【完結】悪女のなみだ

じじ

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本編【第二章】

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「え?」
「失礼しました。独り言です」
「あの…エルシラ様とフォーゼム様はどのようなご関係だったのでしょう」

決死の思いで聞くと、今度は目を丸くして驚かれる。

「フォーゼム…いえ、フォーゼム様から聞いておられないのですか」
「はい…あのエルシラ様が呼びなれていらっしゃる呼び方で。私は気にしませんので。」
「ありがとうございます。では、先日お会いした時は…」
「信頼の置ける女性騎士を紹介する、彼女とは旧知の中だから安心しろ、とだけ。」

その答えを聞いたエルシラ様は片手を額に当てたまま天を仰いだ。そして私に向き直ると溜め息をついてから話し始めた。

「まずは謝罪を。カリーナ様の美しさには遠く及ばないとはいえ、私も一応女性です。婚約者から詳しい情報も与えられず紹介されたとあっては、さぞご不快だったでしょう。申し訳ございません」
「い、いえ、そんな」
「フォーゼムと私は騎士学校時代の同期でございます」
「まあ…」
「彼は優秀な男で…ご存知のとおり普通、騎士学校に貴族の嫡男はあまり入学しないのですが、家を継ぐ以上できることはなんでもする、と。3年間騎士学校に通い、その後貴族学校に入りました。」
「まあ…」
「3年間一緒に訓練や生活を共にする同期の間には戦友とでも言うべき絆が生まれます。そう言うわけで、フォーゼムは私を信頼してカリーナ様の警護をお任せ下さった、と言うところでございます。もちろん、実力でも彼には引けをとりませんよ。」

最後だけ冗談めかしたように片目を瞑って付け加えるエルシラ様の様子に私は思わず微笑む。

「今も昔も私は騎士学校時代の友人達からは異性として扱われたことはございません。彼らと話している時に、流れで私にまで好みの女性を聞いてきたこともあるくらいでしたから」
「まさか」

私が思わず驚くと、にやりと不敵な笑みとともにエルシラ様は答えた。

「大体、数拍おいて皆私が女だと思い出すようです。ですが、次聞かれた時はカリーナ様のような方だと答えることに致します。フォーゼムの顔が見ものですね」

冗談だと分かっているのに、あまり言われなれない類の言葉に思わず顔が赤くなるのが分かる。
どう返事したら良いものか分からず、なんとも言えない沈黙が訪れる。
エルシラ様から向けられる生温かい視線が辛い。
しかし、次の瞬間エルシラ様の目つきがすっと鋭くなった。

「エルシラ様?いかがなさいましたか」
「お静かに」

突如鋭い声で言われ、反射的に押し黙る。





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