拝啓、お姉さまへ

一華

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第一章 4月

お姉さまは有名人? ★2★

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そういえばと、襟元をよく見てみると小さな穴が空いている。
手荷物から、貰ったブロンズのバッチを取り出して、穴に合わせて止めてみる。
この位置に付けて、志奈さんはこの制服を着ていたようだ。

「なんか着るのが恐れ多い」
華やかな人だから、きっと生徒の注目を浴びていただろう。
上級生には、存在を知っている人もいるかもしれない。
誰も同じ制服を着ているとは思わないだろうが、柚鈴自身は知っているのだから、気になる。
「もしかしたら制服姿の志奈さんの写真、学校のどこかで見つけられるかもなぁ」
図書館や、学園の端にある同窓会館など、可能性はある。

この寮にだって住んでいたのだから、足跡だって出来るかも。

突然できた姉、しかも自分にかなり好意的な志奈さんに戸惑い、どうにか距離を置こうとしていたけれど、離れてみると少しばかり恋しい気持ちにもなる。
私だって、人並みに美しいものに憧れる平凡な15歳なのだ。
だったら、寮になんて入らない、家から通える学校にすれば良かったのかもしれないけれど。
やっぱり時間をかけたい。
そこまで環境変化に心が付いていけない。
言わば、この寮にいる時間は、柚鈴にとってのモラトリアム。
少しだけ、子供でいていい時間なのだ。

入学後の志奈さんの足跡探しを、楽しみに感じながら、それなりの数ある届いていた段ボールの荷ほどきをしていると、ドアがノックされた。
寮に入って最初のお客さん。

少し緊張しつつ、返事をして扉を開けた。
ドアの外に立っていたのは、なんともメルヘンな格好の小柄な女性だった。
リボンの飾りが印象的で、ふわふわと流れるような髪が可愛らしいツインテール。水色のやたらフリルの多いワンピースを着ている。
年上だとは思うが、幼さを感じるというか。
可愛いは可愛いけど、多分、これロリ系ファッション、だよね?

一瞬、何事?と目を見張ったが、相手は平然とした顔をしているし、本人の当たり前の私服なのだろう。
何より、フランス人形みたいな姿が似合う、愛らしい顔立ちをしている。
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