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本編【第二章】
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丁寧に頭を下げたメイドは申し訳なさそうに続けた。
「カリーナ様。申し訳ございませんが、お越しいただけますか」
悼むような憐れむようなその表情を見て、それが事実なのだと突き付けられる。
「な、なぜ…」
なんとか出てきた言葉に、メイドはふるふると頭をふる。
「申し訳ございません。その辺りの詳細は本当に存じあげず…」
当たり前だ。私は何を聞いているのだろう。彼女はただ私を呼びにきただけなのだ。これ以上、彼女に聞くのはどう考えても彼女にも酷だ。
「そう…」
「とりあえず、カリーナ様向かいましょう。案内を」
エルシラ様の言葉に頷いてメイドはさっと歩き出す。
充分に私を気遣った足取りにも関わらず、私は上手く歩けずよろけてしまう。さっとエルシラ様が手を貸してくださり、なんとか転ばなかったことにほっとした瞬間、エルシラ様からハンカチを差し出された。
「カリーナ様。こちらをお使いください」
差し出された白のハンカチは周りが深緑のレースで縁取られていて、とても美しい。
「カリーナ様?どうぞ…」
再度エルシラ様にハンカチを使うよう促されて、初めて自分が泣いていたことに気づいた。
「ありがとうございます…」
程なくしてフォーゼム様の姿が見えてきて、心底ホッとする。
「フォーゼム様、カリーナ様をお連れいたしました」
メイドの言葉に、フォーゼム様が振り返る。
「ああ、ありがとう。」
そして、私に向き直ると労りに満ちた声で告げてきた。
「カレン殿が先ほど亡くなられた。」
先に聞いていたとは言え、フォーゼの様の口から再び告げられると間違いのない事実だと突きつけられて、また涙が流れた。
「カリーナ。カレン殿はこちらだ」
手を引かれてカレンの横たわっているであろうベッドに連れて行かれる。
「フォーゼム様、カレンは…」
「私と二人で話したいと言われ、中庭の方へ出た瞬間、男に刺された。」
「犯人は…」
「捕まえた。今、詳細を聞き出しているはずだ」
「カレンはなぜ…」
「分からない。」
被せるように言われて驚く。そっとフォーゼム様の横顔を見るとカレンの顔を見つめる瞳にうっすら涙が溜まっていた。そっと私もカレンの顔を覗き込む。
さっきまで見たくないと思っていたのが嘘のように美しい寝顔だった。いや、寝顔ではないことは分かっている。それでも眠っているようにしか見えない。軽く閉じられた瞳に、優しく微笑むように弧を描いている唇。呼びかけたら今にも起きそうなのに…。
「カレン…カレン…」
胸の上で組み合わされている手を握ると、驚くほど冷たかった。
「カリーナ様。申し訳ございませんが、お越しいただけますか」
悼むような憐れむようなその表情を見て、それが事実なのだと突き付けられる。
「な、なぜ…」
なんとか出てきた言葉に、メイドはふるふると頭をふる。
「申し訳ございません。その辺りの詳細は本当に存じあげず…」
当たり前だ。私は何を聞いているのだろう。彼女はただ私を呼びにきただけなのだ。これ以上、彼女に聞くのはどう考えても彼女にも酷だ。
「そう…」
「とりあえず、カリーナ様向かいましょう。案内を」
エルシラ様の言葉に頷いてメイドはさっと歩き出す。
充分に私を気遣った足取りにも関わらず、私は上手く歩けずよろけてしまう。さっとエルシラ様が手を貸してくださり、なんとか転ばなかったことにほっとした瞬間、エルシラ様からハンカチを差し出された。
「カリーナ様。こちらをお使いください」
差し出された白のハンカチは周りが深緑のレースで縁取られていて、とても美しい。
「カリーナ様?どうぞ…」
再度エルシラ様にハンカチを使うよう促されて、初めて自分が泣いていたことに気づいた。
「ありがとうございます…」
程なくしてフォーゼム様の姿が見えてきて、心底ホッとする。
「フォーゼム様、カリーナ様をお連れいたしました」
メイドの言葉に、フォーゼム様が振り返る。
「ああ、ありがとう。」
そして、私に向き直ると労りに満ちた声で告げてきた。
「カレン殿が先ほど亡くなられた。」
先に聞いていたとは言え、フォーゼの様の口から再び告げられると間違いのない事実だと突きつけられて、また涙が流れた。
「カリーナ。カレン殿はこちらだ」
手を引かれてカレンの横たわっているであろうベッドに連れて行かれる。
「フォーゼム様、カレンは…」
「私と二人で話したいと言われ、中庭の方へ出た瞬間、男に刺された。」
「犯人は…」
「捕まえた。今、詳細を聞き出しているはずだ」
「カレンはなぜ…」
「分からない。」
被せるように言われて驚く。そっとフォーゼム様の横顔を見るとカレンの顔を見つめる瞳にうっすら涙が溜まっていた。そっと私もカレンの顔を覗き込む。
さっきまで見たくないと思っていたのが嘘のように美しい寝顔だった。いや、寝顔ではないことは分かっている。それでも眠っているようにしか見えない。軽く閉じられた瞳に、優しく微笑むように弧を描いている唇。呼びかけたら今にも起きそうなのに…。
「カレン…カレン…」
胸の上で組み合わされている手を握ると、驚くほど冷たかった。
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