追放された俺は逆行転生した〜TS吸血姫は文化を牛耳る〜

石化

文字の大きさ
24 / 49
第1章至る平安

アマノウズメ2

しおりを挟む

幸い、建物の中に入ったウズメはきちんと服を着なおした。
踊りを踊るときだけ気分が高ぶってあんなことになるんだよなあ。

いつもはそれなりに常識的なんだけど、これはもう、彼女の性分というよりないのかもしれない。

落ち着いたので、互いに、今まで何をやってたか話すことにした。

ウズメの方は、猿田彦に付いて行って、子作りと神社づくりと権能の共有化を行なっていたらしい。子作りは生々しかったので聞かなかったことにするとして、権能の共有化ってなんだよ。

詳しく聞くと、猿田彦の権能をウズメも使えるようになったということらしい。
流石に劣化は避けられないが、彼のできることはだいたい彼女もできるようになったとのことだった。

なんだかとっても高度なことをしている気がするんだけど、気のせいかな?
神の権能って、一つに決まっているものなんじゃないの?特に日本神話なら。
天照なら太陽、ウズメなら芸能、オモイカネなら知恵。
なんで八百万の神がいるのかって、全能神がいないからだろうに。

統合できるのならワンチャン全能神が生まれるぞ。

なんか、神話の前提を揺るがしかねないものをやったって言っている気がするんだけど。いいのかな、見逃して。

まあ、ウズメなら大丈夫か。

こちらの方も、ここに来るまでの出来事を話すことにした。

天皇家の東征に付き合い、大麻農家になり、闇堕ちして、歴史書を書き、今は平安調の物語が書けないか四苦八苦している。

正直に伝えたところ、爆笑された。

「笑うことないでしょ⋯⋯。」

「やっぱ夜っていいよね。大好き。」

唐突な告白に勘違いしそうになるけどウズメは人妻だ。
友達として大好きという意味だろう。

まあ、俺も、ウズメのことは好きだしね。
おあいこだ。

「そーいえばさあ、一回、試したい術があるんだけど、夜、かけられてみない?」

「どんな術?」

なんか天照様が気をつけるように言ってたけど、ウズメが俺の不利益になるようなことをするとも思えないんだよなあ。だいぶ絆されている。

「えっとね。境界を浮き彫りにする術?」

「ちょっと何を言っているのかよくわからないんだけど。」

「なんかさ、夜って、魂と身体が一致してないように見えるんだよね。位相がずれているというか。この術が成功したら、夜の力はもっと高まると思うよ。」

「力が高まる、ねえ?」

俺はあんまりピンときていなかった。

「やってみよう? 体と魂で対話すれば、夜の抱えている問題の一つは解消されるから。」

ウズメの耳触りのいい声に導かれるように、俺はいつの間にか、頷いていた。

「よし、決まりね。じゃあ、そこに正座して。」

ウズメと向かい合って座る。

整ったウズメの顔が真正面にあって、少々気恥ずかしい。

ウズメは真剣な表情で祝詞(のりと)を唱えていく。

俺は、その厳粛な雰囲気に飲まれるように押し黙った。

体と魂、ね。

天照様の忠告を考えると、大変なことが起こる可能性はある。
でも、ウズメがわざわざ俺のために、やってくれることを、無碍には出来ない。

ウズメの身体が、左右に揺れ始める。

表情は変わらず真剣なので無意識だろう。トランス状態ってやつだろうか。

そのまま、祝詞の言葉が連なっていく。
徐々に大きく、徐々に早く。

今まで聞いていたはずの言葉の意味がわからなくなってくる。

意識が、この場所を離れるような、ぐるぐると回る酔いが進んでいく。

目の前が暗くなって、一瞬、意識が途切れた。

目を開ける。
正面に、赤の袿(うちぎ)を着た女がいる。
目元が爽やかで、怜悧な印象を与える美しい女だ。
服装的に、貴族か、貴族の女房だと思われる。
目をつぶって、動かない。

なぜ、今までいなかった女が現れたのか。どこか見覚えがあるような気もするが⋯⋯。
そして、さっきまでそこにいたはずのウズメの姿が見えない。

俺は、状況を把握しようと、膝を起こした。

胸が擦れる。違和感を覚えた。なんだか、いつもの胸の感触と違うような⋯⋯?
視線を下に向ける。

服装が、違う⋯⋯?

今の自分が着ている服は、ウズメの着ていたような、白の単に朱(あか)の長袴。
つまるところ巫女服だ。

ウズメの着ていたような⋯⋯?

俺は慌てて辺りを見渡して、ご神体らしき鏡で、自分の姿を映してみた。

「俺が、ウズメになっている⋯⋯?」

鏡の中で、ウズメの姿をした女が、パチクリと瞬きをした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

処理中です...