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第二章 5月‐序
姉妹っぽいこと ★9★
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オトウサンのこういう行動って、当たり前なんだろうか。
というか、階段で忍んだ意味もなかった。
色んな考えが柚鈴の中をよぎるが、勿論志奈さんは全く別感覚だ。
安心するしたように胸をなで下ろしていた。
「でも、良かった。お父様、どれだけのことをするのかと心配していたのだけど、それ程でもなくて」
「あーいや……」
オトウサンにとっては、通常運転だったようだ。
ドライブはともかく、焼きたてパンを朝から買いにいき、昼は蕎麦を打つなんて、かなり大したことな気がするのだけど。
実の娘から、それほどでもないというドライな評価を受けているオトウサンってどうなんだろう。
それともそう思える程、常日頃から手間暇かけてるんだろうか。
なんとなく、そんな気もして柚鈴は外の穏やかな景色に目を泳がせた。
居心地が良すぎて、逆に悪い。
志奈さんは全く気にしていように、アイスティを一口飲んでから本題へと移った。
「手作りのカーネーションはね、折り紙とか、柔らかい紙とかで作れるんですって。まずはそれを手作りして、籠に飾るの。メッセージを書いた紙をたたんで、籠にリボンのように結んでおいたらどうかと思って」
「メッセージを隠しておくということですか?」
「そう。母の日は柚鈴ちゃん、帰って来れないんでしょう?やっぱりそれだと寂しいと思うから、当日読んでもらえるメッセージを隠しておくのよ」
「なるほど」
お母さんに手紙というのは、そういえば書いたことがなかった気がする。
直接話が出来ないなら、確かにサプライズになっていいかもしれない。
「生花だと、上手く隠すのは難しいと思うけど、手作りのカーネーションだったら、母の日までは触らずに飾っておこうとすると思うのよね」
「そうですね。いいと思います」
「でしょう?」
志奈さんは嬉しそうに笑う。
「志奈さんもメッセージ書くんですよね?」
「え?良いのかしら」
「志奈さんが嫌でなければお願いします」
母でなかった人への母の日のメッセージをお願いするのも、どうなのかと思いながら柚鈴が遠慮がちに言うと、志奈さんはにっこりと笑った。
「柚鈴ちゃんが良いならそうするわ」
「お母さん喜ぶと思います」
それから柚鈴は、出来れば、と言葉を繋げた。
「志奈さん。このゴールデンウイーク中に、食事も一度は作りたいんですけど」
「え?」
このゴールデンウィーク中に、柚鈴に食事を作る順番がないと言われてはいたが、母の日と言えば、という気持ちがあって、口にしてしまう。
「毎年、母の日には感謝を込めて食事を作っていたんです」
そういうと、志奈さんは瞬きをしてから、そう、と頷いた。
「今日の夜までお父様が作って、明日はお母さんの番なのだけど」
「オトウサン、夕飯は何にするつもりでしょうか?もう用意していたりしますか?」
「仕込みはしているんじゃないかしら?お父様のことだもの」
「じゃあ、今日変わってもらうのは無理ですね」
「そうなの?」
やはり大してオトウサンに気を使わない志奈さんは、変わってもらってもいいのよ?と言わんばかりの目線を柚鈴に向けていて、慌てて頷いた。
「は、はい」
「明日はお母さんの番だから変わってもらう?」
「あー」
柚鈴は一瞬考え込んでから頷いた。
「でもそれが一番かもしれません。もしかしたら、お母さんとは作ろうとしているものが一緒かもしれないですし」
「作ろうとしているものが一緒って、何か定番メニューがあるっていうこと?」
「はい」
「それってなあに?」
「『本格カレー』だったんです」
「本格カレー?」
きょとんとした様子の志奈さんに、少しだけ躊躇う。
これは中学の同級生の話に話したときも、『意味が分からない』と言われてしまった内容だ。
小鳥遊家で作っていいものか悩むメニューでもあるが、口に出したものは仕方ないので説明する。
というか、階段で忍んだ意味もなかった。
色んな考えが柚鈴の中をよぎるが、勿論志奈さんは全く別感覚だ。
安心するしたように胸をなで下ろしていた。
「でも、良かった。お父様、どれだけのことをするのかと心配していたのだけど、それ程でもなくて」
「あーいや……」
オトウサンにとっては、通常運転だったようだ。
ドライブはともかく、焼きたてパンを朝から買いにいき、昼は蕎麦を打つなんて、かなり大したことな気がするのだけど。
実の娘から、それほどでもないというドライな評価を受けているオトウサンってどうなんだろう。
それともそう思える程、常日頃から手間暇かけてるんだろうか。
なんとなく、そんな気もして柚鈴は外の穏やかな景色に目を泳がせた。
居心地が良すぎて、逆に悪い。
志奈さんは全く気にしていように、アイスティを一口飲んでから本題へと移った。
「手作りのカーネーションはね、折り紙とか、柔らかい紙とかで作れるんですって。まずはそれを手作りして、籠に飾るの。メッセージを書いた紙をたたんで、籠にリボンのように結んでおいたらどうかと思って」
「メッセージを隠しておくということですか?」
「そう。母の日は柚鈴ちゃん、帰って来れないんでしょう?やっぱりそれだと寂しいと思うから、当日読んでもらえるメッセージを隠しておくのよ」
「なるほど」
お母さんに手紙というのは、そういえば書いたことがなかった気がする。
直接話が出来ないなら、確かにサプライズになっていいかもしれない。
「生花だと、上手く隠すのは難しいと思うけど、手作りのカーネーションだったら、母の日までは触らずに飾っておこうとすると思うのよね」
「そうですね。いいと思います」
「でしょう?」
志奈さんは嬉しそうに笑う。
「志奈さんもメッセージ書くんですよね?」
「え?良いのかしら」
「志奈さんが嫌でなければお願いします」
母でなかった人への母の日のメッセージをお願いするのも、どうなのかと思いながら柚鈴が遠慮がちに言うと、志奈さんはにっこりと笑った。
「柚鈴ちゃんが良いならそうするわ」
「お母さん喜ぶと思います」
それから柚鈴は、出来れば、と言葉を繋げた。
「志奈さん。このゴールデンウイーク中に、食事も一度は作りたいんですけど」
「え?」
このゴールデンウィーク中に、柚鈴に食事を作る順番がないと言われてはいたが、母の日と言えば、という気持ちがあって、口にしてしまう。
「毎年、母の日には感謝を込めて食事を作っていたんです」
そういうと、志奈さんは瞬きをしてから、そう、と頷いた。
「今日の夜までお父様が作って、明日はお母さんの番なのだけど」
「オトウサン、夕飯は何にするつもりでしょうか?もう用意していたりしますか?」
「仕込みはしているんじゃないかしら?お父様のことだもの」
「じゃあ、今日変わってもらうのは無理ですね」
「そうなの?」
やはり大してオトウサンに気を使わない志奈さんは、変わってもらってもいいのよ?と言わんばかりの目線を柚鈴に向けていて、慌てて頷いた。
「は、はい」
「明日はお母さんの番だから変わってもらう?」
「あー」
柚鈴は一瞬考え込んでから頷いた。
「でもそれが一番かもしれません。もしかしたら、お母さんとは作ろうとしているものが一緒かもしれないですし」
「作ろうとしているものが一緒って、何か定番メニューがあるっていうこと?」
「はい」
「それってなあに?」
「『本格カレー』だったんです」
「本格カレー?」
きょとんとした様子の志奈さんに、少しだけ躊躇う。
これは中学の同級生の話に話したときも、『意味が分からない』と言われてしまった内容だ。
小鳥遊家で作っていいものか悩むメニューでもあるが、口に出したものは仕方ないので説明する。
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