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第一章 4月
お姉さまが欲しかったもの ★2★
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明くる日の放課後。
柚鈴は授業が終わると幸に引きずられるようにしてクラスを飛び出した。
靴に履き替え、校門が良く見える校舎の影で、遥先輩と薫を待ち伏せる。
結局、遥先輩が今日、どこに向かうのかを聞けなかったので、跡をつけることになってしまったのだ。
主に幸の提案で。
「良いのかな?こんなことして」
どちらかというと及び腰の柚鈴に対して、幸は迷いなく頷いた。
「だって心配じゃない。遥先輩も上手くいくかは分からないって言ってたのも気になるし」
そう、昨日別口で動いてみると言った遥先輩は、自分も凛子も上手く事を運べるかは分からないと言ったのだ。
それでも最大限努力すると言った遥先輩が、気にならないといえば嘘になる。
しかし、付いて行っても何か出来るというわけでもないのに。しかも跡を付けるなんていいんだろうか。
「柚鈴ちゃん。何かあった時に、どうなってるのか分からないよりも分かっていた方が出来ることはあるんだよ」
「それはそうなんだけど、何か間違っている気が」
そうこうしてる間に、薫と遥先輩が校門の外へと一緒に進んでいくのが見えた。
「一人で行ってきてもいいけど、柚鈴ちゃんどうする?」
迷っている柚鈴に幸が振り返って聞いた。
というか、この段階で意見を聞いてくるってずるくない?と思ってしまう。
とは言え、幸は決して他人の意見を聞かない子ではない。
ここまで来たということは、なんだかんだで柚鈴だって、薫が心配なのだ。
「あーもう。行くわよ、行きます!」
悲鳴のような声を上げて、結局幸の共犯になることにした。
遥先輩と薫の2人は、学校の最寄り駅に向かってから、電車に乗る。
これにはバスでなくて良かったと安心した。
電車は車両が違えば、どうにか跡を付けることも可能だが、バスは格段と難易度があがる。
どこで降りるか分からなければ尚更だ。
特に制服姿では、すぐにばれてしまうだろう。
なんとか気付かれずに2人の隣の車両に乗り込むと、駅のホームに着くたびに様子を伺い、降車しないか確認した。
運の良いことに2人が乗り換えの為に降りようとすることもない。
そのまましばらくすると、ふと行き先に思い当たる所が出てきた。
「もしかして」
「ん?どうしたの?」
「ねぇ、行き先ってもしかして、あそこじゃないかな?」
「え?」
柚鈴の言葉に考えこむが答えが出ない幸を見て、そういえばそうかと思う。
元々この辺りに住んでいた柚鈴と違って、幸は高等部に通う為に長野から出て来たのだ。
だから気づかなくても仕方ない。
電車に乗っている時間も結構長くなっていた。これはもう目的地も近いことということを確信して、柚鈴は言った。
「多分、目的地は常葉学園大学部だと思う」
「ええ?!」
幸は驚いたように目を見開いた。
柚鈴は授業が終わると幸に引きずられるようにしてクラスを飛び出した。
靴に履き替え、校門が良く見える校舎の影で、遥先輩と薫を待ち伏せる。
結局、遥先輩が今日、どこに向かうのかを聞けなかったので、跡をつけることになってしまったのだ。
主に幸の提案で。
「良いのかな?こんなことして」
どちらかというと及び腰の柚鈴に対して、幸は迷いなく頷いた。
「だって心配じゃない。遥先輩も上手くいくかは分からないって言ってたのも気になるし」
そう、昨日別口で動いてみると言った遥先輩は、自分も凛子も上手く事を運べるかは分からないと言ったのだ。
それでも最大限努力すると言った遥先輩が、気にならないといえば嘘になる。
しかし、付いて行っても何か出来るというわけでもないのに。しかも跡を付けるなんていいんだろうか。
「柚鈴ちゃん。何かあった時に、どうなってるのか分からないよりも分かっていた方が出来ることはあるんだよ」
「それはそうなんだけど、何か間違っている気が」
そうこうしてる間に、薫と遥先輩が校門の外へと一緒に進んでいくのが見えた。
「一人で行ってきてもいいけど、柚鈴ちゃんどうする?」
迷っている柚鈴に幸が振り返って聞いた。
というか、この段階で意見を聞いてくるってずるくない?と思ってしまう。
とは言え、幸は決して他人の意見を聞かない子ではない。
ここまで来たということは、なんだかんだで柚鈴だって、薫が心配なのだ。
「あーもう。行くわよ、行きます!」
悲鳴のような声を上げて、結局幸の共犯になることにした。
遥先輩と薫の2人は、学校の最寄り駅に向かってから、電車に乗る。
これにはバスでなくて良かったと安心した。
電車は車両が違えば、どうにか跡を付けることも可能だが、バスは格段と難易度があがる。
どこで降りるか分からなければ尚更だ。
特に制服姿では、すぐにばれてしまうだろう。
なんとか気付かれずに2人の隣の車両に乗り込むと、駅のホームに着くたびに様子を伺い、降車しないか確認した。
運の良いことに2人が乗り換えの為に降りようとすることもない。
そのまましばらくすると、ふと行き先に思い当たる所が出てきた。
「もしかして」
「ん?どうしたの?」
「ねぇ、行き先ってもしかして、あそこじゃないかな?」
「え?」
柚鈴の言葉に考えこむが答えが出ない幸を見て、そういえばそうかと思う。
元々この辺りに住んでいた柚鈴と違って、幸は高等部に通う為に長野から出て来たのだ。
だから気づかなくても仕方ない。
電車に乗っている時間も結構長くなっていた。これはもう目的地も近いことということを確信して、柚鈴は言った。
「多分、目的地は常葉学園大学部だと思う」
「ええ?!」
幸は驚いたように目を見開いた。
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