勇者に溺れた魔王様

世夜

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狂った発芽の足音を

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「…それで…勇者よ。名は決まったか?」
静けさが舞う…というのは少しおかしい表現ではあるが、いろいろな感情が入り混じるこの静けさは…まるで神々が嘲笑っているようだ。
「…あぁ。…俺の名はレイガ・ディアラ・インカウンタート…。…この時を持って俺はを捨てようと思う…。」
「…そうか。」
ビビッーーー………
「……えっ………?」
…これ…?見覚えのあるこの光景…。風も吹かず時計も動かずシエラもフレアもレイガもそこに…すぐそこにいるのに…。
世界にただ一人の感覚…。……気味が悪い…。見覚えのある形…色…文字のフォント…。見上げればステンドガラスのように綺麗な薄い板…。それなのに書かれていることは物騒…で……?
「……違う………」
これは…前と違う…。禍々しくそれでいてお淑やかで…なにより…
「…フレ…ア…?」
私の記憶が正しければここの名前はシエラだったはず…。……なぜフレアになっている…?
「それ以外は前と同じ…か…。」
毎回対象となる者が変わるのか?これは一体…。
ピッピッピッピッーーー………
「…………っ…!?」
これは…タイマーの音…?そんな…時計は動いていないはず…っ……。
は突然に。でかでかと。まるで自分はここにいるとでも言いたげに。
10
「まさか…時間制限があるとはね…。」
9
これじゃ悠長に考えている時間はない…。
8
制限時間を守らなかった時の事も気になるが…もしフレアに危害があるようではいけないからな…。
7
「…あいつにはまだ命が必要だ…。」
6
とりあえずここは「殺さない?」を選ぶべきだろう…。
5
過去にもそれを選んだがなにもなかったはずだ…。
4
私はボタンを押す。
今度は何故かはっきりと世界が崩れゆくのを感じた…。
「…前はどうだっただろうか…。」
「……え…ラディ…どうしたの…?前…?風邪でも引いたの…?」
「えっ…と……。なんでもないよ…。少し考え事をしちゃってた。すまない、こんな大切なときに。」
「……ラディ…?」
「まったくラディときたら…せっかくかっこいいこと言おうと思ってたのに…。」
「ふふ…すまないな。」
レイガの目を見る。
「レイガ…。これから我々はお前を受け入れよう。人間でも勇者としてでもない。レイガ…お前をだ。……我々は味方だという事を誓おう。」
「あああー!せっかく…言おうとしたこと…取られた…。もう…ラディなんか知らねぇもん…。」
「もぅ…フレアったら…。そのくらいで拗ねないの!」
「あはははっーーー…………」
…この時…私は1つ忘れていたことがある…。それは…世界が崩れゆくときに見た1人の見知った顔のこと…だ…。
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