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本編【第二章】
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カレンが控え室に訪れた時、私は思わず凍りついてしまった。
そんな私の様子を見て、フォーゼム様は部屋で待っているように私に告げる。
程なくして、少しカレンと二人で話してくる、と告げた。
なかなか帰って来ないフォーゼム様をそわそわして待っている私に、エルシラ様が声をかけてきた。
「カリーナ様。少し落ち着かれてはいかがでしょう」
「え、ええ」
「フォーゼム様なら大丈夫ですわ」
「でも…」
「失礼ながらカレン様のお噂は聞き及んでおります。ですが、フォーゼム様ならきっと上手く対処されますわ。」
にこりと安心させる笑みで、エルシラ様は私を宥める。
正直、カレンが私達に接触してくる理由が全く分からない。本当に…もう関わりたくのだ。例え泣いて謝られても…。
私はよほど浮かない表情を浮かべていたのだろう。エルシラ様は今度は困ったように微笑みながら、手ずから紅茶を淹れて私の前に置いてくれた。お礼を言うと、目元を和らげて微笑んでくれる。
濃いグリーンのタイトなドレスが中性的な美貌と相まって、ドレスを着ているのに男装の麗人のようだ。
思わず一瞬見惚れてしまう。
「カリーナ様どうなさいました?」
「あ、ごめんなさい。エルシラ様は美しいですよね」
突拍子もない私の発言に、一瞬虚を突かれたような顔をする。
「カリーナ様?」
再度、名前を呼ばれて私ははっとする。
「ごめんなさい。先日お会いした時は軍服を着てらっしゃったから思わず…」
私がしどろもどろになりながら言い訳すると爽やかな笑みと共にエルシラ様は答えた。
「ああ、なるほど。馬子にも衣装ですよね」
「いえ、そう言う意味では」
焦って否定すると、小気味良く笑われた。先ほどまでの淑女然とした態度とガラリと変わり戸惑ってしまう。そういえば、先日フォーゼム様に紹介された時も、このような話し方だった。旧知の中と聞いていたし、軍服姿だったからあまり違和感がなかったが、もしかすると、この話し方が素なのかも知れない。
「エルシラ様?」
「ああ。失礼しました。この話し方のほうが慣れておりまして…ご不快でしょうか」
やはり、エルシラ様はこちらの方が話しやすいらしい。私は微笑んで答えた。
「いいえ。エルシラ様と仲良くなれたみたいでとても嬉しいです」
言いながら思わず赤面してしまうのが自分でも分かる。私の表情をまじまじと見つめたあと、エルシラ様はにやりと笑って呟いた。
「なるほど、フォーゼムが気にいるわけだ」
そんな私の様子を見て、フォーゼム様は部屋で待っているように私に告げる。
程なくして、少しカレンと二人で話してくる、と告げた。
なかなか帰って来ないフォーゼム様をそわそわして待っている私に、エルシラ様が声をかけてきた。
「カリーナ様。少し落ち着かれてはいかがでしょう」
「え、ええ」
「フォーゼム様なら大丈夫ですわ」
「でも…」
「失礼ながらカレン様のお噂は聞き及んでおります。ですが、フォーゼム様ならきっと上手く対処されますわ。」
にこりと安心させる笑みで、エルシラ様は私を宥める。
正直、カレンが私達に接触してくる理由が全く分からない。本当に…もう関わりたくのだ。例え泣いて謝られても…。
私はよほど浮かない表情を浮かべていたのだろう。エルシラ様は今度は困ったように微笑みながら、手ずから紅茶を淹れて私の前に置いてくれた。お礼を言うと、目元を和らげて微笑んでくれる。
濃いグリーンのタイトなドレスが中性的な美貌と相まって、ドレスを着ているのに男装の麗人のようだ。
思わず一瞬見惚れてしまう。
「カリーナ様どうなさいました?」
「あ、ごめんなさい。エルシラ様は美しいですよね」
突拍子もない私の発言に、一瞬虚を突かれたような顔をする。
「カリーナ様?」
再度、名前を呼ばれて私ははっとする。
「ごめんなさい。先日お会いした時は軍服を着てらっしゃったから思わず…」
私がしどろもどろになりながら言い訳すると爽やかな笑みと共にエルシラ様は答えた。
「ああ、なるほど。馬子にも衣装ですよね」
「いえ、そう言う意味では」
焦って否定すると、小気味良く笑われた。先ほどまでの淑女然とした態度とガラリと変わり戸惑ってしまう。そういえば、先日フォーゼム様に紹介された時も、このような話し方だった。旧知の中と聞いていたし、軍服姿だったからあまり違和感がなかったが、もしかすると、この話し方が素なのかも知れない。
「エルシラ様?」
「ああ。失礼しました。この話し方のほうが慣れておりまして…ご不快でしょうか」
やはり、エルシラ様はこちらの方が話しやすいらしい。私は微笑んで答えた。
「いいえ。エルシラ様と仲良くなれたみたいでとても嬉しいです」
言いながら思わず赤面してしまうのが自分でも分かる。私の表情をまじまじと見つめたあと、エルシラ様はにやりと笑って呟いた。
「なるほど、フォーゼムが気にいるわけだ」
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