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10.婚約破棄
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「事実だけならな。だが、メイリンはいつだってずっと俺の側にいて支えてくれた。仕事ばかりのお前とは違うんだ。俺は彼女と結婚したい。浮気なんかじゃない、本気なんだ。それに我がリディオン家にセクハラ容疑をかけられた運命の番は必要ない」
「…何でレイモンドが知ってるんだ?軍の内部情報だぞ…」
「メイリンから聞いたんだ」
「…俺はやっていない!直に無実も証明される。分かってるだろ、俺にヒートが来ていないのはお前が1番っ!信じろよ…!」
「信じるか否かの次元じゃない。知っての通り、俺は公爵家の跡継ぎだ。結婚していなくても、婚約者のソニアにも相応の振る舞いが求められるのにそれができなかった。疑いをかけられること自体が問題なんだ。運命の番だろうがお前とはもう終わりだ、ソニア」
「待ってくれ!レイモンド!」
「運命の番だろうが、平民となんか婚約するんじゃなかったな。やはり貴族は貴族と結婚するべきだ。俺のためにも、お前のためにも別れるのが1番だ」
追い縋るソニアを振り払い、レイモンドは部屋を出て行く。
1人残されたソニアにはただ俯くことしかできなかった。
時を同じくして、ヴィッチ邸ではフウが妹のメイリンに強い怒りを向けていた。
「お前の計画のせいで、このままではソニアは無罪になってしまう…。この役立たずがっ!!」
「本当に申し訳ございませんっ、お兄様!運命の番がいらっしゃるソニア様がヒートを起こしていないとは思わなくて…。お許し下さいっ…!」
「お前は何をやらせてもダメな奴だな!その足りない頭で反省しろっ!」
そう言うと、フウはメイリンの元を去る。
フウの姿が見えなくなると、気まずそうにしていたはずのメイリンは素に戻り、呟いた。
「バカなお兄様にだけにいつまでもいい思いばかりさせてたまるもんですか」
「…何でレイモンドが知ってるんだ?軍の内部情報だぞ…」
「メイリンから聞いたんだ」
「…俺はやっていない!直に無実も証明される。分かってるだろ、俺にヒートが来ていないのはお前が1番っ!信じろよ…!」
「信じるか否かの次元じゃない。知っての通り、俺は公爵家の跡継ぎだ。結婚していなくても、婚約者のソニアにも相応の振る舞いが求められるのにそれができなかった。疑いをかけられること自体が問題なんだ。運命の番だろうがお前とはもう終わりだ、ソニア」
「待ってくれ!レイモンド!」
「運命の番だろうが、平民となんか婚約するんじゃなかったな。やはり貴族は貴族と結婚するべきだ。俺のためにも、お前のためにも別れるのが1番だ」
追い縋るソニアを振り払い、レイモンドは部屋を出て行く。
1人残されたソニアにはただ俯くことしかできなかった。
時を同じくして、ヴィッチ邸ではフウが妹のメイリンに強い怒りを向けていた。
「お前の計画のせいで、このままではソニアは無罪になってしまう…。この役立たずがっ!!」
「本当に申し訳ございませんっ、お兄様!運命の番がいらっしゃるソニア様がヒートを起こしていないとは思わなくて…。お許し下さいっ…!」
「お前は何をやらせてもダメな奴だな!その足りない頭で反省しろっ!」
そう言うと、フウはメイリンの元を去る。
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「バカなお兄様にだけにいつまでもいい思いばかりさせてたまるもんですか」
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