拝啓、お姉さまへ

一華

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第三章 5月‐結

お姉さま、体育祭の昼食です! 1 ~相原花蓮~

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中々の完成度で仕上がっていたダンス部新体操部合同ダンスは、観客に盛大な盛り上がりを与えた。
ちょうど時間としても体育祭の中盤。
各競技で高揚した生徒が、体を休めつつ、午後の競技への意欲を高める時間でもあったのも関係しているのかもしれない。

そして。
この辺りから、昼食へと入り始める生徒たちもいる。
競技は、午前の部最後の体育部対抗リレーが残っているのだが、点数に関わる競技ではないため昼食に入ることは禁止されてない。細かく言えば、スウェーデンリレーまでのプログラムでは昼食への移動が禁止されていた。

その後は、午後の応援合戦の準備のある生徒がいることもあり、早めに昼食を取っても良いことになっている。
しかし今の時間から動いている生徒がいる理由はそれだけではない。
この体育祭では南組の生徒は主役となり出ずっぱりである。
そのため支援部隊が存在するのだ。つまり北組西組の生徒の中での有志を募り、各体育祭の組ごとに『炊き出し』班だ。
炊き出し班は体育祭の始まる前、早朝から学園の調理室を使用して、大がかりな昼食作りをする。
昼食が提供される対象は、基本的に「南組の生徒」となるので、全生徒数を考えれば6分の1だが、それでもかなりの量である。
なんと各体育祭の組で炊き出し班リーダーまでが存在し、ちょっとした影のイベントになっているのが「体育祭の食事作り」なのだ。

黄組では、3年生に茶道部部長である相原花蓮がリーダーなこともあり、炊き出しのテーマを『和の重箱弁当』として、こだわりすぎる程にこだわったお弁当を用意していた。

「食べて頂くのがもったいないくらい、美味しそうに出来ましたこと」
出来上がったお弁当を前に、満足そうに微笑む花蓮の姿は愛らしいが、とても体育祭中の生徒の姿には見えなかった。

どれだけの生徒が提供したのか分からない程の重箱が並べられて、主食におにぎり各種は勿論、お赤飯やそぼろに、巻きずしなども用意されている。
出汁巻卵焼きに、煮物、から揚げ、肉団子等々、脇に添えるおかずも、色とりどりだが、注目するところはデザートに、おはぎと団子がある所だろうか。この辺りが流石、茶道部部長が指揮する黄組の炊き出し班である。
和の重箱弁当の名に恥じぬようにと、午後も続く体育祭の前に食べることを考えると、重くて適当とは言えないだろうが、黄組の炊き出し班が腕によりをかけて作った逸品だ。
食べてしまえば、その後のことなど些事である、と思うほどの美味なのだ。
もはや、炊き出し班は体育祭の勝負よりも、料理の完成度をこれからくる南組の生徒に称えさせることに熱を入れているようにも思えた。そして、その考えはおそらく間違ってはいない。
ちなみに用意された飲み物は冷たい緑茶と麦茶。
この緑茶もまた、相原花蓮がこだわり抜いた茶葉で淹れたものなのだが、長くなるので割愛するとして。とにかく絶品のものである。
そこにこだわらずにいられないのは、もはや性分としか言いようがない。


体育祭昼食時には炊き出し班はそのまま『配膳班』に変わる。
食事を取りに来た生徒が、中央のテーブルに広げられたお弁当の場所でもたつかず、スムーズに食事出来るように食事をとりわけ、運ぶのだ。
メニューが分かるように、きちんとカラー写真のメニュー表まで用意していて、頼まれたものを渡すというシステムになっている。
いくら山のように料理があるからといって、一斉に駆け寄ったら効率が悪い、という炊き出し班の作戦である。

部対抗リレーが終了しなければ、まだ昼食の混雑タイムにはならない。
炊き出し班のリーダーである相原花蓮は、多数の生徒が座れるように黄組の待機場所に引かれたレジャーシートを整理しつつ、配膳しやすいように最後の確認をしていた。
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