【完結】悪女のなみだ

じじ

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本編【第二章】

2-57

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やはり相当酷い罵声を浴びせられたのだろうか。フォーゼム様は何も悪くないのに。こんなに怒らせて傷つけてしまうくらいなら私が行けばよかった。

「私が行くべきでした。」

思わず口をついて出た言葉にフォーゼム様はゆっくりと被りを振る。

「いや、私は全く逆のことを考えていた。」
「え?」
「やはり、あなたを行かせなくて良かった」
「私が死ねば良かった、とでも申しておりましたか?」

あの両親ならそれくらいのことは平気で言うだろう。その問いかけにフォーゼム様は黙り込んだ。

「あの、フォーゼム様。カレンが私より愛されていたのは確かですし、今更何を言われても私は両親のことを見限っておりますので…それよりも私の身内のことであなたがそのような顔をされる方が辛いのです。
何を言っていたか教えていただけませんか」

私が食い下がると、フォーゼム様は眉間の皺を深くして目を閉じた。親指と人差し指で眉間を揉む。
しばらくして、ふーっと長く息を吐いてからゆっくり口を開いた。

「すまない。なんといえばいいのか…」

私は黙ったままこくりと頷く。

「カレン殿が亡くなったことと、その加害者がシュナイダーだと告げたとき…正直私は殴られる覚悟をした。罵声だけで済むはずがない、と。そしてもちろん甘んじ受け入れるつもりだった。」

あの二人のことだ、最愛のカレンが殺され、その身内の人間がその事実を告げに来たのであれば、どんな罵声を浴びせても無理ない。

「だが…お二人は夜中に訪った私にで深夜に尋ねてくるな、と。」
「そんなこと?」

私は驚いて目を見開いた。だってあの二人にとってカレンはかけがえのない唯一の娘だったはずだ。

「ああ。」
「カレンの死をそう言ったのですか」
「ああ。」
「そんな…なぜ両親はカレンのことをそのように…」

おそらくその質問がフォーゼム様は一番聞かれたくなかったのだろう。ぐっと唇を固く結んだ。やっと開くと一言だけ私に告げる。

「分からない。」

そう答えてまっすぐ私を見つめるフォーゼム様に、私は一抹の寂しさを感じた。
きっと私を守るために、なにがあったのか教えてくれないのだろう。

「そう…ですか」
「ああ。それで、ご両親の雰囲気では葬儀のことを考えておられるとは思えないから、できればこちらで手配したいのだが…。」
「ありがとうございます」
「ご両親には私から声をかけようと思う。良いだろうか」
「もちろんです。ありがとうございます」

私の答えを聞いて、フォーゼム様は悲しげに小さく微笑んだ。
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