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第1章
お巡りさんー!こいつです!ショタコンです!
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痛い、寒い。それが起きて第一に思った言葉だった。
昨日は男の子を包むのに毛布を使ってしまったので床で寝た。もしかしなくてもそのせいで痛くて寒いんだろう。
もしかしたら昨日の野宿の方がマシだったかも知れないそう思うほど痛かった。しかしなぜ室内の筈なのに寒いのだろうか。辺りを見回してみると新月が私のコートを奪って包まって寝ていた。道理で寒い訳だ。
そう考えていると私はいきなり押し倒されて床に頭を打った。地味に痛い、
「クロ~、昨日は君のせいであんな不味いもん食ったんだ! 今でも口の中がブヨブヨと魚臭さを覚えてるんだぞ。口直しにとっとと朝メシ出せや!!」
寝ていたように見えたが起きていたらしい。朝の挨拶よりも先にガラの悪いチンピラの様な顔をした新月に押し倒されて馬乗りをされた。
こいつ本当に神様か? どっかのガキ大将が頭が悪いまま成長して出来たチンピラなんじゃないだろうか……
「朝の挨拶よりも先に命令と馬乗りありがとう新月くん。朝食を出して欲しくば今すぐに私の上から退いて顔でも洗ってきたまえ」
「言われなくてもするっての!」
新月は私から退いてドア替わりの分厚い布を開けて出て行く途中で後ろを振り返った。
「それと、朝食は和食で鮭と味噌汁、白米と海苔。それから卵焼きとフルーツを要求する!」
注文の多い朝ごはんだことで……
私は床に置き去りにされたコートを拾い上げて羽織り直すと新月を追って布を開けて洗面所に向かおうとすると毛布の塊が目に入った。そうだ、この男の子も起こさないといけないな。
「おい、生きてるなら目を開けろ。朝食出してやるから」
「………」
揺さぶりながら声を掛けてみるが起きない。まあ、急いでいる訳でも無いのだからまだ寝かせておこう。
男の子に揺さぶったせいで擦れた毛布を掛け直した後、私は新月と一緒に顔を洗って男の子のいるダイニングに座って朝食を出した。
『神通力を使います。神通力は魔力の消費により戦闘、日常生活などあらゆる面で使えます。ただし、使用した規模により魔力はそれに見合う量だけ消費されます。さらに想像力を使うとより具体的になります。現在、使える回数はあと18回です』
声が聞こえた後に出てきたのは、中央の大きな深皿に盛られたフルーツの山と牛乳が入った大きな瓶。
熱々で艶のある白米が入った大きなおひつと、寸胴鍋に入った豆腐とワカメの味噌汁、皿に盛られた狐色の鮭の切り身、の山。
ふっくらとした卵焼きは4~5皿あって隣には味付け海苔が入れ物ごと置かれ、食器類は大きなランチマットに包まれていた。
「昨日の夜は散々だったからな今回はガッツリ食べるぞ」
「わーい! 美味しそうー!!」
満面の笑みで今にも鼻歌でも歌い出そうにしながら早速、ランチマットに包みを解いてお茶碗としゃもじを取り出してごはんをよそい出した。
ご所望の品が出てきたことで新月の機嫌は直ったらしい。よかった。私も食器に朝食を盛って新月の向かいに座る。では挨拶を、
「それでは、いただきます」
「いただきます」
箸を取って白米を口に運ぶ。甘くて美味い。昨日の夜は不味かったせいで今回がより美味しく感じる。調味料は偉大だったと改めて感じさせられた。
新月を見てみると幸せそうな顔をしながら卵焼きを食べてると盛大な腹の鳴き声が聞こえた。もしかしたらと思い後ろを振り返ると案の定、男の子がよろよろと起き上がろうとしていた。
「起きたか?」
「………お腹空いた」
「食べるか?」
「ん、 」
白米をよそった茶碗を差し出して聞くと首が縦に振られた。
短い会話をしたあと、男の子が首を振ったのを合図に新月が片手でごはんやおかずを盛り始める。そしてもう片方の手で昨日のランチで使ったスプーンとフォークを取り出して男の子に渡した。
男の子が私の顔を見てまた驚いたような顔をしたが新月に肩を軽く叩かれた。
「はい、君は箸を使ったことがないだろう?」
男の子は新月を見て不思議そうな顔をしたが素直に受け取ると白米を一生懸命に口に詰め込み始めた。よほどお腹が空いていたらしい。が、飲み物も飲まないと喉に詰まらすだろう。
「ほら、牛乳だ」
「……ありがとうございます」
一言だけ言って男の子は牛乳を飲み干すと今度はおかずを口に詰め込み始めた。
朝食が食べ終わる頃には私が出した食事の八割が男の子の胃袋に入って行った。味噌汁の残りの一滴まで飲み終わると男の子は満足したような顔で放心した。幸せそうで何よりと言いたいところだがこのままだとまた眠りかねない。今の内にいろいろと聞かないければいければ。
「眠りそうな顔をしているところ悪いがいろいろ聞きたいことがある。いいか?」
「うん、なに?」
男の子は閉じそうになってきた瞼を擦ると私達を見てきた。この分なら聞けるのは精々二、三個だろう。
「まずは自己紹介をしよう、私は……今は事情があるのでクロスと呼んで欲しい。こっちは新月、お前を川から釣り上げたやつだ。お前の名前は?」
「ハリス……農民だから苗字はない」
新月がよろしくねーと手を振ると男の子……ハリスは軽く会釈をした……ように見えたが船を漕ぎ出しただけだった。この様子だとあと一つぐらいしか聞けなさそうだ。
「最後に一つ、お前は足を滑らせて川に落ちた。で合ってるか? あと単刀直入に言うが捨て子か? 無理なら言わなくてもいいが」
「うん、俺はすへられた……だからぁおーとにいかなひと……zzz」
ハリスは喋っている途中で力尽きて毛布へと戻ってしまった。完全に呂律が回っていなかったが知りたい事ことは分かったので良しとしよう。
まず、こいつの名前はハリス。捨てられたと言っていたのでトワフ地方の出身で、生きるために王都に行こうとして川で溺れてそれを釣り上げたのが新月だったと、まぁそんな感じだろう。
「まぁ、別に可哀想な話ではないな。飢餓や戦争、疫病でこんなことはザラにある。ハリスだけが可哀想な訳ではない」
そう言って話を締め括ろうとすると新月は床を転がりながら私の方を向いて少し不満そうな顔をした。
「う~ん、確かにそうだけどさ、もう少し同情してるフリは見せたら? さっきのは警察が取調してるような無表情過ぎる顔だったぞ~。」
五月蝿い、余計なお世話だ。本当だし仕方がないだろう。
服をぐしゃぐしゃにしながら新月が転がり続けながら諦めたような顔をしてため息を吐いた。
「やっぱ、クロはちょっと感情が欠けてるね~、たまに巫山戯ることは出来るけど他人を思う気持ちがゼロ~ (ソプラノボイス) 、ではないけど低いからな~。あーでも神様が感情なんか持ってたらやってけないよね。なら仕方ないか~」
んー、ハリスもクロも両方とも難しーい! と叫びながらリビングの隅から隅までを転がる。あ、壁の支えの木組みに当たって悶絶している。いい音がした。
「イタタ! 頭がー痛ーい! クロ、何でこんなもの壁に付けたんだよ。本物のゲルじゃないんだから要らないだろー!」
頭を抑えながら新月が蛆虫のように体をくねらせる。ちょっと面白い。
「何でって、ゲルを再現したのなら壁もゲルの中を再現しようと思ったんだが?」
「要らないよ! こんな鈍器! 足の小指ぶつけたらどうするんだよ!」
ぶうぶうと言ってくる新月だが言っていることは間違いではない。ハリスの目的は私達と同じなので必然的に一緒に行くことになるだろう。ならハリスも同じことを言うかも知れない。だったら……
『神通力を使います。神通力は魔力の消費により戦闘、日常生活などあらゆる面で使えます。ただし、使用した規模により魔力はそれに見合う量だけ消費されます。さらに想像力を使うとより具体的になります。現在、使える回数はあと15回です』
新月が壁にぶつかると痛いと言うなら木組みににクッション材を付けよう。しかしそれでは見た目が悪いから薄めの大きなタペストリーを掛ける。
ついでにテーブルを出して無かったので少し大き目の八人掛けのテーブルを出す。これだけあれば何が合っても大丈夫だろう。
次の瞬間、木組みが剥き出しだった壁は大きいな白に近い薄い水色に白い大きな睡蓮の花が描かれたタペストリーが四方に張られ、キッチンの隣には木面が美しいダイニングテーブルと八脚の椅子が並べられていた。
「これでいいか?」
椅子出てきたのを見てから新月を見る。これで壁にも文句はないだろう。椅子もテーブルも出した。あとは先にベットとキッチン用具を出せば文句なしのはずだ。
新月を見ると顔には満面の笑み。これは気に入ったと見て間違いないだろうか。
「oh! アメージング! リアル『なんということでしょう!!』 だな。こっちの方が断然いいし他の部屋にもやってよ!」
案の定、新月は喜んでいたので私はキッチン用具一式とベットを出したがハリスはまだ本調子では無さそうなのでしばらくは私と一緒にすることにした。
「ねー、クロ。ハリスくんだけどさ、結構ボロボロの格好だったじゃん? なら服でも用意してあげない?」
今だけ使っている部屋の変更が粗方終わって戻ってくると新月が新しい提案をしてきた。
ハリスは新月が釣り上げた時に着ていたであろう上着もなく簡素なシャツ一枚にズボンと言った格好だったのを思い出す。(恐らく、上着かマントを着ていたんだろが流されたと判断する)
「服か? なら素材は出してやるからお前が作れ」
( 'ω')? と言った顔をした新月がこちらを見てくる。何でと思っているんだろう。
「お前の特殊スキルに【裁縫と裁断】ってのがあっただろう。あれ使え」
「は? 別にいいじゃん。クロが出してよ~めんどいじゃん!」
【裁縫と裁断】という新月の特殊スキルがあったのを覚えていたので使うように言ってみる。もちろん興味があるからだ。
しかし、ギルドに行きたいと言った癖に能力を使うのはめんどいと言ったぞこいつ。
「お前が変えて欲しいと言ったから必要なものを出したんだ。これ以上は使いたくない。ギルドに行きたいならそれぐらいはやれ」
「なにーぃ?! ギルド行きを盾に取るとは! お主、せこいぞ! うぅ……だが仕方ない。俺にも少し興味がある。良いだろう、お主が言う通りこの力を使ってやろう! フハハハハハ!!」
ドドドン! と訳のわからない芝居口調で喋っているが能力に興味はあるらしい。なら気が変わらないうちにやって貰おう。
神通力でいろいろな布と糸、金具やボタンを出してやると新月に渡した。もちろん、服一式用だ。
「では、新月いっきまーす!!」
ア●ロの真似をして新月が叫ぶとまた声が聞こえた。
『特殊スキル【裁縫と裁断】を使います。【裁縫と裁断】は道具を使わずにスキルを発動した本人の想像を元にして衣服に関係するものを全て作ることが出来る能力です。
通常、一週間はかかる作業でも魔力の残り具合で何倍の速さでも作業を進めることが出来ます。しかし、材料が無いとこのスキルは発動しません。』
なるほどこれもけっこう便利なスキルだったらしい。今度他のものも作って貰うかと考えそうになったが今回はハリスの服が先だ。
ハリスは私達と行動をする。なら私達と同じぐらいしっかりとした服装が良いだろう。
「新月、ハリスは子供だが私達と行動するんだ。それなりの代物にしろ。出来れば旅をすからフードのついたマントも作れ」
「おk! 任せろ」
そう言うと新月はハリスの体を触り始めた。おい、待て。
「お巡りさーん! こいつです」
「違う違う! サイズ測ってるだけだから! 必要な事でしょ? 犯罪じゃないから!」
犯罪者じゃなから! 冷めた目で見るのはやめてー! と新月が手を振って否定する。紛らわしいな。始めから言えば良いのに。
「えー、オッホン! 何とか誤解も解けたようなので、作りたいと思います! ハリスが起きる前に作り終わりたいので最大速度!」
そう言うと新月は手からハサミを出した。いやこいつはハサミなんてもの持ってなかったはずだ。もしかして魔力で今だけ使えるとかってやつか。
しかし早いな。もうサイズを測り終えて作業に取り掛かるのか。どんな物が出来るか楽しみだ。
数十分後、見た目は悪く無い靴に下着やズボン、シャツなんかが何枚も出来上がっていて、今は最後のマント作りに取り掛かっている新月がいた。
ここまであり得ない速さで服が出来上がっていくので私でも少々驚いたほどだ。あともう少し。そんな時だった。
「ん~ーー。あ、寝てた」
不味い、起きたか。ここは私が時間稼ぎをするところだろう。
「お、起きたのかハリス? 起きたのなら風呂に入ろうか」
と言って新月を見せない様にハリスを抱き抱えると急いで風呂に向かう。
「ん~ふろ?」とハリスが首を傾げてるが無視して歩く。ドアを出る際に新月にグットサインをすると新月もハサミを外してOKサインを返してきた 。よし、何とか稼げそうだ。
その後、ハリスの体に着いた垢を全て落としきってさらに脳内がふわふわとなったハリスを連れて戻ってくると新月がナイスタイミング! と叫んだ。ちょうど終わったところらしい。
「ハリスくん、ちょっとこれ着て見てくれる?」
新月がバスタオル一枚巻いただけのハリスに駆け寄って服一式を渡すとハリスは顔を赤くして首を縦に振るとその場で着替え始めた。
「おい! このアホ、ショタコン! 大人の前で子供に着替えさせるなんであり得ないぞ。警察行ってこい!」
「違う違う! ハリスくん俺は目の前で着替えてなんて言ってないぞ! 俺達は後ろを向いてるからもう二度と目の前で着替えないでくれ! 俺がショタコン扱いされてポリスメン呼ばれちゃうから!!」
私と新月は急いで後ろを向く。何で目の前で着替えるんだ。やめてくれ
「着替えてって言われたから着替えようとしたんですけどダメでしたか?」
ハリスが困った様な声で聞いてくる。いやダメではないんだがここではやめて欲しい。
「着替えはお前の後ろにある部屋かさっきの脱衣所でやってくれ。目の前は流石にやめろ」
「……そうでしたか、すみません。あ、着替え終わりました」
ハリスが着替えたというので前を向くと丈夫そうな革靴と茶色いズボン、シャツの上に茶色いベスト、深い緑色に裾を一周するように金糸の線が入ったフード付きの丈が膝まであるマントを着ていた。
「ぴったり?」
新月が真剣な顔をして聞く。あっていないと自分が失敗した事になるから聞きたいのだろう。
「はい、すごく動きやすいです! ありがとうございます」
「いやいや礼なんて嬉しく、あるよー」
ハリスが喜んだ顔をすると、新月が初めて作って服が成功だったことが分かって嬉しそうな顔をする。
だったら私も一応、何か渡しておくか。私だけ何も渡さないというのは悪いしな。
「ハリス、あと一つ渡しておく物がある。少し待ってくれ」
そう言って私は神通力を使う。
ハリスの今の服装に足りない物は装飾だ。一個でも飾りの付いた物があるといいだろう。
そう、例えばマントの留め具とかなら実用的だ。あとは子供だから攻撃や生命力が上がる効果があるといいが……よし、これでいいだろう。
カチャっと音を立てて私の手の中に出て着たのはダイヤの形をした金の縁で彩られたルビーの留め具だった。
私はそれをハリスのマントに付けてみる。ルビーが緑色に映える。上出来だ。
「これで見た目はいいだろう。ハリス、少し話があるのだが良いか? せっかくだから椅子に座ってくれ」
「はい」
ハリスが緊張した顔で頷く。そこまで固まらなくていいのにな。
私達とハリスは椅子に座るとハリスに王都までは一緒に行くこと、そこからはハリス自身が私達について行くかを決めることを話した。
「どうする? お前にとっても悪い話では無いと思うが」
「……一緒に連れてって下さい。俺はまだ生きられるなら生きたいんです」
即答だった。ハリスは真剣な顔をして答えたので本心なんだろう。なら話は決まった。
「よし、では出発しよう」
ハリスがついて行くことが決まったので早速、出発しよう。目指すはヴェレンボーンの王都、ボーセンブーメンだ。
昨日は男の子を包むのに毛布を使ってしまったので床で寝た。もしかしなくてもそのせいで痛くて寒いんだろう。
もしかしたら昨日の野宿の方がマシだったかも知れないそう思うほど痛かった。しかしなぜ室内の筈なのに寒いのだろうか。辺りを見回してみると新月が私のコートを奪って包まって寝ていた。道理で寒い訳だ。
そう考えていると私はいきなり押し倒されて床に頭を打った。地味に痛い、
「クロ~、昨日は君のせいであんな不味いもん食ったんだ! 今でも口の中がブヨブヨと魚臭さを覚えてるんだぞ。口直しにとっとと朝メシ出せや!!」
寝ていたように見えたが起きていたらしい。朝の挨拶よりも先にガラの悪いチンピラの様な顔をした新月に押し倒されて馬乗りをされた。
こいつ本当に神様か? どっかのガキ大将が頭が悪いまま成長して出来たチンピラなんじゃないだろうか……
「朝の挨拶よりも先に命令と馬乗りありがとう新月くん。朝食を出して欲しくば今すぐに私の上から退いて顔でも洗ってきたまえ」
「言われなくてもするっての!」
新月は私から退いてドア替わりの分厚い布を開けて出て行く途中で後ろを振り返った。
「それと、朝食は和食で鮭と味噌汁、白米と海苔。それから卵焼きとフルーツを要求する!」
注文の多い朝ごはんだことで……
私は床に置き去りにされたコートを拾い上げて羽織り直すと新月を追って布を開けて洗面所に向かおうとすると毛布の塊が目に入った。そうだ、この男の子も起こさないといけないな。
「おい、生きてるなら目を開けろ。朝食出してやるから」
「………」
揺さぶりながら声を掛けてみるが起きない。まあ、急いでいる訳でも無いのだからまだ寝かせておこう。
男の子に揺さぶったせいで擦れた毛布を掛け直した後、私は新月と一緒に顔を洗って男の子のいるダイニングに座って朝食を出した。
『神通力を使います。神通力は魔力の消費により戦闘、日常生活などあらゆる面で使えます。ただし、使用した規模により魔力はそれに見合う量だけ消費されます。さらに想像力を使うとより具体的になります。現在、使える回数はあと18回です』
声が聞こえた後に出てきたのは、中央の大きな深皿に盛られたフルーツの山と牛乳が入った大きな瓶。
熱々で艶のある白米が入った大きなおひつと、寸胴鍋に入った豆腐とワカメの味噌汁、皿に盛られた狐色の鮭の切り身、の山。
ふっくらとした卵焼きは4~5皿あって隣には味付け海苔が入れ物ごと置かれ、食器類は大きなランチマットに包まれていた。
「昨日の夜は散々だったからな今回はガッツリ食べるぞ」
「わーい! 美味しそうー!!」
満面の笑みで今にも鼻歌でも歌い出そうにしながら早速、ランチマットに包みを解いてお茶碗としゃもじを取り出してごはんをよそい出した。
ご所望の品が出てきたことで新月の機嫌は直ったらしい。よかった。私も食器に朝食を盛って新月の向かいに座る。では挨拶を、
「それでは、いただきます」
「いただきます」
箸を取って白米を口に運ぶ。甘くて美味い。昨日の夜は不味かったせいで今回がより美味しく感じる。調味料は偉大だったと改めて感じさせられた。
新月を見てみると幸せそうな顔をしながら卵焼きを食べてると盛大な腹の鳴き声が聞こえた。もしかしたらと思い後ろを振り返ると案の定、男の子がよろよろと起き上がろうとしていた。
「起きたか?」
「………お腹空いた」
「食べるか?」
「ん、 」
白米をよそった茶碗を差し出して聞くと首が縦に振られた。
短い会話をしたあと、男の子が首を振ったのを合図に新月が片手でごはんやおかずを盛り始める。そしてもう片方の手で昨日のランチで使ったスプーンとフォークを取り出して男の子に渡した。
男の子が私の顔を見てまた驚いたような顔をしたが新月に肩を軽く叩かれた。
「はい、君は箸を使ったことがないだろう?」
男の子は新月を見て不思議そうな顔をしたが素直に受け取ると白米を一生懸命に口に詰め込み始めた。よほどお腹が空いていたらしい。が、飲み物も飲まないと喉に詰まらすだろう。
「ほら、牛乳だ」
「……ありがとうございます」
一言だけ言って男の子は牛乳を飲み干すと今度はおかずを口に詰め込み始めた。
朝食が食べ終わる頃には私が出した食事の八割が男の子の胃袋に入って行った。味噌汁の残りの一滴まで飲み終わると男の子は満足したような顔で放心した。幸せそうで何よりと言いたいところだがこのままだとまた眠りかねない。今の内にいろいろと聞かないければいければ。
「眠りそうな顔をしているところ悪いがいろいろ聞きたいことがある。いいか?」
「うん、なに?」
男の子は閉じそうになってきた瞼を擦ると私達を見てきた。この分なら聞けるのは精々二、三個だろう。
「まずは自己紹介をしよう、私は……今は事情があるのでクロスと呼んで欲しい。こっちは新月、お前を川から釣り上げたやつだ。お前の名前は?」
「ハリス……農民だから苗字はない」
新月がよろしくねーと手を振ると男の子……ハリスは軽く会釈をした……ように見えたが船を漕ぎ出しただけだった。この様子だとあと一つぐらいしか聞けなさそうだ。
「最後に一つ、お前は足を滑らせて川に落ちた。で合ってるか? あと単刀直入に言うが捨て子か? 無理なら言わなくてもいいが」
「うん、俺はすへられた……だからぁおーとにいかなひと……zzz」
ハリスは喋っている途中で力尽きて毛布へと戻ってしまった。完全に呂律が回っていなかったが知りたい事ことは分かったので良しとしよう。
まず、こいつの名前はハリス。捨てられたと言っていたのでトワフ地方の出身で、生きるために王都に行こうとして川で溺れてそれを釣り上げたのが新月だったと、まぁそんな感じだろう。
「まぁ、別に可哀想な話ではないな。飢餓や戦争、疫病でこんなことはザラにある。ハリスだけが可哀想な訳ではない」
そう言って話を締め括ろうとすると新月は床を転がりながら私の方を向いて少し不満そうな顔をした。
「う~ん、確かにそうだけどさ、もう少し同情してるフリは見せたら? さっきのは警察が取調してるような無表情過ぎる顔だったぞ~。」
五月蝿い、余計なお世話だ。本当だし仕方がないだろう。
服をぐしゃぐしゃにしながら新月が転がり続けながら諦めたような顔をしてため息を吐いた。
「やっぱ、クロはちょっと感情が欠けてるね~、たまに巫山戯ることは出来るけど他人を思う気持ちがゼロ~ (ソプラノボイス) 、ではないけど低いからな~。あーでも神様が感情なんか持ってたらやってけないよね。なら仕方ないか~」
んー、ハリスもクロも両方とも難しーい! と叫びながらリビングの隅から隅までを転がる。あ、壁の支えの木組みに当たって悶絶している。いい音がした。
「イタタ! 頭がー痛ーい! クロ、何でこんなもの壁に付けたんだよ。本物のゲルじゃないんだから要らないだろー!」
頭を抑えながら新月が蛆虫のように体をくねらせる。ちょっと面白い。
「何でって、ゲルを再現したのなら壁もゲルの中を再現しようと思ったんだが?」
「要らないよ! こんな鈍器! 足の小指ぶつけたらどうするんだよ!」
ぶうぶうと言ってくる新月だが言っていることは間違いではない。ハリスの目的は私達と同じなので必然的に一緒に行くことになるだろう。ならハリスも同じことを言うかも知れない。だったら……
『神通力を使います。神通力は魔力の消費により戦闘、日常生活などあらゆる面で使えます。ただし、使用した規模により魔力はそれに見合う量だけ消費されます。さらに想像力を使うとより具体的になります。現在、使える回数はあと15回です』
新月が壁にぶつかると痛いと言うなら木組みににクッション材を付けよう。しかしそれでは見た目が悪いから薄めの大きなタペストリーを掛ける。
ついでにテーブルを出して無かったので少し大き目の八人掛けのテーブルを出す。これだけあれば何が合っても大丈夫だろう。
次の瞬間、木組みが剥き出しだった壁は大きいな白に近い薄い水色に白い大きな睡蓮の花が描かれたタペストリーが四方に張られ、キッチンの隣には木面が美しいダイニングテーブルと八脚の椅子が並べられていた。
「これでいいか?」
椅子出てきたのを見てから新月を見る。これで壁にも文句はないだろう。椅子もテーブルも出した。あとは先にベットとキッチン用具を出せば文句なしのはずだ。
新月を見ると顔には満面の笑み。これは気に入ったと見て間違いないだろうか。
「oh! アメージング! リアル『なんということでしょう!!』 だな。こっちの方が断然いいし他の部屋にもやってよ!」
案の定、新月は喜んでいたので私はキッチン用具一式とベットを出したがハリスはまだ本調子では無さそうなのでしばらくは私と一緒にすることにした。
「ねー、クロ。ハリスくんだけどさ、結構ボロボロの格好だったじゃん? なら服でも用意してあげない?」
今だけ使っている部屋の変更が粗方終わって戻ってくると新月が新しい提案をしてきた。
ハリスは新月が釣り上げた時に着ていたであろう上着もなく簡素なシャツ一枚にズボンと言った格好だったのを思い出す。(恐らく、上着かマントを着ていたんだろが流されたと判断する)
「服か? なら素材は出してやるからお前が作れ」
( 'ω')? と言った顔をした新月がこちらを見てくる。何でと思っているんだろう。
「お前の特殊スキルに【裁縫と裁断】ってのがあっただろう。あれ使え」
「は? 別にいいじゃん。クロが出してよ~めんどいじゃん!」
【裁縫と裁断】という新月の特殊スキルがあったのを覚えていたので使うように言ってみる。もちろん興味があるからだ。
しかし、ギルドに行きたいと言った癖に能力を使うのはめんどいと言ったぞこいつ。
「お前が変えて欲しいと言ったから必要なものを出したんだ。これ以上は使いたくない。ギルドに行きたいならそれぐらいはやれ」
「なにーぃ?! ギルド行きを盾に取るとは! お主、せこいぞ! うぅ……だが仕方ない。俺にも少し興味がある。良いだろう、お主が言う通りこの力を使ってやろう! フハハハハハ!!」
ドドドン! と訳のわからない芝居口調で喋っているが能力に興味はあるらしい。なら気が変わらないうちにやって貰おう。
神通力でいろいろな布と糸、金具やボタンを出してやると新月に渡した。もちろん、服一式用だ。
「では、新月いっきまーす!!」
ア●ロの真似をして新月が叫ぶとまた声が聞こえた。
『特殊スキル【裁縫と裁断】を使います。【裁縫と裁断】は道具を使わずにスキルを発動した本人の想像を元にして衣服に関係するものを全て作ることが出来る能力です。
通常、一週間はかかる作業でも魔力の残り具合で何倍の速さでも作業を進めることが出来ます。しかし、材料が無いとこのスキルは発動しません。』
なるほどこれもけっこう便利なスキルだったらしい。今度他のものも作って貰うかと考えそうになったが今回はハリスの服が先だ。
ハリスは私達と行動をする。なら私達と同じぐらいしっかりとした服装が良いだろう。
「新月、ハリスは子供だが私達と行動するんだ。それなりの代物にしろ。出来れば旅をすからフードのついたマントも作れ」
「おk! 任せろ」
そう言うと新月はハリスの体を触り始めた。おい、待て。
「お巡りさーん! こいつです」
「違う違う! サイズ測ってるだけだから! 必要な事でしょ? 犯罪じゃないから!」
犯罪者じゃなから! 冷めた目で見るのはやめてー! と新月が手を振って否定する。紛らわしいな。始めから言えば良いのに。
「えー、オッホン! 何とか誤解も解けたようなので、作りたいと思います! ハリスが起きる前に作り終わりたいので最大速度!」
そう言うと新月は手からハサミを出した。いやこいつはハサミなんてもの持ってなかったはずだ。もしかして魔力で今だけ使えるとかってやつか。
しかし早いな。もうサイズを測り終えて作業に取り掛かるのか。どんな物が出来るか楽しみだ。
数十分後、見た目は悪く無い靴に下着やズボン、シャツなんかが何枚も出来上がっていて、今は最後のマント作りに取り掛かっている新月がいた。
ここまであり得ない速さで服が出来上がっていくので私でも少々驚いたほどだ。あともう少し。そんな時だった。
「ん~ーー。あ、寝てた」
不味い、起きたか。ここは私が時間稼ぎをするところだろう。
「お、起きたのかハリス? 起きたのなら風呂に入ろうか」
と言って新月を見せない様にハリスを抱き抱えると急いで風呂に向かう。
「ん~ふろ?」とハリスが首を傾げてるが無視して歩く。ドアを出る際に新月にグットサインをすると新月もハサミを外してOKサインを返してきた 。よし、何とか稼げそうだ。
その後、ハリスの体に着いた垢を全て落としきってさらに脳内がふわふわとなったハリスを連れて戻ってくると新月がナイスタイミング! と叫んだ。ちょうど終わったところらしい。
「ハリスくん、ちょっとこれ着て見てくれる?」
新月がバスタオル一枚巻いただけのハリスに駆け寄って服一式を渡すとハリスは顔を赤くして首を縦に振るとその場で着替え始めた。
「おい! このアホ、ショタコン! 大人の前で子供に着替えさせるなんであり得ないぞ。警察行ってこい!」
「違う違う! ハリスくん俺は目の前で着替えてなんて言ってないぞ! 俺達は後ろを向いてるからもう二度と目の前で着替えないでくれ! 俺がショタコン扱いされてポリスメン呼ばれちゃうから!!」
私と新月は急いで後ろを向く。何で目の前で着替えるんだ。やめてくれ
「着替えてって言われたから着替えようとしたんですけどダメでしたか?」
ハリスが困った様な声で聞いてくる。いやダメではないんだがここではやめて欲しい。
「着替えはお前の後ろにある部屋かさっきの脱衣所でやってくれ。目の前は流石にやめろ」
「……そうでしたか、すみません。あ、着替え終わりました」
ハリスが着替えたというので前を向くと丈夫そうな革靴と茶色いズボン、シャツの上に茶色いベスト、深い緑色に裾を一周するように金糸の線が入ったフード付きの丈が膝まであるマントを着ていた。
「ぴったり?」
新月が真剣な顔をして聞く。あっていないと自分が失敗した事になるから聞きたいのだろう。
「はい、すごく動きやすいです! ありがとうございます」
「いやいや礼なんて嬉しく、あるよー」
ハリスが喜んだ顔をすると、新月が初めて作って服が成功だったことが分かって嬉しそうな顔をする。
だったら私も一応、何か渡しておくか。私だけ何も渡さないというのは悪いしな。
「ハリス、あと一つ渡しておく物がある。少し待ってくれ」
そう言って私は神通力を使う。
ハリスの今の服装に足りない物は装飾だ。一個でも飾りの付いた物があるといいだろう。
そう、例えばマントの留め具とかなら実用的だ。あとは子供だから攻撃や生命力が上がる効果があるといいが……よし、これでいいだろう。
カチャっと音を立てて私の手の中に出て着たのはダイヤの形をした金の縁で彩られたルビーの留め具だった。
私はそれをハリスのマントに付けてみる。ルビーが緑色に映える。上出来だ。
「これで見た目はいいだろう。ハリス、少し話があるのだが良いか? せっかくだから椅子に座ってくれ」
「はい」
ハリスが緊張した顔で頷く。そこまで固まらなくていいのにな。
私達とハリスは椅子に座るとハリスに王都までは一緒に行くこと、そこからはハリス自身が私達について行くかを決めることを話した。
「どうする? お前にとっても悪い話では無いと思うが」
「……一緒に連れてって下さい。俺はまだ生きられるなら生きたいんです」
即答だった。ハリスは真剣な顔をして答えたので本心なんだろう。なら話は決まった。
「よし、では出発しよう」
ハリスがついて行くことが決まったので早速、出発しよう。目指すはヴェレンボーンの王都、ボーセンブーメンだ。
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