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同室者
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※三条優紀視点
「河原?」
「…ん、んー…」
長い前髪の隙間から、整った綺麗な顔が覗いていた。
俺の声に反応したのか河原は唸っているが起きる気配がない。
なんで河原がここに?もしかして河原は俺の同室者?
転校生なら、寮部屋の空きがないのは頷ける。
とりあえず起こそうと肩を揺する。
起きる気配がなく、どうしようと考えていたらグイッと肩を掴んでいた手を引っ張られて、バランスを崩し河原に覆い被さる体勢になった。
いきなりの事に受け身が出来ず、河原に体重を乗せてしまった。
起き上がろうとしたら後頭部を掴まれそのままキスをされた。
抵抗する隙もなくて、固まった。
口の中が甘い味で広がる。
昔食べた事があるその味は、懐かしい気持ちにさせた。
これは飴か?
お互いの舌で飴を転がし合い甘い飴を分ける。
なんだこれ、腰が痺れてゾクゾクする。
変な成分なんてないただの飴だと思うのに、下半身が熱い。
飴が小さくなり、消えたら唇がようやく解放された。
息を荒げる俺に河原はニヤッと笑う。
キス慣れしてないから、余裕そうな河原がムカついた。
…河原は経験豊富でこんなキス、何ともないんだろうな。
「何だよ、また抜いてほしいのか?」
「ちげーよ!お前こそ誰でもこんな事すんのかよ!」
「………はぁ?」
楽しそうだった河原は一気に不機嫌な顔になった。
…俺、なんか変な事言ったか?
だって河原は目を閉じて寝てたし、姿は見えなかった筈だ。
声も掛けたが、一言呟いたくらいでは俺だって分からないだろう。
元々同室者が俺だって知ってたのか?
管理人に聞けば一発だけど、俺も今さっき聞かされたし引っ越しで慌ただしくて聞いてないと思ったんだけど…
突然キスをするから誰でもそうなのかと思った。
勘違いで悪い事したなと河原に謝ると「別に気にしてない」と言っていた。
さっきは不機嫌だったのに、本当か?
河原がいいなら、俺ももう言わないよ。
河原は制服のままで寝ていたから皺になってしまった黒いブレザーを脱ぎネクタイを緩める。
テーブルに置いていた可愛い赤と白の水玉模様の飴の包み紙を掴む。
さっき舐めていた飴だろうか、口に入れて俺を見た。
口を動かす度に、中にある雨が動くのが分かる。
「わざわざ俺がお前と同じ部屋にしてくれって管理人に頼んだ意味ねぇだろ」
「……なんだ?聞こえない」
「聞かなくていい、ほらこれ」
小さな声だったから聞き取れなかった、気になるけど河原が話題を逸らすからそれ以上は聞かなかった。
河原になにかを投げられキャッチする。
それはテーブルに置いてあったもう一つの飴だ。
河原が食べていたものと同じなのだろう。
甘いけど甘すぎなくて、喉に優しい感じがする。
河原は「よろしくな」と言った。
俺の口の中にも、はちみつの飴の味が広がっていく。
結局誰でもキスする奴なのかなんなのか分からないが、とりあえず今日から河原と同室者になった。
リビングには段ボールが置かれてた。
きっとこれが河原の私物なのだろう。
2つしかない段ボールを見て私物が少ないのか?と思った。
河原はその一つの段ボールを開けて服を取り出し着替える。
そうだ、部屋…物置だった…早く片付けないとな。
「河原、自室はもうちょっと待ってくれ…すぐに片付けるから」
「必要ねぇ、お前の部屋で寝るから」
まぁ俺が悪いし、ベッドは譲るか。
ずっとソファは嫌だから早く片付けてしまおう。
俺が頷くと河原は笑った。
素顔を知ってしまったからか、根暗姿でもカッコいいと思ってしまう。
別にこれは変な意味ではなく、男として羨ましいって意味だ…俺、誰に言い訳してるんだ?
「このかつら蒸れるんだよなぁ…」と愚痴を溢しながら着替えの時外していたかつらを付ける。
するとスマホが震えて始からSNSが届いた。
……あ、そうだ断りのメール送るの忘れてた。
心配するだろうし、ずっと俺を待っていたら二人は何も始まらない。
すぐに返信すると、既読が付いた。
これでよし、さぁこれで思いっきりいちゃついてくれ!
一人で満足そうにしていたら、河原に変な顔をされてしまった。
気を取り直して話題を変えようと、咳払いした。
「あ、そうだ…河原…SNSやってるか?」
「………公式の以外ならないな」
「公式?…やってないの?」
「お前がやってって可愛くおねだりしたらアカウント作ってやるよ」
「河原?」
「…ん、んー…」
長い前髪の隙間から、整った綺麗な顔が覗いていた。
俺の声に反応したのか河原は唸っているが起きる気配がない。
なんで河原がここに?もしかして河原は俺の同室者?
転校生なら、寮部屋の空きがないのは頷ける。
とりあえず起こそうと肩を揺する。
起きる気配がなく、どうしようと考えていたらグイッと肩を掴んでいた手を引っ張られて、バランスを崩し河原に覆い被さる体勢になった。
いきなりの事に受け身が出来ず、河原に体重を乗せてしまった。
起き上がろうとしたら後頭部を掴まれそのままキスをされた。
抵抗する隙もなくて、固まった。
口の中が甘い味で広がる。
昔食べた事があるその味は、懐かしい気持ちにさせた。
これは飴か?
お互いの舌で飴を転がし合い甘い飴を分ける。
なんだこれ、腰が痺れてゾクゾクする。
変な成分なんてないただの飴だと思うのに、下半身が熱い。
飴が小さくなり、消えたら唇がようやく解放された。
息を荒げる俺に河原はニヤッと笑う。
キス慣れしてないから、余裕そうな河原がムカついた。
…河原は経験豊富でこんなキス、何ともないんだろうな。
「何だよ、また抜いてほしいのか?」
「ちげーよ!お前こそ誰でもこんな事すんのかよ!」
「………はぁ?」
楽しそうだった河原は一気に不機嫌な顔になった。
…俺、なんか変な事言ったか?
だって河原は目を閉じて寝てたし、姿は見えなかった筈だ。
声も掛けたが、一言呟いたくらいでは俺だって分からないだろう。
元々同室者が俺だって知ってたのか?
管理人に聞けば一発だけど、俺も今さっき聞かされたし引っ越しで慌ただしくて聞いてないと思ったんだけど…
突然キスをするから誰でもそうなのかと思った。
勘違いで悪い事したなと河原に謝ると「別に気にしてない」と言っていた。
さっきは不機嫌だったのに、本当か?
河原がいいなら、俺ももう言わないよ。
河原は制服のままで寝ていたから皺になってしまった黒いブレザーを脱ぎネクタイを緩める。
テーブルに置いていた可愛い赤と白の水玉模様の飴の包み紙を掴む。
さっき舐めていた飴だろうか、口に入れて俺を見た。
口を動かす度に、中にある雨が動くのが分かる。
「わざわざ俺がお前と同じ部屋にしてくれって管理人に頼んだ意味ねぇだろ」
「……なんだ?聞こえない」
「聞かなくていい、ほらこれ」
小さな声だったから聞き取れなかった、気になるけど河原が話題を逸らすからそれ以上は聞かなかった。
河原になにかを投げられキャッチする。
それはテーブルに置いてあったもう一つの飴だ。
河原が食べていたものと同じなのだろう。
甘いけど甘すぎなくて、喉に優しい感じがする。
河原は「よろしくな」と言った。
俺の口の中にも、はちみつの飴の味が広がっていく。
結局誰でもキスする奴なのかなんなのか分からないが、とりあえず今日から河原と同室者になった。
リビングには段ボールが置かれてた。
きっとこれが河原の私物なのだろう。
2つしかない段ボールを見て私物が少ないのか?と思った。
河原はその一つの段ボールを開けて服を取り出し着替える。
そうだ、部屋…物置だった…早く片付けないとな。
「河原、自室はもうちょっと待ってくれ…すぐに片付けるから」
「必要ねぇ、お前の部屋で寝るから」
まぁ俺が悪いし、ベッドは譲るか。
ずっとソファは嫌だから早く片付けてしまおう。
俺が頷くと河原は笑った。
素顔を知ってしまったからか、根暗姿でもカッコいいと思ってしまう。
別にこれは変な意味ではなく、男として羨ましいって意味だ…俺、誰に言い訳してるんだ?
「このかつら蒸れるんだよなぁ…」と愚痴を溢しながら着替えの時外していたかつらを付ける。
するとスマホが震えて始からSNSが届いた。
……あ、そうだ断りのメール送るの忘れてた。
心配するだろうし、ずっと俺を待っていたら二人は何も始まらない。
すぐに返信すると、既読が付いた。
これでよし、さぁこれで思いっきりいちゃついてくれ!
一人で満足そうにしていたら、河原に変な顔をされてしまった。
気を取り直して話題を変えようと、咳払いした。
「あ、そうだ…河原…SNSやってるか?」
「………公式の以外ならないな」
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