勇者に溺れた魔王様

世夜

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隠蔽

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回廊を駆けていく。通り過ぎていくのに、景色はずっと変わらない。とても、気の遠くなるようなこの道を。重圧のかかるこの服と、真っ赤に染まった壁に笑われているような気がした。
「もう…ラディったら全然目を覚まさなかったんだから…。もうフレア達が待ちわびているんじゃないかしら。」 
「フレアの事だから情報は吐かせ終わっていると思うが…死んでないといいな。侵入者達…。」
「…それは…保証できないわね。」
そんなことを話していると、正面から強い熱風が襲ってきた。ガラスは震え、回廊の光となる炎は勢いを増し、ただならぬ殺意を感じた。
「これは…フレアなのか…?」
「魔力などはフレアで間違いないわ。けれど、フレアが殺意を見せるなんて…。」
シエラも考えることは同じなようだ。「「急ごう」」それ以外に感情はなかった。いや、持てるほど余裕がなかったのだ。
「待って…くださっ…!やっやめっ…!」
モンスターの声かと間違うような低く、醜い悲鳴が私の耳に入り込んできた。
「お前…自分が何言ってるかわかってんのか?あ?」
視界にフレアの姿を捉えると同時に、侵入者の襟元から徐々に炎が伝っていき、全身を覆っていた。
「フレア!よさないか!情報は出ているんだろう!?何故そんなに感情的になっているんだ!?」
「そうよ。フレア、どうしちゃったの?貴方らしくないわ。」
「…シエラ……」
そう言葉を発した途端、フレアが視界から消える。そして背後からか細い声が聞こえ、なにかが倒れる音がした。
振り返るとその状況はおかしなもので、シエラの上にフレアが乗り、フレアの炎で作られた短剣が首に触れようとしていた。
「フレア!?何を…!」
あの情熱的なフレアとは思えないほど冷たく鋭い瞳は私なんかを見らずに、ただただシエラを見つめていた。
「…シュメリア…私とて侵入者の言葉に耳を傾けるのは本意ではないが…少し妙な事を侵入者が発したので質問に答えてもらうぞ。」
「フレア……?」
「勝手に口を開くな。質問に答えるだけだ。いいな?」
フレアを操らない…何故…条件は当てはまっているはず…何故なのだ?シエラ…?
「…侵入者はシュメリア・エディアラに指示されたと言っているがこれは本当か?」
「そんなわけないじゃない。あり得ないわ。」
「侵入者は私の顔を知っていた。これは何故だろうな?」
「知らないっていってるじゃない。貴方の不注意じゃないの?」
「そうか。確かにそうかもな。疑って悪かった。」
「犯人が私じゃないかっていいたいんでしょ。あり得ないでしょそんなこと。」
短剣が無くなり、立ち上がる。
「全く、何事かと思ったぞ。ほら、さっさと行くぞ。マリンが怒ってるやもしれん。」
「そうだな。」
「ええ。急ぎましょう。」
「先にいっておるぞー。」 
辺りは静かじゃな…。


「シエラ…もう1ついい?」 
「なによ?まだあるの?」
「1つだけだよ。いいだろ?気になるんだ。」
「はぁ…まぁ、それで誤解が解けるならいいわよ。」 
「ありがとう。じゃあ1つ。ラウルって何?」
「知らないわ。誰よ、それ。」 
「…知らないかぁ…そっか…誰なんだろうね?侵入者達が連呼してたからさ。」
「あぁ…そう。……ってラディ早いわね…先行くわ。フレアもノロノロ歩いてないで早く来なさいよ!」
「うん、わかってるよ………。」 
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