勇者に溺れた魔王様

世夜

文字の大きさ
11 / 19

疑念

しおりを挟む
企画書に目を通す作業は進んでいるのだろうか…。フレア以外に人はいなかった…となるとマリンは仕事に戻っている可能性が大きいな…。ラルスやリンも戻っているだろう。というか何時間寝ていたのだ?私とシエラも寝ていたから相当時は経っているはず…。しかし…まだ侵入者が壊していった壁の修理途中か…。いつもなら1時間くらいでリンが直している…。そんなに時間は過ぎていないのか…?
「久しぶりダネ~♪元気してる?」
「…リウム…いえ…先代、お久しぶりですね。しかしこの惨状を見て体調を聞くのは私以外にはしないでくださいね。一族の恥晒しです。」
「……もう…嫌いになっちゃった…?……もう…お兄ちゃんとは呼んでくれないのかな?」
「……とりあえず今は不可能です。私にも立場というものがありますから…。」
「そうまでするのは…お母さんが関係あったり…する…?」
「…先代の青色の目は全てを見透かされているようで、嫌いです。」
「…うん…。」
少し悲しげな顔を浮かべるお兄ちゃんは少し昔に戻ったようで嬉しかった。
「…先代の右目…貴方の隠しているその右目は…嫌いじゃないです…。」
「…そっか…。…ルーも色々大変なんだよね…。わかった。僕も陰ながら協力しよう。何があった時は頼ってくれ。なっ!いいだろう!」
「…脳の片隅にでも置いておきますね。」
「ははっ…!片隅かぁ…。そっかそっか。それでルーの負担が軽くなるなら喜んで片隅に置かれとくとするよ。」
「…それでは…また今度会えた時に。………お兄ちゃん…。」
少し…少しだけ視界の端で、本当に少しだけだけど、お兄ちゃんが笑ってくれたような気がした。嬉しいけどすごく悲しい。お兄ちゃんに会えた事が嬉しい。…お母さんを思い出した事が悲しい。私はお母さんを殺した。それなのにあの人は表情を変えなかった。いや、変わらなかった。ずっと私の後ろを見てた。私なんか見てはなかった。…お兄ちゃんと比べられるのはキツかった…。
「おい、ラディ。聞きたいことがある。」
「…フレア…この前から様子が変だな。大丈夫か?」
「この前は私がどうかしてた。…今聞きたいのは魔法の事だ。」
「なんだ、やっと研究大好きフレアちゃんに戻ったのか。」
「なんだその呼び方は!やめろやめろ!全く…」
「でも仕事があるんだ。早くしてくれ。」
「仕事ならもう終わらせている。マリン達がな。」
「そうか…。ならいいぞ。質問に答えよう。しかし、魔法ならマリン達に聞いた方がいいのではないか?」
「もう聞いた。ラディにも回答は期待してない。確認みたいなものだ。作者がイタズラで魔法書に嘘を書いてる時もある。それを確認するために聞くだけだ。…そんな身構えなくていいよ。」
なるほど…。ならば支障はあるまい。 
「それで、質問は?」
フレアは少し変な深呼吸をし、こう発した。
「ラウルって何かわかるか?」
「……ラウル…?知らん。なんだそれは。」
「…知らないならいいんだ。きっとイタズラで書いたやつだろうね。マリン達も同じように答えたから。」
「…そうか。力になれたならよかった。…ところでシエラは知らないか?」
「あ~…疲れてるっぽいから先に休む事を提案したけど…ダメだったか?」
「いや、それならいいんだ。では午後は休暇をだそう。マリン達に感謝を込めてな。」
「助かる。なら私から放送をしておくからラディは先に休んどけよな。」
「ああ…。何から何まですまないな。ありがとう。」
「…お安い御用さ。」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...