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【チャプター 38】
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「僕がすべてを知っている?」
彼は彼女に訊いた。
「そうよ。だって、ここはあなたの世界なんですもの。そしてわたしはこの世界のたったひとりの住人。だからあなたに会ってはじめて、あなたがあなたであることがわかったのよ」
彼女はそう答えた。
「ここが僕の世界って、どういうことなんだ。理解ができない」
「理解する必要なんてないわ。あなたはあなたであって、そしてここはあなたの世界。だから、それ以外はなんの意味もないのよ」
「なにがなんだか、さっぱりだ。だったら訊くけど、君は僕を待っていたと言ったね。それはどういうことなんだ? それには、理由とその意味があるだろう?」
「あなたを待っていた理由とその意味……。そんなこと考えてもみなかったわ」
「それだけじゃない。君はこの世界のたったひとりの住人だと言ったけれど、自分がどうしてひとりなのかって、いままで考えたことはないのかい?」
「あなたはいったいどうしてしまったの? あなたがあなたであるように、わたしはこの世界の住人なの。たったひとりでいることも、初めからそうであるからなのよ。だから、あなたを待っていたことに理由とその意味があるとするなら、ここであなたに会ったことがそのすべてだと思うわ」
「だったら君は、僕にただ会うためだけに待っていたというのか」
「そうよ。それ以外になにもないもの」
「どのくらい君はここにいるんだ」
「それにどんな意味があるというの」
「君には疑問を持つということがないのか」
「疑問? ほうとうにあなたは、おかしな人ね。ここはあなたの世界よ。あなたそのものと言ってもいいわ。それなのに、どうしてそんな愚問を投げかけてくるのかしら。わたしには、それ自体が疑問だわ」
「わかった。わかったよ。ここが僕の世界だというのなら、君は僕の創造だとでもいうのか!」
彼はさすがに苛立った。
「わたしを幻滅させないでほしいわ。もしかすると、あなたはあなたであって、あなたではないのかしら」
彼女のほうも苛立っているのか、口調が険しくなった。
「僕は僕だよ。他のなにものでもない」
「そう。だったら、わたしはそれを信じるわ。ただ、もう問うのはやめにしてほしいの。意味のないことを問うのは、あなたをあなたでなくしてしまうことだから。もしかするとあなたは、忘れてしまったのか、それとも失ってしまったのかもしれないわ。あなたの中の大切なものを」
「僕の中の大切なもの……」
その言葉に彼は、胸に中に引っかかるものを覚えた。
どこかでそれとおなじような言葉を聞いた気がする。
それがいったいいつで、どこでだったのか。
だかそれを、思い出すことはできそうにない。
すると、そのとき、
思い出すのだ――
とつぜん、その声が脳裡に響いた。
彼は彼女に訊いた。
「そうよ。だって、ここはあなたの世界なんですもの。そしてわたしはこの世界のたったひとりの住人。だからあなたに会ってはじめて、あなたがあなたであることがわかったのよ」
彼女はそう答えた。
「ここが僕の世界って、どういうことなんだ。理解ができない」
「理解する必要なんてないわ。あなたはあなたであって、そしてここはあなたの世界。だから、それ以外はなんの意味もないのよ」
「なにがなんだか、さっぱりだ。だったら訊くけど、君は僕を待っていたと言ったね。それはどういうことなんだ? それには、理由とその意味があるだろう?」
「あなたを待っていた理由とその意味……。そんなこと考えてもみなかったわ」
「それだけじゃない。君はこの世界のたったひとりの住人だと言ったけれど、自分がどうしてひとりなのかって、いままで考えたことはないのかい?」
「あなたはいったいどうしてしまったの? あなたがあなたであるように、わたしはこの世界の住人なの。たったひとりでいることも、初めからそうであるからなのよ。だから、あなたを待っていたことに理由とその意味があるとするなら、ここであなたに会ったことがそのすべてだと思うわ」
「だったら君は、僕にただ会うためだけに待っていたというのか」
「そうよ。それ以外になにもないもの」
「どのくらい君はここにいるんだ」
「それにどんな意味があるというの」
「君には疑問を持つということがないのか」
「疑問? ほうとうにあなたは、おかしな人ね。ここはあなたの世界よ。あなたそのものと言ってもいいわ。それなのに、どうしてそんな愚問を投げかけてくるのかしら。わたしには、それ自体が疑問だわ」
「わかった。わかったよ。ここが僕の世界だというのなら、君は僕の創造だとでもいうのか!」
彼はさすがに苛立った。
「わたしを幻滅させないでほしいわ。もしかすると、あなたはあなたであって、あなたではないのかしら」
彼女のほうも苛立っているのか、口調が険しくなった。
「僕は僕だよ。他のなにものでもない」
「そう。だったら、わたしはそれを信じるわ。ただ、もう問うのはやめにしてほしいの。意味のないことを問うのは、あなたをあなたでなくしてしまうことだから。もしかするとあなたは、忘れてしまったのか、それとも失ってしまったのかもしれないわ。あなたの中の大切なものを」
「僕の中の大切なもの……」
その言葉に彼は、胸に中に引っかかるものを覚えた。
どこかでそれとおなじような言葉を聞いた気がする。
それがいったいいつで、どこでだったのか。
だかそれを、思い出すことはできそうにない。
すると、そのとき、
思い出すのだ――
とつぜん、その声が脳裡に響いた。
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