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第一章 4月
お姉さま、入学式です ★4★
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入学式は保護者方も見守る中、つつがなく進んだ。
名門校らしくも、緊張感のある厳かな雰囲気の入学式だった。
新入生代表の挨拶として、東組から1人出ていた。恐らく彼女が一年生首席だろう。
明智絵里さん。
きっちりとした三つ編みと、黒縁の眼鏡が印象的な真面目そうな人だった。
淀みない挨拶に同じ一年生とは思えなくて、見とれてしまう。
一年生首席をとれるだけ勉強が出来たら、来年度の特待生枠も楽なんだけど。
誰にも気づかれないように小さくため息が出てしまった。
これに関しては全く自信がなかった。
部活動などせず、頑張って、なんとかしよう。
今日の式は、オトウサンは来れないと言っていた。だから、お母さんだけで来ているはずだ。
入学式が緊張すると言っていたけど、どうだったかな?
一瞬、後ろを向いて探し出したい気分にもなるけど、行儀が悪いので我慢する。
柚鈴と良く似ている外見で、いつも長い髪を一つ結びして食事を作ってくれていた母を思い出すと、なんだか切ない気持ちにもなってしまった。
まだ離れて数日なのに。
早く会いたい気持ちを、どうにか抑え込んで、しっかりと前を向いて時間を過ごした。
入学式が終わると、各クラスごとの記念写真があり、保護者も写ることになっている。
それが終われば、クラスごとに帰宅して良いことになっていた。
入学式前にクラスでの挨拶などは終了しているのだ。
「ゆ、柚鈴ちゃん」
記念写真撮影への移動中に、列が乱れるのも気にせずに慌てふためいた幸が近づいてくる。どうしたのかと振り返ると。
「なんか、い、従姉が来てた!」
「え?」
従姉?
意味が分からずに首を傾げると、幸は大きく頷く。
「入学式に従姉が来てたの」
「入学式って親しか来ないんじゃないの?」
予想外の言葉に、そんな言葉しか出てこなかったが、幸は大きく頷いた。
「私もそう思ってたんだけど。うち、両親来ないから、代わりのつもりで来たのかも」
シクシクと哀しむ幸ちゃんに、よしよしと慰める。といっても、頭を撫でるくらいしか出来ないけど。
入学式に参加する保護者といえば、親かと思っていたけど、そうじゃないんだ。
そんなことを考えてから、ん?と思う。
それは親でなくても家族や親戚でも参加出来るということだ。
つまり。
浮かんだ考えに、まさかと思う。
焦って、今出てきた講堂を振り返るが、中の人たちが見えることはない。
完全に油断してた!
家族でも良いなら、あの人が来ないということがあるだろうか?
麗しい義理の姉の姿が満面の笑みで浮かぶと、いないハズがないように思えて来た。
写真撮影の順番は、東組が最初だ。
生徒達が並び終えてから、保護者が加わっての撮影だ。撮り終えるまで、全く確認する機会はない。
落ち着かない気持ちを押さえつけ写真を撮り終え、次のクラスに場所を譲る時になって、慌てて保護者達が案内されている方を見た。
その人はとてもあっさり見つかった。
お母さんの横にいたというのも、勿論理由の一つだけど。
なんというか、やはり目立つのだ。どんな格好をしていても。
まるで保護者の1人のような、かしこまったスーツを志奈さんは着ていた。
なんのつもりか、大きなツバの帽子とサングラスを今この時、掛けようとしているところだ。
ということは、写真撮影の間は外していたということだろう。
柚鈴が自分を見ていることに気付いて、無邪気に手を振っている。
なんの悪びれもない。
だ、脱力する。
「もう帰れるなら、待ってるから荷物をとって来なさい」
志奈さんの横から、お母さんが声を掛けてくる。
仕方ないので手を振って、了解の意志を示した。
名門校らしくも、緊張感のある厳かな雰囲気の入学式だった。
新入生代表の挨拶として、東組から1人出ていた。恐らく彼女が一年生首席だろう。
明智絵里さん。
きっちりとした三つ編みと、黒縁の眼鏡が印象的な真面目そうな人だった。
淀みない挨拶に同じ一年生とは思えなくて、見とれてしまう。
一年生首席をとれるだけ勉強が出来たら、来年度の特待生枠も楽なんだけど。
誰にも気づかれないように小さくため息が出てしまった。
これに関しては全く自信がなかった。
部活動などせず、頑張って、なんとかしよう。
今日の式は、オトウサンは来れないと言っていた。だから、お母さんだけで来ているはずだ。
入学式が緊張すると言っていたけど、どうだったかな?
一瞬、後ろを向いて探し出したい気分にもなるけど、行儀が悪いので我慢する。
柚鈴と良く似ている外見で、いつも長い髪を一つ結びして食事を作ってくれていた母を思い出すと、なんだか切ない気持ちにもなってしまった。
まだ離れて数日なのに。
早く会いたい気持ちを、どうにか抑え込んで、しっかりと前を向いて時間を過ごした。
入学式が終わると、各クラスごとの記念写真があり、保護者も写ることになっている。
それが終われば、クラスごとに帰宅して良いことになっていた。
入学式前にクラスでの挨拶などは終了しているのだ。
「ゆ、柚鈴ちゃん」
記念写真撮影への移動中に、列が乱れるのも気にせずに慌てふためいた幸が近づいてくる。どうしたのかと振り返ると。
「なんか、い、従姉が来てた!」
「え?」
従姉?
意味が分からずに首を傾げると、幸は大きく頷く。
「入学式に従姉が来てたの」
「入学式って親しか来ないんじゃないの?」
予想外の言葉に、そんな言葉しか出てこなかったが、幸は大きく頷いた。
「私もそう思ってたんだけど。うち、両親来ないから、代わりのつもりで来たのかも」
シクシクと哀しむ幸ちゃんに、よしよしと慰める。といっても、頭を撫でるくらいしか出来ないけど。
入学式に参加する保護者といえば、親かと思っていたけど、そうじゃないんだ。
そんなことを考えてから、ん?と思う。
それは親でなくても家族や親戚でも参加出来るということだ。
つまり。
浮かんだ考えに、まさかと思う。
焦って、今出てきた講堂を振り返るが、中の人たちが見えることはない。
完全に油断してた!
家族でも良いなら、あの人が来ないということがあるだろうか?
麗しい義理の姉の姿が満面の笑みで浮かぶと、いないハズがないように思えて来た。
写真撮影の順番は、東組が最初だ。
生徒達が並び終えてから、保護者が加わっての撮影だ。撮り終えるまで、全く確認する機会はない。
落ち着かない気持ちを押さえつけ写真を撮り終え、次のクラスに場所を譲る時になって、慌てて保護者達が案内されている方を見た。
その人はとてもあっさり見つかった。
お母さんの横にいたというのも、勿論理由の一つだけど。
なんというか、やはり目立つのだ。どんな格好をしていても。
まるで保護者の1人のような、かしこまったスーツを志奈さんは着ていた。
なんのつもりか、大きなツバの帽子とサングラスを今この時、掛けようとしているところだ。
ということは、写真撮影の間は外していたということだろう。
柚鈴が自分を見ていることに気付いて、無邪気に手を振っている。
なんの悪びれもない。
だ、脱力する。
「もう帰れるなら、待ってるから荷物をとって来なさい」
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仕方ないので手を振って、了解の意志を示した。
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