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第一章 4月
お姉さまの足跡 ★2★
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そんなことを思ってそうには見えなかったな。
もしかしてワザと幸ちゃんが嫌がることを弥生さんが言ってるんじゃ?
と思いつつ、さすがに口にはしない。
代わりに苦笑してから頷いた。
「確かに、志奈さんは美人だね」
その言葉に反応しように、幸ががばっと振り返って距離を詰めてくる。
柚鈴は思わずのぞけった。
「志奈さんって誰?」
「え?」
おもちゃに見つけた子犬みたいにキラキラした目の幸に聞かれ、思考がフリーズしてしまう。
誰?誰と言うのは、どういう意味?
幸は目を輝かせたまま、にっこり笑った。
「柚鈴ちゃん。私は別にこの人の名前を聞いてるわけじゃないのよ?大切なのは名前じゃないんだよ。名前じゃあね。そもそも、私はこの人の名前を見た覚えがある」
「え?どこで」
聞き返しながらも、目が泳いでしまう。
疚しい気持ちがあって、動揺しか出来ない。
返ってきた答えは、柚鈴が予想してないものだった。
「この間入部した文芸部の部室で」
「え?幸ちゃんがもう部活入ったの?しかも文芸部?」
「うん。私、好きなんだー。読むのも、書くのも」
へらっと笑ってから、きっと表情を締める。幸は百面相だ。
「で、過去の部誌を見たのですよ!」
そこまで言われて、思い当たる節があった。
どこかのアイドルを彷彿とさせるタイトルの付いた部誌の話を花奏がしてなかっただろうか。
思わず目を逸らすと、幸はささっと目線をそらした方に移動する。
そ、そんなに見なくても。
追い詰めたと言わんばかりに、幸は志奈さんの写真を指差した。
「小鳥遊志奈さん。常葉学園の昨年の生徒会長さんだよね」
「は?」
「ん?」
今、何と言っただろうか?
意味が分からずに困惑してると、写真の志奈さんを幸が指差す。
「去年の生徒会長さん」
「そうなの?」
「え?」
きょとんとした幸の様子に、混乱した頭はフル回転を始める。
とは言っても、迷走した回転だが。
去年の生徒会長?
いや、そんなまさか!
慌てて小物入れにしまっておいたブロンズのバッチを取り出して確認する。
そう、これはブロンズだ!金じゃない!
「柚鈴ちゃん、それ...」
柚鈴の手元を覗き込んだ幸を振り返って、勢いのままにバッチを見せた。
「ほら、金じゃないよ!ブロンズだよ!」
そう言うと、幸は戸惑ったように瞬きをする。
「え?ちょ、ちょっと待って。それ小鳥遊志奈さんのなの??」
「そうだよ!これ、ブロンズだから、生徒会長は間違いじゃないの?」
「......」
幸は目を瞬かせて、柚鈴を見つめた。
いつも通り、幸の目は澄んでいる。心の中まで覗き込まれそうな瞳を柚鈴は見つめた。
しばらく間を持たせてから、宥めるような優しい声を幸は出した。
「柚鈴ちゃん」
「な、なに?」
「多分それ、小鳥遊志奈さんが、1、2年生の生徒会のお手伝いをしてた時のバッチなんじゃない?」
「……」
ゆっくりと頭の中で言葉と状況を整理し始める。
志奈さんはブロンズのバッチを持っていた。
ブロンズのバッチは、生徒会手伝いや見習いの人が持つものだ。
文芸部の部誌には、小鳥遊志奈さんが生徒会長として紹介されていた。
つまり志奈さんは、昨年は生徒会長だった。
「……」
志奈さんが、生徒会長?
全くそんなこと言ってなかったのに?
だとすれば「自分が有名な理由が分からない」と言っていたが、そんなわけはない。
その気になれば、すぐバレるような話を、まさか隠したかったとも思えない。
そう、隠したかったというより、志奈さんの場合。
柚鈴と戯れたかった。
ぴったりな言葉が浮かんで、力が抜けた。
志奈さんの手のひらでコロコロ転がされていた気さえしてしまう。
いや、これはもう転がれていたのだ。
幸も柚鈴が「小鳥遊志奈さんの常葉学園での有名さ」を知らなかったことに驚いたようだ、よしよし、と慰めるように柚鈴の肩を撫でた。
もしかしてワザと幸ちゃんが嫌がることを弥生さんが言ってるんじゃ?
と思いつつ、さすがに口にはしない。
代わりに苦笑してから頷いた。
「確かに、志奈さんは美人だね」
その言葉に反応しように、幸ががばっと振り返って距離を詰めてくる。
柚鈴は思わずのぞけった。
「志奈さんって誰?」
「え?」
おもちゃに見つけた子犬みたいにキラキラした目の幸に聞かれ、思考がフリーズしてしまう。
誰?誰と言うのは、どういう意味?
幸は目を輝かせたまま、にっこり笑った。
「柚鈴ちゃん。私は別にこの人の名前を聞いてるわけじゃないのよ?大切なのは名前じゃないんだよ。名前じゃあね。そもそも、私はこの人の名前を見た覚えがある」
「え?どこで」
聞き返しながらも、目が泳いでしまう。
疚しい気持ちがあって、動揺しか出来ない。
返ってきた答えは、柚鈴が予想してないものだった。
「この間入部した文芸部の部室で」
「え?幸ちゃんがもう部活入ったの?しかも文芸部?」
「うん。私、好きなんだー。読むのも、書くのも」
へらっと笑ってから、きっと表情を締める。幸は百面相だ。
「で、過去の部誌を見たのですよ!」
そこまで言われて、思い当たる節があった。
どこかのアイドルを彷彿とさせるタイトルの付いた部誌の話を花奏がしてなかっただろうか。
思わず目を逸らすと、幸はささっと目線をそらした方に移動する。
そ、そんなに見なくても。
追い詰めたと言わんばかりに、幸は志奈さんの写真を指差した。
「小鳥遊志奈さん。常葉学園の昨年の生徒会長さんだよね」
「は?」
「ん?」
今、何と言っただろうか?
意味が分からずに困惑してると、写真の志奈さんを幸が指差す。
「去年の生徒会長さん」
「そうなの?」
「え?」
きょとんとした幸の様子に、混乱した頭はフル回転を始める。
とは言っても、迷走した回転だが。
去年の生徒会長?
いや、そんなまさか!
慌てて小物入れにしまっておいたブロンズのバッチを取り出して確認する。
そう、これはブロンズだ!金じゃない!
「柚鈴ちゃん、それ...」
柚鈴の手元を覗き込んだ幸を振り返って、勢いのままにバッチを見せた。
「ほら、金じゃないよ!ブロンズだよ!」
そう言うと、幸は戸惑ったように瞬きをする。
「え?ちょ、ちょっと待って。それ小鳥遊志奈さんのなの??」
「そうだよ!これ、ブロンズだから、生徒会長は間違いじゃないの?」
「......」
幸は目を瞬かせて、柚鈴を見つめた。
いつも通り、幸の目は澄んでいる。心の中まで覗き込まれそうな瞳を柚鈴は見つめた。
しばらく間を持たせてから、宥めるような優しい声を幸は出した。
「柚鈴ちゃん」
「な、なに?」
「多分それ、小鳥遊志奈さんが、1、2年生の生徒会のお手伝いをしてた時のバッチなんじゃない?」
「……」
ゆっくりと頭の中で言葉と状況を整理し始める。
志奈さんはブロンズのバッチを持っていた。
ブロンズのバッチは、生徒会手伝いや見習いの人が持つものだ。
文芸部の部誌には、小鳥遊志奈さんが生徒会長として紹介されていた。
つまり志奈さんは、昨年は生徒会長だった。
「……」
志奈さんが、生徒会長?
全くそんなこと言ってなかったのに?
だとすれば「自分が有名な理由が分からない」と言っていたが、そんなわけはない。
その気になれば、すぐバレるような話を、まさか隠したかったとも思えない。
そう、隠したかったというより、志奈さんの場合。
柚鈴と戯れたかった。
ぴったりな言葉が浮かんで、力が抜けた。
志奈さんの手のひらでコロコロ転がされていた気さえしてしまう。
いや、これはもう転がれていたのだ。
幸も柚鈴が「小鳥遊志奈さんの常葉学園での有名さ」を知らなかったことに驚いたようだ、よしよし、と慰めるように柚鈴の肩を撫でた。
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