分の浅はかさが恥ずかしくなる。
「アン、ありがとう。ごめんなさい。あなたには苦労をかけてしまうけれど…ダルラ家をよろしくね」
「ええ。もちろんです。私もお嬢様がフォーゼム様のお側にいらっしゃると思えば、何よりも安心できます」
にこりと笑ったアンにフォーゼム様は頷いた。
「アン殿の期待は裏切らないと約束する。だが、あなたもこの屋敷にいることが辛くなればいつでもこちらに来てかまわない。それだけは覚えておいてくれ」
「フォーゼム様。私までお気遣い頂きありがとうございます」
「あなたは、カリーナの心を守り抜いてくれた私にとっても恩人だ。カリーナのためにこの屋敷に残るという考え方は尊敬に値するが、彼女のためにも無理はしないでくれ。あなたが傷つけられる方がカリーナにとっては辛いだろう」
「フォーゼム様のおっしゃる通りよ。どうか無理しないでね。私はアンさえいてくれば、この家に未練などないのだから」
「お二人とも本当にありがとうございます。」
再び微笑んでアンは頭を下げた。
「もちろん、一通りこの屋敷が落ち着けば、私も再びカリーナ様にお仕えしたいと考えておりますが…お許しいただけますでしょうか」
「な、なぜ?あなただけが残れば、私に仕えていたことを理由に嫌がらせされたり…」
いつも守ってくれていたアンをこんな屋敷に1人で放り出すなんてできない。そう考えて、しかし次の瞬間、私は自分の傲慢さに気づいた。違う。アンをこの屋敷に残していくことはとても心配だ。でも、それ以上にアンにとって、私は何よりも優先して貰える存在だと思っていたのだ。だから自分よりこの家を優先されたみたいで悲しいのだ。なんて愚かなのか。
「お嬢様。お気持ちは大変嬉しゅうございます。ですが、私はあくまで旦那様に雇われたダルラ家のメイドです。私の思い一つでそのような勝手はできないのです。
それにフォーゼム様に嫁がれてもこの屋敷はお嬢様の生家にございます。今はご家族との関係も絶ちたいとお考えかもしれませんが、月日が経てば思いもお変わりになるかもしれません。その時に少しでもお嬢様が訪れやすい場所となるようにしておきたいのです。
後処理が終わり旦那様のお許しを得られました暁には、再びお嬢様のもとでお仕えさせていただきとうございます。」
私への気遣いに溢れた言葉に、自分の浅はかさが恥ずかしくなる。
「アン、ありがとう。ごめんなさい。あなたには苦労をかけてしまうけれど…ダルラ家をよろしくね」
「ええ。もちろんです。私もお嬢様がフォーゼム様のお側にいらっしゃると思えば、何よりも安心できます」
にこりと笑ったアンにフォーゼム様は頷いた。
「アン殿の期待は裏切らないと約束する。だが、あなたもこの屋敷にいることが辛くなればいつでもこちらに来てかまわない。それだけは覚えておいてくれ」
「フォーゼム様。私までお気遣い頂きありがとうございます」
「あなたは、カリーナの心を守り抜いてくれた私にとっても恩人だ。カリーナのためにこの屋敷に残るという考え方は尊敬に値するが、彼女のためにも無理はしないでくれ。あなたが傷つけられる方がカリーナにとっては辛いだろう」
「フォーゼム様のおっしゃる通りよ。どうか無理しないでね。私はアンさえいてくれば、この家に未練などないのだから」
「お二人とも本当にありがとうございます。」
再び微笑んでアンは頭を下げた。
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