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チャプター【45】
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私の側近と元老院の中からの10人をふくめ、総勢150人を乗せた母船はドラクを飛び立ちました。
しかし、あなたたちも知ってのとおり、160光年という距離を数度のハイパー・ドライブ航法によってたどり着いた星系には、トール星は存在していませんでした。
それどころか、星系自体がなかったのです。
その宇宙空間には岩石や塵、そしてガスが渦を描いていました。
渦の中央には、新たな恒星が産まれようとしていました。
決して、針路を間違えたわけではありません。
なぜなら、その針路は、トール人の母船にあったデータを利用していたからです。
新たな恒星が産まれようとしているということは、トール星があった星系は、もともとそこにあった膨大な質量を有した恒星の、超新星爆発によって消滅してしまっていたのです。
私はすぐに、トール星が存在していた年代へとタイム・ジャンプするよう、操縦士に指示をしました。
けれど、星系ごと消滅してしまったトール星には、タイム・ジャンプすることはできなかったのです。
それは、なんど試みても同じでした。
どの年代に合わせても、座標をセットすることが不可能でした。
消滅してしまったトール星は、存在していた過去さえも消え失せてしまっていたのです。
皆、愕然(がくぜん)とする中、私は毅然とした態度で次なる指示を出しました。
それは、トール人を捜すことでした。
星は消滅していたとしても、きっと別の星に移住しているはずだと思ったからです。
漂流するかのように銀河系を捜し求め、けれども、トール人を見つけ出すことはできませんでした。
そればかりか、生物が存在する星さえ見つけられなかったのです。
そのときは、さすがにこの私も途方に暮れました。
それは、搭乗員のあなたたちも同じだったでしょう。
それもしかたのないことです。
我が星、ドラクを飛び立ってから300年余りの月日が流れていたのですから。
その距離は、1200光年にも達していました。
私はトール人の捜索を断念し、ドラク星へ帰還することを決断しました。
すべては徒労に終わったと、だれしもがそう思ったはずです。
しかし、そんなときでした。
針路をドラク星へとセットし、ハイパー・ドライブ航法へ入ろうとワープ・フィールドを開いたまさにそのとき、 そこからさらに130光年離れた星系に、生命体の存在する星のシグナルを捉えたのです。
私はそくざに、その星系へと母船を向かわせました。
そうしてやってきた星系には、瑠璃色に輝く星があったのです。
私は、その星を周る衛星に母船を停泊させ、さっそく偵察隊を送りました。
約7割が海というその星には、確かに生命体が存在していました。
しかしながら、それはトール人ではありませんでした。
その星には、文明を築くほどの知性を持った生命体は存在していなかったのです。
ただ、それでも、霊長類と呼ばれる原人(ホモ・エレクトス)がいたことは、幸運だったと言うべきしょう。
とは言え、まだ火を使う程度の知識しか持たぬ原人に、我々が寄生するわけにはいきませんでした。
なぜなら、原人の脳の容量は、我々の知識を受け入れられるほど発達していないからです。
けれども、その原人たちの進化を待っているというわけにもいきません。
遺伝子操作をしたとしても、我々の知識を受け入れられる器になるには、何十万年も待たなければならないからです。
クローンを造ることのできない我々に、時間は残されていません。
私は評議する場を設け、側近と元老院の他に科学者を出席させて意見を求めました。
評議の結果、その星の太古へタイム・ジャンプし、生息している生命体を遺伝子操作により、進化を飛躍させるいう実験を行うことを決定したのです。
遺伝子操作の実験は、太古より3度くり返されました。
そして、ようやく猿人が現れ、科学者は最後の遺伝子操作を行い、それによって200万年前に、猿人は、原人、人類(ホモ・サピエンス)へと進化し、ある程度の文明を築くまでの知識を得るまでに至ったのです。
それが、この月と名づけられた衛星から見える、あの瑠璃色の星です。
もう充分に我々の器と成るべく進化した人類の住むあの星へと、私はまた偵察隊を送りましたが、その偵察隊は規定違反を犯したのです。
その結果どうなったかは、言うまでもありません。
しかし、あなたたちも知ってのとおり、160光年という距離を数度のハイパー・ドライブ航法によってたどり着いた星系には、トール星は存在していませんでした。
それどころか、星系自体がなかったのです。
その宇宙空間には岩石や塵、そしてガスが渦を描いていました。
渦の中央には、新たな恒星が産まれようとしていました。
決して、針路を間違えたわけではありません。
なぜなら、その針路は、トール人の母船にあったデータを利用していたからです。
新たな恒星が産まれようとしているということは、トール星があった星系は、もともとそこにあった膨大な質量を有した恒星の、超新星爆発によって消滅してしまっていたのです。
私はすぐに、トール星が存在していた年代へとタイム・ジャンプするよう、操縦士に指示をしました。
けれど、星系ごと消滅してしまったトール星には、タイム・ジャンプすることはできなかったのです。
それは、なんど試みても同じでした。
どの年代に合わせても、座標をセットすることが不可能でした。
消滅してしまったトール星は、存在していた過去さえも消え失せてしまっていたのです。
皆、愕然(がくぜん)とする中、私は毅然とした態度で次なる指示を出しました。
それは、トール人を捜すことでした。
星は消滅していたとしても、きっと別の星に移住しているはずだと思ったからです。
漂流するかのように銀河系を捜し求め、けれども、トール人を見つけ出すことはできませんでした。
そればかりか、生物が存在する星さえ見つけられなかったのです。
そのときは、さすがにこの私も途方に暮れました。
それは、搭乗員のあなたたちも同じだったでしょう。
それもしかたのないことです。
我が星、ドラクを飛び立ってから300年余りの月日が流れていたのですから。
その距離は、1200光年にも達していました。
私はトール人の捜索を断念し、ドラク星へ帰還することを決断しました。
すべては徒労に終わったと、だれしもがそう思ったはずです。
しかし、そんなときでした。
針路をドラク星へとセットし、ハイパー・ドライブ航法へ入ろうとワープ・フィールドを開いたまさにそのとき、 そこからさらに130光年離れた星系に、生命体の存在する星のシグナルを捉えたのです。
私はそくざに、その星系へと母船を向かわせました。
そうしてやってきた星系には、瑠璃色に輝く星があったのです。
私は、その星を周る衛星に母船を停泊させ、さっそく偵察隊を送りました。
約7割が海というその星には、確かに生命体が存在していました。
しかしながら、それはトール人ではありませんでした。
その星には、文明を築くほどの知性を持った生命体は存在していなかったのです。
ただ、それでも、霊長類と呼ばれる原人(ホモ・エレクトス)がいたことは、幸運だったと言うべきしょう。
とは言え、まだ火を使う程度の知識しか持たぬ原人に、我々が寄生するわけにはいきませんでした。
なぜなら、原人の脳の容量は、我々の知識を受け入れられるほど発達していないからです。
けれども、その原人たちの進化を待っているというわけにもいきません。
遺伝子操作をしたとしても、我々の知識を受け入れられる器になるには、何十万年も待たなければならないからです。
クローンを造ることのできない我々に、時間は残されていません。
私は評議する場を設け、側近と元老院の他に科学者を出席させて意見を求めました。
評議の結果、その星の太古へタイム・ジャンプし、生息している生命体を遺伝子操作により、進化を飛躍させるいう実験を行うことを決定したのです。
遺伝子操作の実験は、太古より3度くり返されました。
そして、ようやく猿人が現れ、科学者は最後の遺伝子操作を行い、それによって200万年前に、猿人は、原人、人類(ホモ・サピエンス)へと進化し、ある程度の文明を築くまでの知識を得るまでに至ったのです。
それが、この月と名づけられた衛星から見える、あの瑠璃色の星です。
もう充分に我々の器と成るべく進化した人類の住むあの星へと、私はまた偵察隊を送りましたが、その偵察隊は規定違反を犯したのです。
その結果どうなったかは、言うまでもありません。
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