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第四章
波打ち際の風に 6
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水面に顔を出すと、弥生の笑い声が聞こえる。
「もう、危ないじゃないですか!」
「それくらいじゃないと楽しくないじゃない」
勢いよく水を掛けられ、慌てて一度水面に顔を付けた。
「ほら、せっかくの海なんだから、堪能するわよ?手貸して」
どうやらまだまだ遊ぶつもりらしい。
弥生は中々泳ぎが上手なようで、普段ほとんど泳がない瑞華を上手に先導していく。
指示されて息を吸ってから、海の中に素潜りで連なった泳ぐ頃には、すでに弥生のペースだった。
ゴーグルもないのに、と思うけれど。それでも海の中は穏やかな「音」に包まれているように感じて、優しく心地よくて。言葉のない中に、繋がれた手が頼もしく感じてしまう。
あの日、鷹羽と手が触れ合った時に感じたおぞましいほどの感情が塗り替えられていくようで。気持ちが安らいでいくのを感じて、息をするために水面に顔を出しても、2度3度の弥生の誘いにその後は逆らう気にはなれなかった。
どこまでも広がる海に身をまかせて、その世界を覗く贅沢な時間。
触れ合った手を思わず離さないようにときゅっとしっかり握りなおした。
全てが海に浄化されるようで…無心で引かれるままで。
そうして。
海を堪能して。
足の着く場所へたどり着いたころには、体力も限界。
水中と違い、どっしりと重力を感じつつ砂浜を踏みしめて、パラソルに戻る。
「楽しかったでしょう?」
まだまだ元気な弥生には驚きを隠せないが、繋いだままの手は居心地が良く、自然と笑みを返してしまった。
「弥生さんにはかないません」
「うふふ」
満足そうに笑われて、レジャーシートの上に休むようにと座らされた。
それから冷たいタオルと飲み物が渡される。
「少し休んでるといいわ」
そう言うと、自身はまだまだ元気とばかりに、少し離れたパラソルの下で休んでいるサマーベットの上の月人さんの元に歩いて行く。
疲労のため頭がぼんやりしている中、横目でそれを見送ってから、ビーチバレーは終わったのかと、流石に気力なく海を見つめて飲み物を口にする。
美味しいグアバジュースだった。
思いのほか喉が渇いていたようで、普段以上に美味しく感じる気がして、顔が綻んだ。
「随分楽しそうにしてたねぇ」
頭にぽんと、何かを被せられ、顔を上げるとそこには風人が立っていた。
被せられたのは、瑞華の麦わら帽子だった。
そういえばいつの間にかなくなっていたが、どこで落としたのだろうか。
「でも準備運動もせずに急に飛び込むとは、ちょっと危ないぜ?」
「別に自分で飛び込んだわけじゃないですけど…」
言い返してから、でも楽しかったと感じてるわけだから、自分の責任もあるかもしれないと思えば、言葉は途中で力を無くした。
「...多少。反省しておきます」
言い返すのも面倒なのだと言い訳しつつ、心地よい疲労感に無意識に唇は笑みを浮かべる。
ジュースを飲んで、心地よい疲労に身を任せるように、そのまま目を閉じた。
空になったグラスに、気を利かせてくれたのだろう。風人が瑞華の手から抜いてしまい片付けるために隣から気配が離れた。
柔らかな海風を感じて、ついうとうとしてしまい瑞華はそのまま、膝を抱えて眠ってしまった。
「もう、危ないじゃないですか!」
「それくらいじゃないと楽しくないじゃない」
勢いよく水を掛けられ、慌てて一度水面に顔を付けた。
「ほら、せっかくの海なんだから、堪能するわよ?手貸して」
どうやらまだまだ遊ぶつもりらしい。
弥生は中々泳ぎが上手なようで、普段ほとんど泳がない瑞華を上手に先導していく。
指示されて息を吸ってから、海の中に素潜りで連なった泳ぐ頃には、すでに弥生のペースだった。
ゴーグルもないのに、と思うけれど。それでも海の中は穏やかな「音」に包まれているように感じて、優しく心地よくて。言葉のない中に、繋がれた手が頼もしく感じてしまう。
あの日、鷹羽と手が触れ合った時に感じたおぞましいほどの感情が塗り替えられていくようで。気持ちが安らいでいくのを感じて、息をするために水面に顔を出しても、2度3度の弥生の誘いにその後は逆らう気にはなれなかった。
どこまでも広がる海に身をまかせて、その世界を覗く贅沢な時間。
触れ合った手を思わず離さないようにときゅっとしっかり握りなおした。
全てが海に浄化されるようで…無心で引かれるままで。
そうして。
海を堪能して。
足の着く場所へたどり着いたころには、体力も限界。
水中と違い、どっしりと重力を感じつつ砂浜を踏みしめて、パラソルに戻る。
「楽しかったでしょう?」
まだまだ元気な弥生には驚きを隠せないが、繋いだままの手は居心地が良く、自然と笑みを返してしまった。
「弥生さんにはかないません」
「うふふ」
満足そうに笑われて、レジャーシートの上に休むようにと座らされた。
それから冷たいタオルと飲み物が渡される。
「少し休んでるといいわ」
そう言うと、自身はまだまだ元気とばかりに、少し離れたパラソルの下で休んでいるサマーベットの上の月人さんの元に歩いて行く。
疲労のため頭がぼんやりしている中、横目でそれを見送ってから、ビーチバレーは終わったのかと、流石に気力なく海を見つめて飲み物を口にする。
美味しいグアバジュースだった。
思いのほか喉が渇いていたようで、普段以上に美味しく感じる気がして、顔が綻んだ。
「随分楽しそうにしてたねぇ」
頭にぽんと、何かを被せられ、顔を上げるとそこには風人が立っていた。
被せられたのは、瑞華の麦わら帽子だった。
そういえばいつの間にかなくなっていたが、どこで落としたのだろうか。
「でも準備運動もせずに急に飛び込むとは、ちょっと危ないぜ?」
「別に自分で飛び込んだわけじゃないですけど…」
言い返してから、でも楽しかったと感じてるわけだから、自分の責任もあるかもしれないと思えば、言葉は途中で力を無くした。
「...多少。反省しておきます」
言い返すのも面倒なのだと言い訳しつつ、心地よい疲労感に無意識に唇は笑みを浮かべる。
ジュースを飲んで、心地よい疲労に身を任せるように、そのまま目を閉じた。
空になったグラスに、気を利かせてくれたのだろう。風人が瑞華の手から抜いてしまい片付けるために隣から気配が離れた。
柔らかな海風を感じて、ついうとうとしてしまい瑞華はそのまま、膝を抱えて眠ってしまった。
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