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本編【第二章】
2-32 カレン視点
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先に口を開いたのは父様だった。
「私は…そんな簡単に割り切れない。」
続けて母様も涙の滲んだ瞳のまま、こちらを向いて答えた。
「私にも無理よ…それにあの子は私達のことを見限ったわ。」
私はゆっくり頷いた。できるなら父様と母様にも私と同じ思いを抱いて欲しかった。でも、自分の罪さえ償いきれていない私が父様や母様に無理強いはできない。
「分かりました。お疲れのところ私の話を聞いてくださり感謝します。それと父様、母様。二人が自慢に思ってくださったカレンは次のパーティを最後にいなくなるでしょう。親不孝な行いばかりして申し訳ありません」
二人とも私が何のことを言っているのか薄々感じ取ったのだろう。静かに頷いた。
部屋を出た私はアンの方に向き直り、声をかけた。
「付き合わせて悪かったわね」
その言葉に驚いたように私を見つめ、アンは答えた。
「まさか本当に仰られるとは思いませんでした」
「どうせ、自分の都合の良いように話を持っていくって?」
皮肉っぽく尋ねると、生真面目な顔で頷かれてしまい、私は笑うしかなかった。
「それはそうよね。散々あなたにもカリーナにも嫌がらせをしたのだから。」
「…」
「…おやすみなさい」
部屋の前でアンと別れると私はベッドに倒れ込んだ。直近のパーティーは明後日。公爵家で開かれるものだ。貴族の多くが出席するだろう。当然私の取り巻きの多くも、カリーナとフォーゼム様も出席する。
パーティを台無しにはできない。けれどカリーナがこれ以上好奇の目で見られないように、次のパーティーでなんとかしないといけない。
そんなことを考えながら眠りに落ちた。
翌朝、私付きのメイドであるエリナが慌てたように声をかけてきた。
「カレン様、失礼致します」
「返事をする前に入ってこないで…」
まだ着替えておらず、ガウンを羽織っただけだった私はエリナに小言を言いかけて、途中で言葉を飲み込んだ。エリナの後ろからシュナイダー様が入ってきたのだ。
その様子を見てエリナが慌てて止める。
「シュナイダー様、客間でお待ちくださるように申し上げたはずです。」
エリナの言葉をうるさそうに手で払いながらシュナイダー様は下卑た笑いを浮かべてこちらに近づいてきた。
「カリーナ殿には及ばないが、やはりカレンも美しいな。今日は正式な婚約の破棄を伝えにきたが…気が変わりそうだ」
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私はゆっくり頷いた。できるなら父様と母様にも私と同じ思いを抱いて欲しかった。でも、自分の罪さえ償いきれていない私が父様や母様に無理強いはできない。
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その言葉に驚いたように私を見つめ、アンは答えた。
「まさか本当に仰られるとは思いませんでした」
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皮肉っぽく尋ねると、生真面目な顔で頷かれてしまい、私は笑うしかなかった。
「それはそうよね。散々あなたにもカリーナにも嫌がらせをしたのだから。」
「…」
「…おやすみなさい」
部屋の前でアンと別れると私はベッドに倒れ込んだ。直近のパーティーは明後日。公爵家で開かれるものだ。貴族の多くが出席するだろう。当然私の取り巻きの多くも、カリーナとフォーゼム様も出席する。
パーティを台無しにはできない。けれどカリーナがこれ以上好奇の目で見られないように、次のパーティーでなんとかしないといけない。
そんなことを考えながら眠りに落ちた。
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