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レッツ婚約破棄!
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「と、言うわけで、サラ。第一皇太子の事はすっぱり諦めて私達と一緒に辺境へ行こう」
「何が何だかさっぱりなんですが?」
おっと、説明が足りなかったか……
とりあえず、私達姉弟の事(転生云々は避けて話した)、ラウラが何を企んでいるのか、このまま第一皇太子を信じ続けると予想される未来は明るくない事を話した。
「それで、どうして辺境へ……?」
「あぁ、サラは侯爵令嬢で尚且つこの国を代表する天才魔導縫製師でもあるでしょう?」
「あら褒めてくれるの?」
「一応真面目な話なんだけど……」
「ごめんなさいね、いつもリタは心ここにあらずだからついね。続けて?」
「さて、ここでサラに問題です。今現在、サラはギーアスター侯爵家のご令嬢であると共に、天才魔導縫製師でもありますが……もう1つ、この国にとってとても大事な立場でもあります。その立場とは一体なんでしょうか?」
「あら、それを私に言わせるの?」
「たまにはね、私のお遊びみたいなものだよ。付き合ってよ」
「はいリタ先生、この国の次期王……カイル・グロースクロイツ第一皇太子の婚約者……つまり、この国の次期国母を担うべき存在です」
「よく出来ました。さて、そんな君がもし、このまま婚約破棄されたとしたら……あの一族には二つの選択肢が与えられる訳だ」
私はサラの目の前に、2本の指を突き立てて見せた。
「二つの選択肢……?」
「1つ目、君を公娼として王宮に迎え入れることで、魔導縫製師としての役割を死ぬまで背負わせる。その場合、最悪地下の貴族牢でも王宮内に居れば、仕事はできるとでも考えているだろうけどね」
私の言葉に、サラの顔色が一気に青くなった。
サラには申し訳ないが、それだけサラの能力というのは稀有なものなのだ。
彼女が刺繍したハンカチを持っていると、願いが叶ったという話や、彼女が自らの手で魔導騎士達の装備にお守りを巻いた所、怪我人が減ったなんて話は今や有名な話。
だからこそ、王族は彼女の能力が国外に持っていかれないようにと、彼女の気持ちを半ば無視して第一皇太子との婚約を決めた。
ただまあ、彼女が第一皇太子の事を本気で愛する事になったのは、王族にとって嬉しい誤算だったのだろうとは思う。
「第二の……選択肢は……?」
「第二に、辺境にいる、王族の傍系に当たるが、前国王の逆鱗に触れ、辺境伯にされると同時にグロースクロイツの名を剥奪された。かの色情魔の呼び声高い、辺境伯・シャルダスにでも嫁がせるとか?」
「……いくら貴方とはいえ、その手の冗談は許されるものではないわよ……リタ」
「冗談なんかじゃない。あの一族なら全て有り得る事だよ……」
どんな王族でも、きっと優秀な人材がいるとなれば、それが女であれば、人道に悖る方法であろうと何がなんでも国から出したくはないだろうと思う。
「君や私が国を出たとしたら、確実に君や私は他国で結婚したり、子供を作ったりする。そうすると、祖国に帰る機会は確実に無くなるのと同じだ。だからこそ、あの一族は阻止したい訳だね」
まぁ私は、今のところ結婚どころか恋人を作るつもりもさらさらないが。
サラはわからない、もしかしたら明日にでも新しい恋人を連れてきたりということも無きにしも非ずといったところだ。
「つまり……無理矢理色情魔に嫁がされたり、公娼として監禁されるよりも、自ら辺境に行ってしまおうと……そういうこと?」
「そういうこと、だって、散々ゴタゴタに巻き込まれてきたんだよ?少しぐらい、ゆったりまったりと過ごしたいじゃん?」
「貴方、最初からそれが目的で?!」
そこから、サラの割と長めのお説教が始まってしまった。ぴえん。
サラの長いお説教がようやく終わり、とりあえず今後の作戦を共有した。
「今後の作戦としては、あのアホから婚約破棄を言い渡されたら速やかかつ、淡々と受け入れて、さっさと辺境へ引っ込む」
「かなりアバウトね……もし、お父様が反対なさったら?」
「ギーアスター侯爵は反対しないさ、むしろ、問題を長引かせる可能性があるのがネックだね……」
「問題?」
「慰謝料の話だよ」
「あぁ、王国法第百七条"いかなる立場にあっても、婚約破棄の場合、有責側がそれ相応の額の慰謝料を相手に支払う義務を負うべし"ってやつね」
「そう、つまり、王族だろうが貴族だろうが、有責と認められたら、それ相応の額を支払う"義務"がある……つまり、それで揉めるかもしれないってこと……」
「あの一文には、例外を認めないということも含まれてるものね……」
「そう、たとえ神だろうが、婚約破棄は等しく相手を傷つける行為だと言ってる訳だからね……」
「まぁ、浮気相手が下手に手出しするとこっちにまで飛び火してくるような奴じゃなければ、すぐに慰謝料を受け取れるでしょ」
この時の私を思いっきり殴り倒してやりたい。
なんで私は忘れていたんだろうか……第一皇太子の浮気相手が誰なのかを……
「何が何だかさっぱりなんですが?」
おっと、説明が足りなかったか……
とりあえず、私達姉弟の事(転生云々は避けて話した)、ラウラが何を企んでいるのか、このまま第一皇太子を信じ続けると予想される未来は明るくない事を話した。
「それで、どうして辺境へ……?」
「あぁ、サラは侯爵令嬢で尚且つこの国を代表する天才魔導縫製師でもあるでしょう?」
「あら褒めてくれるの?」
「一応真面目な話なんだけど……」
「ごめんなさいね、いつもリタは心ここにあらずだからついね。続けて?」
「さて、ここでサラに問題です。今現在、サラはギーアスター侯爵家のご令嬢であると共に、天才魔導縫製師でもありますが……もう1つ、この国にとってとても大事な立場でもあります。その立場とは一体なんでしょうか?」
「あら、それを私に言わせるの?」
「たまにはね、私のお遊びみたいなものだよ。付き合ってよ」
「はいリタ先生、この国の次期王……カイル・グロースクロイツ第一皇太子の婚約者……つまり、この国の次期国母を担うべき存在です」
「よく出来ました。さて、そんな君がもし、このまま婚約破棄されたとしたら……あの一族には二つの選択肢が与えられる訳だ」
私はサラの目の前に、2本の指を突き立てて見せた。
「二つの選択肢……?」
「1つ目、君を公娼として王宮に迎え入れることで、魔導縫製師としての役割を死ぬまで背負わせる。その場合、最悪地下の貴族牢でも王宮内に居れば、仕事はできるとでも考えているだろうけどね」
私の言葉に、サラの顔色が一気に青くなった。
サラには申し訳ないが、それだけサラの能力というのは稀有なものなのだ。
彼女が刺繍したハンカチを持っていると、願いが叶ったという話や、彼女が自らの手で魔導騎士達の装備にお守りを巻いた所、怪我人が減ったなんて話は今や有名な話。
だからこそ、王族は彼女の能力が国外に持っていかれないようにと、彼女の気持ちを半ば無視して第一皇太子との婚約を決めた。
ただまあ、彼女が第一皇太子の事を本気で愛する事になったのは、王族にとって嬉しい誤算だったのだろうとは思う。
「第二の……選択肢は……?」
「第二に、辺境にいる、王族の傍系に当たるが、前国王の逆鱗に触れ、辺境伯にされると同時にグロースクロイツの名を剥奪された。かの色情魔の呼び声高い、辺境伯・シャルダスにでも嫁がせるとか?」
「……いくら貴方とはいえ、その手の冗談は許されるものではないわよ……リタ」
「冗談なんかじゃない。あの一族なら全て有り得る事だよ……」
どんな王族でも、きっと優秀な人材がいるとなれば、それが女であれば、人道に悖る方法であろうと何がなんでも国から出したくはないだろうと思う。
「君や私が国を出たとしたら、確実に君や私は他国で結婚したり、子供を作ったりする。そうすると、祖国に帰る機会は確実に無くなるのと同じだ。だからこそ、あの一族は阻止したい訳だね」
まぁ私は、今のところ結婚どころか恋人を作るつもりもさらさらないが。
サラはわからない、もしかしたら明日にでも新しい恋人を連れてきたりということも無きにしも非ずといったところだ。
「つまり……無理矢理色情魔に嫁がされたり、公娼として監禁されるよりも、自ら辺境に行ってしまおうと……そういうこと?」
「そういうこと、だって、散々ゴタゴタに巻き込まれてきたんだよ?少しぐらい、ゆったりまったりと過ごしたいじゃん?」
「貴方、最初からそれが目的で?!」
そこから、サラの割と長めのお説教が始まってしまった。ぴえん。
サラの長いお説教がようやく終わり、とりあえず今後の作戦を共有した。
「今後の作戦としては、あのアホから婚約破棄を言い渡されたら速やかかつ、淡々と受け入れて、さっさと辺境へ引っ込む」
「かなりアバウトね……もし、お父様が反対なさったら?」
「ギーアスター侯爵は反対しないさ、むしろ、問題を長引かせる可能性があるのがネックだね……」
「問題?」
「慰謝料の話だよ」
「あぁ、王国法第百七条"いかなる立場にあっても、婚約破棄の場合、有責側がそれ相応の額の慰謝料を相手に支払う義務を負うべし"ってやつね」
「そう、つまり、王族だろうが貴族だろうが、有責と認められたら、それ相応の額を支払う"義務"がある……つまり、それで揉めるかもしれないってこと……」
「あの一文には、例外を認めないということも含まれてるものね……」
「そう、たとえ神だろうが、婚約破棄は等しく相手を傷つける行為だと言ってる訳だからね……」
「まぁ、浮気相手が下手に手出しするとこっちにまで飛び火してくるような奴じゃなければ、すぐに慰謝料を受け取れるでしょ」
この時の私を思いっきり殴り倒してやりたい。
なんで私は忘れていたんだろうか……第一皇太子の浮気相手が誰なのかを……
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