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第二章 5月‐序
オトウサンとのお出かけ ★4★
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その沈黙がなんだか気になって、オトウサンを見つめていると、気づいたようで困ったような眉を下げる。
「今、僕、変な顔でもしてた?」
「あ、いえ。そんなことないです」
目線を逸らして外の景色の方に顔を向ける。
志奈さんが友達が多そうだと思うのは、間違いではないと思うのだが、なにかおかしなことを言っただろうか?
多少疑問に感じながらも、それをどう聞いていいのか分からない。
中学校は、志奈さんは常葉学園ではなかったはずだから、これは後で確認というわけにもいかなかった。
しばらく車が走ると、随分坂を上ったのだろう。街並みが遠くに見下ろせるように良く見え、遠くの方に海も見えてきた。
「なんだかドライブって感じですね」
そういうと、オトウサンはそうだね、と相槌を打つ。
少しして我ながらおかしな感想だったような気がした。
ドライブに行ってるのだから、『ドライブって感じ』もないだろう。
オトウサンは気にした様子ではなかったがので、ドライブなんて連れて行ってもらったことのない柚鈴からすると、まさしく小説で読んだり、映画で見たことがあるドライブとはこうだろうという印象で思わず口から出てしまった。そういう慣れてない感が丸出しなようで、一人で気恥ずかしい気持ちにもなる。
多分、私、ちょっとはしゃいでるんだ。
柚鈴はようやく、そのことに気付いた。
車の助手席でこうして変わる景色を見ていることは、自分だけに与えられた空間で、そのことは思いのほか嬉しく楽しい気持ちに柚鈴をさせてくれた。
同い年の女の子が、嬉しそうにお父さんの車に乗って出かける意味が、初めて分かったような気がしていた。今まで体験したことがなかった時間だけど、他の子が体験しているのは知っていて。
それがどんなものか知らなかったから、羨ましいとも思わなかったけど、今、その知らなかったことと対面している。
それは小さな感動さえ感じさせてくれた。
外から入ってくる風が気持ちよくて、窓枠に肘をついて顔を乗せ目を細める。
「ドライブ、気に入った?」
「はい」
オトウサンの言葉にうなずいて振り返る。
「それは良かった」
オトウサンは心底ほっとしたといった様子で肩を撫でおろした。
柚鈴の未知との遭遇を、楽しいと感じていることを知らないオトウサン。安心してしまう。
まだ色々お見通しされた方が困る。
顔に出ても大丈夫なように、もう一度外に目を向けた。
「ああ、でもそしたら。きっと志奈がすぐにでも免許を取るっていうだろうね」
「それは、言いそうですね」
志奈さんの顔を思い浮かべて、柚鈴は苦笑した。
柚鈴と二人ドライブがしたい、くらいは簡単に言い出しそうだ。
そして志奈さんとのドライブも中々違った風に楽しそうだと思う。
「志奈は本当に柚鈴ちゃんが可愛いみたいだね」
「志奈さん、妹が欲しかったみたいですから」
「高校に入るまでは、そんな感じじゃ全然なかったんだけどね」
懐かしむように言うオトウサンの言葉に首を傾げた。
高校の頃の志奈さんは想像つかないけど、正直それ以前の志奈さんはもっと想像がつかない。
「そうなんですか?」
「高校で色々感じることがあったんじゃないかな」
「色々ですか」
なんとなく、ペアを持つ子が羨ましくなったと言っていた志奈さんを思い出して、納得する。
そうか、志奈さんは変わったのか。
「柚鈴ちゃんは、お姉さんが出来てどう?」
「どう、ですか」
オトウサンの質問に柚鈴は目を瞬かせた。その質問の意味を推し量るように呟くと、オトウサンはうん、と頷いた。
「今、僕、変な顔でもしてた?」
「あ、いえ。そんなことないです」
目線を逸らして外の景色の方に顔を向ける。
志奈さんが友達が多そうだと思うのは、間違いではないと思うのだが、なにかおかしなことを言っただろうか?
多少疑問に感じながらも、それをどう聞いていいのか分からない。
中学校は、志奈さんは常葉学園ではなかったはずだから、これは後で確認というわけにもいかなかった。
しばらく車が走ると、随分坂を上ったのだろう。街並みが遠くに見下ろせるように良く見え、遠くの方に海も見えてきた。
「なんだかドライブって感じですね」
そういうと、オトウサンはそうだね、と相槌を打つ。
少しして我ながらおかしな感想だったような気がした。
ドライブに行ってるのだから、『ドライブって感じ』もないだろう。
オトウサンは気にした様子ではなかったがので、ドライブなんて連れて行ってもらったことのない柚鈴からすると、まさしく小説で読んだり、映画で見たことがあるドライブとはこうだろうという印象で思わず口から出てしまった。そういう慣れてない感が丸出しなようで、一人で気恥ずかしい気持ちにもなる。
多分、私、ちょっとはしゃいでるんだ。
柚鈴はようやく、そのことに気付いた。
車の助手席でこうして変わる景色を見ていることは、自分だけに与えられた空間で、そのことは思いのほか嬉しく楽しい気持ちに柚鈴をさせてくれた。
同い年の女の子が、嬉しそうにお父さんの車に乗って出かける意味が、初めて分かったような気がしていた。今まで体験したことがなかった時間だけど、他の子が体験しているのは知っていて。
それがどんなものか知らなかったから、羨ましいとも思わなかったけど、今、その知らなかったことと対面している。
それは小さな感動さえ感じさせてくれた。
外から入ってくる風が気持ちよくて、窓枠に肘をついて顔を乗せ目を細める。
「ドライブ、気に入った?」
「はい」
オトウサンの言葉にうなずいて振り返る。
「それは良かった」
オトウサンは心底ほっとしたといった様子で肩を撫でおろした。
柚鈴の未知との遭遇を、楽しいと感じていることを知らないオトウサン。安心してしまう。
まだ色々お見通しされた方が困る。
顔に出ても大丈夫なように、もう一度外に目を向けた。
「ああ、でもそしたら。きっと志奈がすぐにでも免許を取るっていうだろうね」
「それは、言いそうですね」
志奈さんの顔を思い浮かべて、柚鈴は苦笑した。
柚鈴と二人ドライブがしたい、くらいは簡単に言い出しそうだ。
そして志奈さんとのドライブも中々違った風に楽しそうだと思う。
「志奈は本当に柚鈴ちゃんが可愛いみたいだね」
「志奈さん、妹が欲しかったみたいですから」
「高校に入るまでは、そんな感じじゃ全然なかったんだけどね」
懐かしむように言うオトウサンの言葉に首を傾げた。
高校の頃の志奈さんは想像つかないけど、正直それ以前の志奈さんはもっと想像がつかない。
「そうなんですか?」
「高校で色々感じることがあったんじゃないかな」
「色々ですか」
なんとなく、ペアを持つ子が羨ましくなったと言っていた志奈さんを思い出して、納得する。
そうか、志奈さんは変わったのか。
「柚鈴ちゃんは、お姉さんが出来てどう?」
「どう、ですか」
オトウサンの質問に柚鈴は目を瞬かせた。その質問の意味を推し量るように呟くと、オトウサンはうん、と頷いた。
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