勇者に溺れた魔王様

世夜

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眠い

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「ふわぁ~…」
口をめいいっぱい開き、空気を吸い、私は何気ない日々を感じ取る。
まだ完全に現実に戻ってきていないこの体を無理矢理起こして、朝の支度をする。
「眠い…。」
魔王といえどいつも側近や世話係が居るわけではない。というのもプライベートな空間というのもあり、シエラとは部屋を分けているし、世話係の存在もいるにはいるが、全て自分で終わらせてしまうので、私の世話係の仕事はなく、他の者のサポートにまわっている。
昨日はマリンのお陰で助かったな…。今日改めて礼をいっておかねばなるまいな…。
私達魔族は扉を滅多に使わない。なぜならば…
「移動」
こう唱えるだけでワープできるからだ。
「ラディ…おはよう…。」
「シエラ…眠そうだな。大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ…。ちょっとこの頃寝つきが悪いだけだから…。今日も朝起きたら寝たはずなのに疲れてて…。参ったわね…。」
「あ…安眠マクラを買うか…?」 
「それで治ればとっくに買ってるわ。というか100は買ってるわよ。安眠マクラ。」
「す…すまん。」
「ふふっ…冗談よ。今度買いに行きましょう。ついてきてくれる?」
「ああ。もちろんだ。」 
そんな事を話していると、真っ赤に染まった髪が月の光に透けて、なんとも綺麗な光景が飛び込んできた。
あれは…
「フレア!」
私が言うよりも早くシエラが言葉を発し、フレアに近寄る。
「ねぇ、フレア。あの魔法陣は完成したの?」
「完成したといいたいところだが、あと一歩届かないんだ。昨日も寝不足だったぜ」
「そうなの…早く完成するといいね。」
「ありがとう。」
シエラの目が一瞬だけ光を纏ってとても綺麗だった。
「ねぇラディ。先に行っといてくれない?お母様から通信が来てて…。」
「わかった。先にゆくぞ。」
シエラはありがとうとにっこり笑い、耳に手を当てて、黙りこんだ。私は前を向いて歩いた。
「あああああああ!?ラディいいいいいいい!?」
扉の前に立つと私の名前を叫ぶ声が聞こえてきた。
「なんだ、マリン。昨日はありがとうというつもりが半ギレ状態で名前を呼ばれるとは思わなかったよ…。それで?どうした?」
「ラディ…攻撃よ。人間からの攻撃が来たわ…。対処しないと潰れるけど…魔王にはここにいて欲しいのに…人数足りないし、アンタが来ないと人質が殺されるらしいし…。」
「話す順番がバラバラで分かりにくかったが概ね理解した。私が行けばいいのだろう?」
「…そうね。簡単な話はそうよ。」
「ならば…ラルス、リンは私と一緒に。マリン、シエラ、フレアはここで待機。この構成でよかろう。」
「…ん…。わかった…。」
「了解よ」
「なるほどね…。でも、ラルスをそっちに入れて大丈夫かしら?」
「なんてことはない。むしろこちらにいた方がいいだろう。私とリンでラルスは守る。」
「そう…。ここは任せて。いってらっしゃい!」
「ああ。いくぞ!ラルス!リン!」
「ん…。」
「うんっ!」
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