あの日の思い出 part2

那智

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②買い食い

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 わが中学は創立から数年しか経たない歴史もない学校だった。

 生徒会が画期的だったのか、先生の理解があったからなのかは不明だが、設立時の校則を学生の意見を取り入れて変更していた。

 一番の変更点は男子の髪の毛に関してで、元々は坊主頭だったのに対し、横は耳が見える程度に、後ろは詰襟にかからない様にすれば、髪を伸ばしても良いというものであった。

 その割に女子に関しては他の学校と何ら変わらない感じがした。そして生活面の規則も一般的であったように思う。

 先輩達の頑張りを引き継ぎ、その後の生徒会も校則に異議がある場合は、体育館に生徒と先生が集まり、生徒会が司会進行を行い、議題に対して生徒と先生がそれぞれの意見を言い合い決めていた。殆どの場合は、教師に言い負かされていたが。

 その中でも残念だったのは買い食いの禁止である。中学生ともなれば、部活動で帰りが遅くなり、給食だけでは家に着く前にお腹がすいてしまう。

 私は、給食のパンを食べずに取っておき、部活の待ち時間を利用して食べていた。他に食べている生徒がいたかどうかは記憶に無いが、私にとっては苦肉の策、それも名案だと思っていた。

 しかし、部活動が終わって、お腹がすきすぎて家まで我慢出来ない日があった。

 道すがら目にはいる「食堂」の文字。校則が頭をよぎるが「見るだけ」と表に貼り出されたメニューを凝視。見つけた「おにぎり」の文字。

 食堂はそろそろ閉める時間。食べていくのは無理でも、持ち帰りなら大丈夫かもしれない、駄目なら諦めよう。

 開き戸を開けると優しそうなおばさんの顔が。直ぐ様「おにぎり、持ち帰りでお願いしたいんですけど」と伝えると、「買い食い駄目じゃないの?」笑顔で確認されるが、「ご飯はあるけど、おにぎりに入れる具が無いから作れないよ」とやんわり断られた。
 
 「無理なら諦める」は何処に行ってしまったのか、「具は無くても大丈夫です。お腹がすいて家までもたないからご飯だけでも」食い下がる、食い下がる。

 優しそうなおばさんは本当に優しい人で「福神漬けならあるからそれでもいい?」と言ってくれ、何処までも図々しい私の返事は「何でもいいです」今思い返すと、とても失礼な受け答えだ。

 お金を払ったのかサービスしてもらったのかは覚えていないが、おにぎりを食べながら無事帰宅出来た。

 成長期の食べ盛り、やはり買い食いくらいは許してほしい。「見た目が悪い、トラブルに見舞われる可能性がある」等、確かに大人の意見は正しい。それでもあの日、元気に帰れたのは校則を破ったお陰だ。

 そして校則で買い食いを禁じられていることを知っていて、それでもおにぎりを作ってくれたおばさんに感謝している。
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