23 / 55
新しい生活
23 Rainy【2】 *R18
しおりを挟む
出しっぱなしのシャワーの音が羞恥心を紛らわせてくれる──そう思っていたら栓を閉じられてしまった。こういうときだけ節水意識を持つな。
ボディーソープは身体についたままだった。洗い残すのが気になるのか続きとばかりに肩から背中をわしわし洗われる。
「ふ、くっ」
脇腹のあたりはくすぐったい。
「もういい、おまえも同じことをされたいか?」
「されたいですけど」
空気を読まない言葉は無視した。
「あとで自分で洗うから、そんなことより本題に進め」
千裕を押し除けてシャワー栓をひねり、さっと身体を流す。
浴室は小さな声でも反響するため、間抜けな吐息も妙に強調されてしまう。
そもそも明るいところで肌に触れさせるのは久しぶりだった。まじまじと見られると落ち着かない。
「では、セーフワードは──」
「わかってる」
お決まりの文句は聞き飽きている。さえぎって千裕を見つめた。好きに命じろ、と。
温厚を絵に描いたような男のくせに、その瞳を覗けば燃え盛る支配欲と目が合う。
「《Kneel》」
彼の目を見たまま、ゆっくりと屈んでタイルに両膝をついた。
「《Good》、──《Say》」
こういうときのSayは、欲しいCommandを自ら言えという合図だった。NG行為を避けるために気を使っているのかもしれないが、俺からするとなかなかの恥辱である。
「……Kiss」
「えっ」
どちらかといえばロマンチックなCommandを俺が選ぶとは思っていなかったのか、千裕は目をぱちくりさせる。
「なんだ、言えないのか」
「いえ……《Kiss》」
言われた通りにキスをした。膝をついた俺の目前にある脚──千裕の太腿へ。
性器を避けて脚の付け根を唇で撫で、思わせぶりにキスの位置を変えていけば彼も心得たようだ。
「Lic……こら、それはずるいですよ。言うのが恥ずかしいからって誘導するなんて」
いらないところまで見透かされてしまった。プイとそっぽを向く。
「《Stand Up》」
黙って従い、向かい合って立つ。
全裸で棒立ちはやはり恥ずかしくなる。俺の性器は緩く勃起していて、期待しているのが伝わってしまう。
彼のそれも似たような状態なことが唯一の救いか。
なんの前置きもなく千裕が一歩踏み込んできてぶつかりそうになったため、足を引いて後ろに下がった。
背中が壁にぶつかる。
壁に片手をついて俺の逃げ場を奪うと、千裕は腰を押し付けてきた。互いの性器が触れてどきりとする。彼の手がそれらを束ねるように握った。
「おしおきです。《許可するまで動いちゃダメですよ》」
「っ……」
彼の利き手が緩く上下に動き、刺激に素直な性感帯を息づかせる。
「ふ、っぅ……、っ……!」
自分でするのとは違う予測不可能な快感が腰を溶かした。茎を扱く指の感触だけでなく、相手の性器との擦れからも言いようのない興奮を得てしまう。
すぐに二本は手で包みきれないほど硬く大きくなる、先端からは大量の先走りがあふれ、彼の手はそれを塗り広げるように根元まで滑った。
ニチュニチュと卑猥な水音がせわしなく聞こえる。
「あっく、ぅ……!」
亀頭のあたりを握られると、敏感な裏筋に彼のが押し当たる。短いストロークで念入りに刺激され、びくっと腰が跳ねるたび背後の壁を邪魔に感じた。快感を逃がせない。
自分の中で射精感が高まっていくのがわかる。
「ぁ、っあぁ……! ぁっ……!」
「《まだイってはダメ》《僕を見て》」
快楽に翻弄される意識が彼の声に向く。やはり千裕の声は──Commandは別格の気持ち良さがある。
俺は俺以上のDomを知らずに生きてきたが、千裕はもしかしたら同等かそれ以上かもしれない。
「《Look》」
下ばかり見ていた顔を上げ、彼と目を合わせた。《良い子》と微笑まれれば湧き上がる多幸感に蕩けてしまう。
(あ……この、ふわふわした感覚……)
以前経験したSub spaceの予感がある。こんなにたやすく至るなんて、普通のことなのだろうか。
「《舌を出して》」
「はぁっ、はぁっ……ん、ぅうっ」
舌を吸われると性感帯を刺激されたみたいに脳が痺れた。じゅ、じゅる、いやらしい音が耳を犯す。
口を開けているとだらしない声が止められなかった。
「あぁっ……あっ、ああっ、イきたい、千裕、んぅうっ……」
行き場のなかった手を使いそうになり、ぐっとこらえる。が、無意識に腰を押し付けてしまっていた。
触れる千裕のそれも硬く熱い。彼もイきたがっているとわかるのに、意地の悪いおあずけをされている。
(あぁっ、あ、あっ……、いつまで、我慢っ……)
動いてはいけないと意識するほど、もどかしくてたまらない。
蓄積される快感によって膝から力が抜け、姿勢が崩れていく。千裕の片手が腰に添えられ、その手と背中の壁に体重を支えてもらっていた。
ふと唇が離れ、二人の間で上下する手が動くのをやめる。
「ぁ……」
刺激が終わったはずなのに、余韻のような感覚があってうっとりとした心地から抜けられない。
「よく我慢しましたね。──《Good boy》」
甘いRewardが、俺の中を満たしていく。
じんと頭が痺れ、変な感じがした。じんじんと強くなる甘い痺れの正体が強烈なオーガズムだと気付いたときには、身体を震わせながら千裕へしがみついていた。
「──っぁ、ぁ、あっ、あ、~~~~……ッ!!」
視界が点滅するほどの眩しい絶頂に意識を焼かれる。あんなに射精したがっていたのに、性器からは何も吐き出さないまま。
「あ、ああぁっ、ぁっ、ぁ、あっ!」
(まだきもちいいっ、いってるっ、なんでっ、あぁぁあっ)
千裕はパニックになっている俺を抱きしめ、安心させるように髪を撫で続けた。
「……すごい。Subの脳イキってやつですね。大慈さん、気持ちよさそう」
「あ──、ぁっ……、あ……っ」
ようやく絶頂が去り、長い余韻に浸る。脳イキ? なんだそれ。こんなに気持ち良いことがあっていいのか。
「はっ……、はっ……」
「もうやめておきますか?」
支えられながらタイルにへたりこんだ。バクバクとうるさく脈打つ心臓の音しか聞こえない。
俺の性器は芯を残したままうなだれ、とろとろと精液を垂れ流していた。
小さく首を左右に振る。Sub spaceの心地をまだ終わらせたくない。
「ち、ひろ、声、ききたい。呼んで、おれ」
「大慈さん」
「うん」
「大慈さん、好きです」
「うん、おれも」
「大慈さん」
「うん……」
落ち着いてくると、今度は心地良い倦怠感が身体を重くする。
(まだ続けたいのに、眠い……)
瞼が下がってきて開けていられなかった。
いつからか背中をぽんぽんと優しく叩かれている。ムッとして文句を言おうとしたが、口が動かない。
(千裕……俺は子供じゃ……ない…………)
まどろみに包まれていく。
ボディーソープは身体についたままだった。洗い残すのが気になるのか続きとばかりに肩から背中をわしわし洗われる。
「ふ、くっ」
脇腹のあたりはくすぐったい。
「もういい、おまえも同じことをされたいか?」
「されたいですけど」
空気を読まない言葉は無視した。
「あとで自分で洗うから、そんなことより本題に進め」
千裕を押し除けてシャワー栓をひねり、さっと身体を流す。
浴室は小さな声でも反響するため、間抜けな吐息も妙に強調されてしまう。
そもそも明るいところで肌に触れさせるのは久しぶりだった。まじまじと見られると落ち着かない。
「では、セーフワードは──」
「わかってる」
お決まりの文句は聞き飽きている。さえぎって千裕を見つめた。好きに命じろ、と。
温厚を絵に描いたような男のくせに、その瞳を覗けば燃え盛る支配欲と目が合う。
「《Kneel》」
彼の目を見たまま、ゆっくりと屈んでタイルに両膝をついた。
「《Good》、──《Say》」
こういうときのSayは、欲しいCommandを自ら言えという合図だった。NG行為を避けるために気を使っているのかもしれないが、俺からするとなかなかの恥辱である。
「……Kiss」
「えっ」
どちらかといえばロマンチックなCommandを俺が選ぶとは思っていなかったのか、千裕は目をぱちくりさせる。
「なんだ、言えないのか」
「いえ……《Kiss》」
言われた通りにキスをした。膝をついた俺の目前にある脚──千裕の太腿へ。
性器を避けて脚の付け根を唇で撫で、思わせぶりにキスの位置を変えていけば彼も心得たようだ。
「Lic……こら、それはずるいですよ。言うのが恥ずかしいからって誘導するなんて」
いらないところまで見透かされてしまった。プイとそっぽを向く。
「《Stand Up》」
黙って従い、向かい合って立つ。
全裸で棒立ちはやはり恥ずかしくなる。俺の性器は緩く勃起していて、期待しているのが伝わってしまう。
彼のそれも似たような状態なことが唯一の救いか。
なんの前置きもなく千裕が一歩踏み込んできてぶつかりそうになったため、足を引いて後ろに下がった。
背中が壁にぶつかる。
壁に片手をついて俺の逃げ場を奪うと、千裕は腰を押し付けてきた。互いの性器が触れてどきりとする。彼の手がそれらを束ねるように握った。
「おしおきです。《許可するまで動いちゃダメですよ》」
「っ……」
彼の利き手が緩く上下に動き、刺激に素直な性感帯を息づかせる。
「ふ、っぅ……、っ……!」
自分でするのとは違う予測不可能な快感が腰を溶かした。茎を扱く指の感触だけでなく、相手の性器との擦れからも言いようのない興奮を得てしまう。
すぐに二本は手で包みきれないほど硬く大きくなる、先端からは大量の先走りがあふれ、彼の手はそれを塗り広げるように根元まで滑った。
ニチュニチュと卑猥な水音がせわしなく聞こえる。
「あっく、ぅ……!」
亀頭のあたりを握られると、敏感な裏筋に彼のが押し当たる。短いストロークで念入りに刺激され、びくっと腰が跳ねるたび背後の壁を邪魔に感じた。快感を逃がせない。
自分の中で射精感が高まっていくのがわかる。
「ぁ、っあぁ……! ぁっ……!」
「《まだイってはダメ》《僕を見て》」
快楽に翻弄される意識が彼の声に向く。やはり千裕の声は──Commandは別格の気持ち良さがある。
俺は俺以上のDomを知らずに生きてきたが、千裕はもしかしたら同等かそれ以上かもしれない。
「《Look》」
下ばかり見ていた顔を上げ、彼と目を合わせた。《良い子》と微笑まれれば湧き上がる多幸感に蕩けてしまう。
(あ……この、ふわふわした感覚……)
以前経験したSub spaceの予感がある。こんなにたやすく至るなんて、普通のことなのだろうか。
「《舌を出して》」
「はぁっ、はぁっ……ん、ぅうっ」
舌を吸われると性感帯を刺激されたみたいに脳が痺れた。じゅ、じゅる、いやらしい音が耳を犯す。
口を開けているとだらしない声が止められなかった。
「あぁっ……あっ、ああっ、イきたい、千裕、んぅうっ……」
行き場のなかった手を使いそうになり、ぐっとこらえる。が、無意識に腰を押し付けてしまっていた。
触れる千裕のそれも硬く熱い。彼もイきたがっているとわかるのに、意地の悪いおあずけをされている。
(あぁっ、あ、あっ……、いつまで、我慢っ……)
動いてはいけないと意識するほど、もどかしくてたまらない。
蓄積される快感によって膝から力が抜け、姿勢が崩れていく。千裕の片手が腰に添えられ、その手と背中の壁に体重を支えてもらっていた。
ふと唇が離れ、二人の間で上下する手が動くのをやめる。
「ぁ……」
刺激が終わったはずなのに、余韻のような感覚があってうっとりとした心地から抜けられない。
「よく我慢しましたね。──《Good boy》」
甘いRewardが、俺の中を満たしていく。
じんと頭が痺れ、変な感じがした。じんじんと強くなる甘い痺れの正体が強烈なオーガズムだと気付いたときには、身体を震わせながら千裕へしがみついていた。
「──っぁ、ぁ、あっ、あ、~~~~……ッ!!」
視界が点滅するほどの眩しい絶頂に意識を焼かれる。あんなに射精したがっていたのに、性器からは何も吐き出さないまま。
「あ、ああぁっ、ぁっ、ぁ、あっ!」
(まだきもちいいっ、いってるっ、なんでっ、あぁぁあっ)
千裕はパニックになっている俺を抱きしめ、安心させるように髪を撫で続けた。
「……すごい。Subの脳イキってやつですね。大慈さん、気持ちよさそう」
「あ──、ぁっ……、あ……っ」
ようやく絶頂が去り、長い余韻に浸る。脳イキ? なんだそれ。こんなに気持ち良いことがあっていいのか。
「はっ……、はっ……」
「もうやめておきますか?」
支えられながらタイルにへたりこんだ。バクバクとうるさく脈打つ心臓の音しか聞こえない。
俺の性器は芯を残したままうなだれ、とろとろと精液を垂れ流していた。
小さく首を左右に振る。Sub spaceの心地をまだ終わらせたくない。
「ち、ひろ、声、ききたい。呼んで、おれ」
「大慈さん」
「うん」
「大慈さん、好きです」
「うん、おれも」
「大慈さん」
「うん……」
落ち着いてくると、今度は心地良い倦怠感が身体を重くする。
(まだ続けたいのに、眠い……)
瞼が下がってきて開けていられなかった。
いつからか背中をぽんぽんと優しく叩かれている。ムッとして文句を言おうとしたが、口が動かない。
(千裕……俺は子供じゃ……ない…………)
まどろみに包まれていく。
68
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
世界で一番優しいKNEELをあなたに
珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。
Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。
抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。
しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。
※Dom/Subユニバース独自設定有り
※やんわりモブレ有り
※Usual✕Sub
※ダイナミクスの変異あり
共の蓮にて酔い咲う
あのにめっと
BL
神原 蓮華はΩSub向けDom派遣サービス会社の社員である。彼はある日同じ職場の後輩のαSubである新家 縁也がドロップしかける現場に居合わせる。他にDomがいなかったため神原が対応するが、彼はとある事件がきっかけでαSubに対して苦手意識を持っており…。
トラウマ持ちのΩDomとその同僚のαSub
※リバです。
※オメガバースとDom/Subユニバースの設定を独自に融合させております。今作はそれぞれの世界観の予備知識がないと理解しづらいと思われます。ちなみに拙作「そよ風に香る」と同じ世界観ですが、共通の登場人物はいません。
※詳細な性的描写が入る場面はタイトルに「※」を付けています。
※他サイトでも完結済
お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
愛されSubは尽くしたい
リミル
BL
【Dom/Subユニバース】
玩具メーカーの取締役開発部長Dom(37)×元子役の大学生Sub(20)
かつて天才子役として名を馳せていた天使 汐は、収録中にSub drop(サブドロップ)に陥り、生死の境をさまよう。
不安定になっていた汐を救ったのは、スーツ姿の男だった。
素性や名前も知らない。でも、優しく撫でて「いい子」だと言ってくれた記憶は残っている。
父親の紹介で、自身の欲求を満たしてくれるDomを頼るものの、誰も彼も汐をひたすらに甘やかしてくる。こんなにも尽くしたい気持ちがあるのに。
ある夜、通っているサロンで不正にCommand(コマンド)を使われ、心身ともにダメージを負った汐を助けたのは、年上の男だ。
それは偶然にも15年前、瀕死の汐を救った相手──深見 誠吾だった。
運命的な出会いに、「恋人にもパートナーにもなって欲しい」と求めるも、深見にきっぱりと断られてしまい──!?
一筋縄ではいかない17才差の、再会から始まるラブ!
Illust » 41x様
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる