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第一章 4月
お姉さま、入学式です ★8★
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「うん、ばっちり」
…その言葉が出るまでに、携帯以上の枚数を熱心に写真を撮ってくれたが。
もう、それはいいや。
諦めの気持ちでだが受け入れることができた。
スーツの女性は微笑んでから、名刺を取り出して渡してくれる。
「お名前聞いても良いかしら?」
「あ、小鳥遊柚鈴です」
「東組よね?さっき写真撮影の時、見かけたもの」
にこっと笑いかけられて、ふと名刺に目線を落とすと
春野弥生、と書かれていた。
春野、ということは。
「もしかして、幸ちゃんの従姉妹のお姉さんですか?」
「ええ、そうよ。もう、もうお知り合い?」
「あ、はい。同じ寮でして」
「そうなんだ。幸ちゃんのことよろしくね」
極上のスマイル。ついでに握手まで求められ、愛想笑いで手を出した。
ものすごく愛想が良い。
幸の従姉妹、というと、ものすごく幸が避けていた相手のはずだ。
どこが、とは言えないけど、確かにちょっと変わってはいるかもしれない。
そういえば、幸はどこにいったんだろうと、その姿を探してしまう。
「幸ちゃんなら、寮に帰ったわよ」
考えを読まれたのか、弥生さんはにっこり笑って教えてくれた。
帰ったのか、逃げ出したのか、普段の幸の態度からだと色々考えてしまうところだ。
でもパッと見、ただの美人のお姉さんである。カメラに関してはずいぶん熱心ではあるけど、幸ちゃんが苦手だとする理由までは解らなかった。
まあ、「美人のお義姉さん」の志奈さんから一歩引いた態度を取りたい柚鈴が言えることではないのだが
そんな柚鈴の心内なんて全く知る由もなく、弥生さんは、お母さんと志奈さんに丁寧に挨拶をして帰ってしまった。
「柚鈴ちゃん、写真が出来たら見せてね」
志奈さんが明るい声で話しかけてきて振り向くと、サングラスと帽子を被っていた。
「帰るんですか?」
そう聞くと、志奈さんは笑って頷いた。
それから、そっと私を抱き寄せる。
「またすぐ会いましょう。楽しみにしてるから」
後は、すっと離れていってしまう。
入れ替わるようにお母さんが少し寂しそうに手を握って囁くように声を掛けてくれた。
「元気で頑張ってね」
なんだか私も急に寂しくなってしまった。でもそんなことは言えない。
いつでも会えるから大丈夫。大丈夫と、心の中だけで言い聞かせて、笑ってみせた。
お母さんはもしかして気付いているだろうか?
そんな素振りを見たら、私の表情が変わってしまう気がした。
だから、見ているようで、なるべく見ないようにする。
そうして帰っていく2人を見えなくなるまで見送った。
…その言葉が出るまでに、携帯以上の枚数を熱心に写真を撮ってくれたが。
もう、それはいいや。
諦めの気持ちでだが受け入れることができた。
スーツの女性は微笑んでから、名刺を取り出して渡してくれる。
「お名前聞いても良いかしら?」
「あ、小鳥遊柚鈴です」
「東組よね?さっき写真撮影の時、見かけたもの」
にこっと笑いかけられて、ふと名刺に目線を落とすと
春野弥生、と書かれていた。
春野、ということは。
「もしかして、幸ちゃんの従姉妹のお姉さんですか?」
「ええ、そうよ。もう、もうお知り合い?」
「あ、はい。同じ寮でして」
「そうなんだ。幸ちゃんのことよろしくね」
極上のスマイル。ついでに握手まで求められ、愛想笑いで手を出した。
ものすごく愛想が良い。
幸の従姉妹、というと、ものすごく幸が避けていた相手のはずだ。
どこが、とは言えないけど、確かにちょっと変わってはいるかもしれない。
そういえば、幸はどこにいったんだろうと、その姿を探してしまう。
「幸ちゃんなら、寮に帰ったわよ」
考えを読まれたのか、弥生さんはにっこり笑って教えてくれた。
帰ったのか、逃げ出したのか、普段の幸の態度からだと色々考えてしまうところだ。
でもパッと見、ただの美人のお姉さんである。カメラに関してはずいぶん熱心ではあるけど、幸ちゃんが苦手だとする理由までは解らなかった。
まあ、「美人のお義姉さん」の志奈さんから一歩引いた態度を取りたい柚鈴が言えることではないのだが
そんな柚鈴の心内なんて全く知る由もなく、弥生さんは、お母さんと志奈さんに丁寧に挨拶をして帰ってしまった。
「柚鈴ちゃん、写真が出来たら見せてね」
志奈さんが明るい声で話しかけてきて振り向くと、サングラスと帽子を被っていた。
「帰るんですか?」
そう聞くと、志奈さんは笑って頷いた。
それから、そっと私を抱き寄せる。
「またすぐ会いましょう。楽しみにしてるから」
後は、すっと離れていってしまう。
入れ替わるようにお母さんが少し寂しそうに手を握って囁くように声を掛けてくれた。
「元気で頑張ってね」
なんだか私も急に寂しくなってしまった。でもそんなことは言えない。
いつでも会えるから大丈夫。大丈夫と、心の中だけで言い聞かせて、笑ってみせた。
お母さんはもしかして気付いているだろうか?
そんな素振りを見たら、私の表情が変わってしまう気がした。
だから、見ているようで、なるべく見ないようにする。
そうして帰っていく2人を見えなくなるまで見送った。
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