55 / 91
本編【第二章】
2-28 アン視点
しおりを挟む
「周りは取り乱したあなたを見て不思議に…いえ、不審に思われたでしょうね。だからこそシュナイダー様もカレン様との婚約破棄を仰られたのでしょう。その場にいた多くの方にとっておそらくカリーナ様とカレン様の評価は大きく変わったのでは?
そして貴族達の間でそのことはすぐに広まるでしょう」
「何が言いたいの」
「カリーナ様はすでにあの場にいた方達の心をとらえられたのです。それはあなたからそれだけの人間が離れていったことを示しています。おそらくカリーナ様が一番心配されていたことでしょう。」
「…」
「誠実な付き合いをなさっていらっしゃればあなたを庇う人間もいたのでしょうが」
「小言が言いたいの?」
いらいらとした口調で問われ私は苦笑した。今更小言などいうつもりは毛頭ない。
「いいえ。ですが、カリーナ様の最後の優しさまで無にされた愚かさはご認識なさった方がよろしいかと思い申し上げたまでです。カリーナ様は今後カレン様には関わられないことでしょう。
カレン様もどうぞカリーナ様の気をひくためだけに愚かな行いをなさらないでください。
もっとも、カレン様が何かされたとしても今までのようにご注意なさることはないでしょうが」
「なんでそう言い切れるのよ!どうせまたすぐに口出してくるに決まってる…」
「カリーナ様ほど優しい方が、その覚悟なくして愛さないなどと仰られるはずがありません。これからはお言葉通りカレン様に対して無関心を貫かれるでしょう。どれほどカレン様がカリーナ様に執着されようと。」
「そんな…」
カレン様の顔に絶望の色が広がるのを見て内心溜め息を吐きそうだった。ここまで言ってやっと自分は本当に姉から見捨てられたのだと気づいたようだ。
「私、私は…姉様の瞳に二度と映してもらえないの?」
はらりと涙を流すカレン様を見て、強い怒りの感情がふつふつと沸いてくる。
「あなたが被害者ですか」
冷たい声で問い返すとはっとした様子で私を見た後、唇を噛んで俯いた。
「あなたからの悪意に耐え、あなたの流した偽りの噂に惑わされた方たちからの嘲笑や侮蔑に耐えてこられたカリーナ様が、ご自身のお心を守るために、あなたから向けられる感情に蓋をされたのは、責められることですか?」
「…」
「改心も謝罪もしないで許されたいなどとよくも思えたものですね」
「…姉様に謝罪したい。」
カレン様は絞りだすような声で呟いた。
そして貴族達の間でそのことはすぐに広まるでしょう」
「何が言いたいの」
「カリーナ様はすでにあの場にいた方達の心をとらえられたのです。それはあなたからそれだけの人間が離れていったことを示しています。おそらくカリーナ様が一番心配されていたことでしょう。」
「…」
「誠実な付き合いをなさっていらっしゃればあなたを庇う人間もいたのでしょうが」
「小言が言いたいの?」
いらいらとした口調で問われ私は苦笑した。今更小言などいうつもりは毛頭ない。
「いいえ。ですが、カリーナ様の最後の優しさまで無にされた愚かさはご認識なさった方がよろしいかと思い申し上げたまでです。カリーナ様は今後カレン様には関わられないことでしょう。
カレン様もどうぞカリーナ様の気をひくためだけに愚かな行いをなさらないでください。
もっとも、カレン様が何かされたとしても今までのようにご注意なさることはないでしょうが」
「なんでそう言い切れるのよ!どうせまたすぐに口出してくるに決まってる…」
「カリーナ様ほど優しい方が、その覚悟なくして愛さないなどと仰られるはずがありません。これからはお言葉通りカレン様に対して無関心を貫かれるでしょう。どれほどカレン様がカリーナ様に執着されようと。」
「そんな…」
カレン様の顔に絶望の色が広がるのを見て内心溜め息を吐きそうだった。ここまで言ってやっと自分は本当に姉から見捨てられたのだと気づいたようだ。
「私、私は…姉様の瞳に二度と映してもらえないの?」
はらりと涙を流すカレン様を見て、強い怒りの感情がふつふつと沸いてくる。
「あなたが被害者ですか」
冷たい声で問い返すとはっとした様子で私を見た後、唇を噛んで俯いた。
「あなたからの悪意に耐え、あなたの流した偽りの噂に惑わされた方たちからの嘲笑や侮蔑に耐えてこられたカリーナ様が、ご自身のお心を守るために、あなたから向けられる感情に蓋をされたのは、責められることですか?」
「…」
「改心も謝罪もしないで許されたいなどとよくも思えたものですね」
「…姉様に謝罪したい。」
カレン様は絞りだすような声で呟いた。
40
あなたにおすすめの小説
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
モブ令嬢、当て馬の恋を応援する
みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。
転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!
木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。
胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。
けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。
勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに……
『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。
子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。
逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。
時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。
これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday
クリスティーヌの本当の幸せ
宝月 蓮
恋愛
ニサップ王国での王太子誕生祭にて、前代未聞の事件が起こった。王太子が婚約者である公爵令嬢に婚約破棄を突き付けたのだ。そして新たに男爵令嬢と婚約する目論見だ。しかし、そう上手くはいかなかった。
この事件はナルフェック王国でも話題になった。ナルフェック王国の男爵令嬢クリスティーヌはこの事件を知り、自分は絶対に身分不相応の相手との結婚を夢見たりしないと決心する。タルド家の為、領民の為に行動するクリスティーヌ。そんな彼女が、自分にとっての本当の幸せを見つける物語。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢は7年前の姿をしている
五色ひわ
恋愛
ドラード王国の第二王女、クラウディア・ドラードは正体不明の相手に襲撃されて子供の姿に変えられてしまった。何とか逃げのびたクラウディアは、年齢を偽って孤児院に隠れて暮らしている。
初めて経験する貧しい暮らしに疲れ果てた頃、目の前に現れたのは婚約破棄寸前の婚約者アルフレートだった。
【完結】ありのままのわたしを愛して
彩華(あやはな)
恋愛
私、ノエルは左目に傷があった。
そのため学園では悪意に晒されている。婚約者であるマルス様は庇ってくれないので、図書館に逃げていた。そんな時、外交官である兄が国外視察から帰ってきたことで、王立大図書館に行けることに。そこで、一人の青年に会うー。
私は好きなことをしてはいけないの?傷があってはいけないの?
自分が自分らしくあるために私は動き出すー。ありのままでいいよね?
婚約破棄令嬢、不敵に笑いながら敬愛する伯爵の元へ
あめり
恋愛
侯爵令嬢のアイリーンは国外追放の罰を受けた。しかしそれは、周到な準備をしていた彼女の計画だった。乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった、早乙女 千里は自らの破滅を回避する為に、自分の育った親元を離れる必要があったのだ。
「よし、これで準備は万端ね。敬愛する伯爵様の元へ行きましょ」
彼女は隣国の慈悲深い伯爵、アルガスの元へと意気揚々と向かった。自らの幸せを手にする為に。
今更ですか?結構です。
みん
恋愛
完結後に、“置き場”に後日談を投稿しています。
エルダイン辺境伯の長女フェリシティは、自国であるコルネリア王国の第一王子メルヴィルの5人居る婚約者候補の1人である。その婚約者候補5人の中でも幼い頃から仲が良かった為、フェリシティが婚約者になると思われていたが──。
え?今更ですか?誰もがそれを望んでいるとは思わないで下さい──と、フェリシティはニッコリ微笑んだ。
相変わらずのゆるふわ設定なので、優しく見てもらえると助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる