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第一章 4月
お姉さま、入学式です ★3★
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「はぅー。素敵」
幸が幸せそうに声を漏らす。
もちろん、柚鈴も同じ心境だ。
教室は常葉学園は理事が変わって以来「東・西・南・北」を呼称に使った6クラス
特待生を含めた、勉強に力を入れる特進科の東組
いわゆる普通科で、一般教養や特別授業など、多様な授業が盛り込まれる、昔ながらの常葉学園の特色が1番強く残っている北西・南西・西組
スポーツ特待制度などを使用した体育授業に力を入れた南組
芸術・美術に力を入れた北組
それぞれクラス別に受験をしているので、入学式以降にクラス分けが行われるのは普通科の「北西組」「南西組」「西組」3クラスだけだ。
柚鈴と幸は東組
薫は南組
花奏はクラス分けを確認して南西組
と言う風になった。
「薫や花奏ちゃんとは違うクラスなんだね。寂しいなぁ」
幸が言うと、薫はフッと笑う。
「柚鈴と一緒だから良かったじゃない。あんたが東組だってことは私には疑問だけどね」
「酷いっ。でも本当にギリギリだったんだよ。特進クラスはもしかしたら入れるかも知れないけど、特待生は絶対無理だって中学の先生に言われたもん」
とほほと肩を落とす。
「でもそこには入れないと、私立だしお金掛かっちゃうでしょう?別の学校に行くなら寮もないし。特進科入れなかったら、従姉妹と一緒に住みなさいって言われてたから頑張ったの!」
「幸ちゃん、どれだけ従姉妹の人が嫌なの?」
度々出てくる『従姉妹』の話に思わず笑って聞くと、幸はどこか疲れたような笑顔を見せた。
「イヤというか、なんというか」
幸は曖昧に笑ってみせた。
親戚もほとんどいない柚鈴からすると、幸は親戚が多いようで、常葉学園OGである人とか、従姉妹とか、良く話に出てきて羨ましい。
従姉妹のことも心底嫌ってるわけでもなさそうだし、みんな仲が良さそうだ。
元々、人懐こいタイプだし、幸みたいな性格だったら、志奈さんともすぐ打ち解けたかもしれないと思ったりもするくらいだ。
もちろん柚鈴の知らない事情があるのかもしれないけれど、本当に深刻に悩んでいる風でもないことは、なんとなくわかっていた。
はっきりとした答えを言わない幸に、花奏はからかうように声をかけた。
「まーまー。幸ちゃんも来年は私と同じ西3クラスのどこかにいるかもしれないし」
「えぇ!?花奏ちゃん、それどういう意味?」
「西3クラスはいいよー。常葉学園の昔からの特色を一番強く残してるのは、やっぱり西3クラスだもん。高校3年間は一度しかないから、楽しまなきゃ」
幸の悲鳴のような質問を、笑顔で畳み込んで花奏は楽しそうだ。
「酷いよ、花奏ちゃん。冗談にもならないよ」
口を尖らせた幸に、思わず笑ってしまうと、今度は柚鈴の方に恨みがましい目線を向けられてしまう。慌てて視線を花奏に向けた。
「そう言えば、花奏ちゃん。南組は考えなかったの?」
「ぜんぜん」
明るくさっぱりと否定される。
「私はスポーツは部活だけでいいのよ。普通科にいれば、選択授業の幅も広がるし。色々挑戦したいしね」
「私は勉強はほどほどでいいから、理解できないや」
薫は笑って軽く首を振ると、案内板を見て、自分の教室の場所を確認する。
「んじゃ、私は自分の教室行くわ」
薫が言い出すと、花奏もくるりと方向転換した。
「私も行くね。じゃあねー」
薫と花奏はそれぞれ自分たちの教室に行ってしまった。
あとに残された幸に目を向けると
「柚鈴ちゃん、勉強ついて行けなくなったら、教えてね」
「もちろんだよ。一緒に頑張ろう」
すでに不安の固まりになってる幸を、笑って落ち着かせる。
いや、私もすごく余裕ないのだけど、ここは請け負うのが正解、だよね?
心の中だけで、汗を感じた。
幸が幸せそうに声を漏らす。
もちろん、柚鈴も同じ心境だ。
教室は常葉学園は理事が変わって以来「東・西・南・北」を呼称に使った6クラス
特待生を含めた、勉強に力を入れる特進科の東組
いわゆる普通科で、一般教養や特別授業など、多様な授業が盛り込まれる、昔ながらの常葉学園の特色が1番強く残っている北西・南西・西組
スポーツ特待制度などを使用した体育授業に力を入れた南組
芸術・美術に力を入れた北組
それぞれクラス別に受験をしているので、入学式以降にクラス分けが行われるのは普通科の「北西組」「南西組」「西組」3クラスだけだ。
柚鈴と幸は東組
薫は南組
花奏はクラス分けを確認して南西組
と言う風になった。
「薫や花奏ちゃんとは違うクラスなんだね。寂しいなぁ」
幸が言うと、薫はフッと笑う。
「柚鈴と一緒だから良かったじゃない。あんたが東組だってことは私には疑問だけどね」
「酷いっ。でも本当にギリギリだったんだよ。特進クラスはもしかしたら入れるかも知れないけど、特待生は絶対無理だって中学の先生に言われたもん」
とほほと肩を落とす。
「でもそこには入れないと、私立だしお金掛かっちゃうでしょう?別の学校に行くなら寮もないし。特進科入れなかったら、従姉妹と一緒に住みなさいって言われてたから頑張ったの!」
「幸ちゃん、どれだけ従姉妹の人が嫌なの?」
度々出てくる『従姉妹』の話に思わず笑って聞くと、幸はどこか疲れたような笑顔を見せた。
「イヤというか、なんというか」
幸は曖昧に笑ってみせた。
親戚もほとんどいない柚鈴からすると、幸は親戚が多いようで、常葉学園OGである人とか、従姉妹とか、良く話に出てきて羨ましい。
従姉妹のことも心底嫌ってるわけでもなさそうだし、みんな仲が良さそうだ。
元々、人懐こいタイプだし、幸みたいな性格だったら、志奈さんともすぐ打ち解けたかもしれないと思ったりもするくらいだ。
もちろん柚鈴の知らない事情があるのかもしれないけれど、本当に深刻に悩んでいる風でもないことは、なんとなくわかっていた。
はっきりとした答えを言わない幸に、花奏はからかうように声をかけた。
「まーまー。幸ちゃんも来年は私と同じ西3クラスのどこかにいるかもしれないし」
「えぇ!?花奏ちゃん、それどういう意味?」
「西3クラスはいいよー。常葉学園の昔からの特色を一番強く残してるのは、やっぱり西3クラスだもん。高校3年間は一度しかないから、楽しまなきゃ」
幸の悲鳴のような質問を、笑顔で畳み込んで花奏は楽しそうだ。
「酷いよ、花奏ちゃん。冗談にもならないよ」
口を尖らせた幸に、思わず笑ってしまうと、今度は柚鈴の方に恨みがましい目線を向けられてしまう。慌てて視線を花奏に向けた。
「そう言えば、花奏ちゃん。南組は考えなかったの?」
「ぜんぜん」
明るくさっぱりと否定される。
「私はスポーツは部活だけでいいのよ。普通科にいれば、選択授業の幅も広がるし。色々挑戦したいしね」
「私は勉強はほどほどでいいから、理解できないや」
薫は笑って軽く首を振ると、案内板を見て、自分の教室の場所を確認する。
「んじゃ、私は自分の教室行くわ」
薫が言い出すと、花奏もくるりと方向転換した。
「私も行くね。じゃあねー」
薫と花奏はそれぞれ自分たちの教室に行ってしまった。
あとに残された幸に目を向けると
「柚鈴ちゃん、勉強ついて行けなくなったら、教えてね」
「もちろんだよ。一緒に頑張ろう」
すでに不安の固まりになってる幸を、笑って落ち着かせる。
いや、私もすごく余裕ないのだけど、ここは請け負うのが正解、だよね?
心の中だけで、汗を感じた。
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