182 / 282
第三章 5月‐結
お姉さま、体育祭です! 2
しおりを挟む
入場門からの入場、整列が終われば、開会式は滞りなく開始した。
各組団長と生徒会長による選手宣誓。
凛子先輩の声がマイクを通して響き渡り、各組団長の真剣な雰囲気に柚鈴もつられるように体育祭の気分になってくる。
そういえば、白組には遥先輩もだが、そのメンティである小牧ひとみ先輩もいるらしい。
柚鈴は、まだその人がどんな人か知らないのだけど、小牧先輩を助言者に持っている花奏は、白組をとても羨ましがっていた。
『お姉さまも、遥さまも同じ組なんてズルい!家系で私だけ仲間はずれなんだもん。絶対負けられないわ!』
親しい先輩方と同じ組になりたいという気持ちはまあ、分からないでもないけれど。
そこで闘志を燃やすあたりが、さすが花奏である。
家系の誰かと一緒の組になっていたとしても、当然張り切るだろうから、結局はイベント好きなんだとは思う。
しかしながら、その家系の二人と偶然とは言え同じ組になってしまった柚鈴としては多少申し訳ない気もしていた。
『いいの。私の代わりに二人の応援をしてね』
にっこり笑った花奏には他意はなさそうで、いっそ清々しいほどだったが。
そして幸がゴールデンウィークにデート(?)をした沢城先輩も白組である。
『大丈夫かなあ。運動得意そうな雰囲気でもなかった気がするけど』
などと、逆に幸が心配されそうなことだが、本気で気にして呟いていたのは少々微笑ましい気がした。
花奏ちゃんと幸、どっちかと変わってあげたい気もするけど、仲の良い人と組が分かれると言うのも醍醐味なのかもしれない。柚鈴自身、薫とも幸とも体育祭の組分けが一緒にならなかったわけだし。
今回は何より東郷先輩とは組が分かれたことが、本当に良かった。
そんな様々なことが重なって、白組として、応援を全力で頑張ろうと心に決めたのだった。
一つ目の競技は100m走だ。
幸が心配していた沢城先輩がこの競技に出ることになるので、柚鈴は白組の待機場所で応援のために身を乗り出した。
同じ白組の明智さんは同窓会用のテントにおもてなしの手伝いに行っている。
200m走や400m走に薫のような足の速い人達は優先して出場するらしく、100m走はちょっとした穴場らしい。
とは言え、運動能力に自信がない人は別に狙い目の競技も多いので、そこそこ運動に自信がある人が大半。
あとはその『狙い目』の競技に出たかったものの、じゃんけんに負けてしまった人などが集まる競技になっているらしい。
準備も大がかりなものは必要なく、最初の競技としては無難な気がする。。
沢城先輩は、幸に会いに教室に来ていたのを見ていたので、すぐにどこにいるか分かった。
背が高く、脚も長い。
制服と違って体操着は、そのバランスの良い体格が良く分かって、運動が不得意そうには見えなかった。
なんか、大丈夫そう。
幸が見ているであろう黄組の待機場所に目をやりつつ、柚鈴は安心した。
それから、苦笑する。
やっぱり、心配なのは幸の方な気がするよ…
チアの前日まで必死にフリを頭に叩き込んでいたけれど、大丈夫だったんだろうか?
なんかフラフラしていたのが心配でしかない。骨は拾ってあげたいものだ。
競技は1年生からのスタート。
100mと後の競技に比べると短めの距離ではあるので、接戦でのゴールとなり盛り上がっている。
各組の応援団の太鼓の音を聞きながら、いよいよ沢城先輩の順番になっていた。
位置についたのを見て、柚鈴は応援の声を出す準備をした。
そして、いよいよスタートのピストルが鳴ると。
あれ?
柚鈴は声を出すのを忘れて、目を丸くした。
沢城先輩はスタートダッシュから、ぐんと飛び出て速いのだ。
周りの歓声の声を聞きつつ。
他に差を付けて、あっという間に1着でゴールしてしまった。
各組団長と生徒会長による選手宣誓。
凛子先輩の声がマイクを通して響き渡り、各組団長の真剣な雰囲気に柚鈴もつられるように体育祭の気分になってくる。
そういえば、白組には遥先輩もだが、そのメンティである小牧ひとみ先輩もいるらしい。
柚鈴は、まだその人がどんな人か知らないのだけど、小牧先輩を助言者に持っている花奏は、白組をとても羨ましがっていた。
『お姉さまも、遥さまも同じ組なんてズルい!家系で私だけ仲間はずれなんだもん。絶対負けられないわ!』
親しい先輩方と同じ組になりたいという気持ちはまあ、分からないでもないけれど。
そこで闘志を燃やすあたりが、さすが花奏である。
家系の誰かと一緒の組になっていたとしても、当然張り切るだろうから、結局はイベント好きなんだとは思う。
しかしながら、その家系の二人と偶然とは言え同じ組になってしまった柚鈴としては多少申し訳ない気もしていた。
『いいの。私の代わりに二人の応援をしてね』
にっこり笑った花奏には他意はなさそうで、いっそ清々しいほどだったが。
そして幸がゴールデンウィークにデート(?)をした沢城先輩も白組である。
『大丈夫かなあ。運動得意そうな雰囲気でもなかった気がするけど』
などと、逆に幸が心配されそうなことだが、本気で気にして呟いていたのは少々微笑ましい気がした。
花奏ちゃんと幸、どっちかと変わってあげたい気もするけど、仲の良い人と組が分かれると言うのも醍醐味なのかもしれない。柚鈴自身、薫とも幸とも体育祭の組分けが一緒にならなかったわけだし。
今回は何より東郷先輩とは組が分かれたことが、本当に良かった。
そんな様々なことが重なって、白組として、応援を全力で頑張ろうと心に決めたのだった。
一つ目の競技は100m走だ。
幸が心配していた沢城先輩がこの競技に出ることになるので、柚鈴は白組の待機場所で応援のために身を乗り出した。
同じ白組の明智さんは同窓会用のテントにおもてなしの手伝いに行っている。
200m走や400m走に薫のような足の速い人達は優先して出場するらしく、100m走はちょっとした穴場らしい。
とは言え、運動能力に自信がない人は別に狙い目の競技も多いので、そこそこ運動に自信がある人が大半。
あとはその『狙い目』の競技に出たかったものの、じゃんけんに負けてしまった人などが集まる競技になっているらしい。
準備も大がかりなものは必要なく、最初の競技としては無難な気がする。。
沢城先輩は、幸に会いに教室に来ていたのを見ていたので、すぐにどこにいるか分かった。
背が高く、脚も長い。
制服と違って体操着は、そのバランスの良い体格が良く分かって、運動が不得意そうには見えなかった。
なんか、大丈夫そう。
幸が見ているであろう黄組の待機場所に目をやりつつ、柚鈴は安心した。
それから、苦笑する。
やっぱり、心配なのは幸の方な気がするよ…
チアの前日まで必死にフリを頭に叩き込んでいたけれど、大丈夫だったんだろうか?
なんかフラフラしていたのが心配でしかない。骨は拾ってあげたいものだ。
競技は1年生からのスタート。
100mと後の競技に比べると短めの距離ではあるので、接戦でのゴールとなり盛り上がっている。
各組の応援団の太鼓の音を聞きながら、いよいよ沢城先輩の順番になっていた。
位置についたのを見て、柚鈴は応援の声を出す準備をした。
そして、いよいよスタートのピストルが鳴ると。
あれ?
柚鈴は声を出すのを忘れて、目を丸くした。
沢城先輩はスタートダッシュから、ぐんと飛び出て速いのだ。
周りの歓声の声を聞きつつ。
他に差を付けて、あっという間に1着でゴールしてしまった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
88
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる